10月30日  タイムカプセル (35) 平成元年 (1989年)  ベイブリッジ   タイム・カプセル

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この年、1月7日午前6時33分、重態が続いていた昭和天皇が、吹上御所で崩御された。87歳。

皇太子が新天皇に即位、元号を「平成」と改元、8日に施行。

テレビは天皇の記録映像を繰り返し流し、コマーシャルも消え、レンタル・ビデオ店が繁盛した。

2月24日、「大喪の礼」を新宿御苑で実施。ひつぎは八王子の武蔵野陵に埋葬された。

           
(映画)第62回アカデミー賞「ドライビング・ミス・デイジー 」
バットマン」「ビルとテッドの大冒険

(音楽)第31回レコード大賞「淋しい熱帯魚」Wink

国民栄誉賞、美空ひばり
川の流れのように(美空ひばり)Diamonds(プリンセス・プリンセス) 「紅」X「大迷惑」ユニコーン「恋一夜」工藤静香「Runner」爆風スランプ「DIVE INTO YOUR BODY」TM NETWORK「17才」森高千里

(テレビ)NHK「春日局」(大原麗子)テレ東「大忠臣蔵」(松本幸四郎、近藤正臣、芦田伸介)フジ「鬼平犯科帳」(中村吉右衛門)フジ「教師びんびん物語」(田原俊彦、野村宏伸)TBS「春が来た」(古手川祐子、藤岡琢也、赤木春恵)TBS「翔んでる!平賀源内」(西田敏行、薬丸裕英)

フジ「愛しあってるかい」(陣内孝則、小泉今日子)フジ「君の瞳に恋してる!」(中山美穂、前田耕陽)テレ朝「子連れ狼」 (高橋英樹、饗場光史、若山富三郎) 日テレ「小京都ミステリー 小京都連続殺人事件」(片平なぎさ、船越英一郎)



                           



(スポーツ)国民栄誉賞、千代の富士。和泉雅子、北極点に到達。

(ファッション)アーバンエスニック。インポートブランド。

(流行語)Xデー、セクハラ、消費税、トレンディー、オバタリアン、オジンギャル、けばい、お局(つぼね)さま、アッシー、みつぐ君、3K(汚い、きつい、危険)、フリーター、ホコ天、ファジー、24時間戦えますか、そこまでいう、来てます、ツーショット、イケイケ、こんなん出ましたけど〜」

(社会)01/07昭和天皇崩御。01/08平成スタート。01/20第41代大統領にブッシュ(父)就任。02/09手塚治虫氏死去。02/15ソ連軍、アフガニスタンから撤退完了。04/01消費税制度がスタートし、税率は3%。06/24美空ひばり死去。06/03イランの最高指導者ホメイニ師死去。

06/04中国天安門流血事件、民主化運動弾圧。06/18ビルマが国名を「ミャンマー」に変更。08/09宇野首相、参院選惨敗と女性問題で退陣表明。08/10海部政権誕生。09/12礼宮さま、川嶋紀子さんと婚約。11/09東欧、激動の民主化。「ベルリンの壁」崩壊。12/02米ソ首脳、マルタで会談。冷戦終結宣言。


(物故)芥川也寸志、手塚治虫、大坂志郎、松下幸之助、美空ひばり、辰巳柳太郎、松田優作

(その他)高橋由美子、TBS「冬の旅・女ひとり」でデビュー。篠原涼子、テレ朝「高速戦隊ターボレンジャー」でデビュー。小柳ルミ子、ダンサーの大澄賢也と結婚。歌手の中森明菜が、近藤真彦の部屋で腕を切り自殺未遂。

ゲームボーイ(任天堂)ビデオカメラ ハンデカムTR−55(ソニー)横浜ベイブリッジが開通、 全長860m。 東京ラブストーリー(柴門ふみ)



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                川の流れのように(美空ひばり)





中森明菜 (なかもりあきな)


1989年7月11日、近藤真彦宅での自殺未遂は日本中に衝撃を与えた。

その日、明菜は近藤のマンションで、浴室で血を流して倒れていた。

近藤が帰宅すると、明菜は「ごめんなさい」と泣きじゃくるばかりである。


この年の大みそか、紅白歌合戦と同時刻に抜き打ちの会見が始まった。
明菜と、友人という形で近藤が出席した。

明菜は、自殺未遂騒動を謝罪。
だが自殺未遂の理由については、何ひとつ語らなかった。


その後、明菜はデビュー以来所属していた「研音」を退社。
事務所を転々とするなど不遇な日々を送ることになった。













平成の幕開け


1989年(昭和64年)1月7日、昭和天皇が崩御。

小渕官房長官から、新しい元号は「平成」であります、という発表が行われた。

翌日の1月8日、皇太子・明仁親王が新天皇に即位し「平成」の幕開けとなった。


7日と8日の両日を中心に、NHKと民放各局は、天皇死去と昭和の時代の終焉に対する
市民の様々な反応や改元の動きを、特別報道体制で刻々と伝えた。


一方、特別報道に飽きた多くの人が、ビデオレンタル店につめかけるという現象もみられた。




2月24日、昭和天皇の大喪の礼が、国の儀式として新宿御苑で行われた。

竹下首相や政府の長、ブッシュ米大統領ら各国首脳55人をはじめとする163か国、
国際機関の弔問使節ら9800人が参列した。


時代の節目を迎えた1989年(平成元年)は、空前の好景気の真っ只中にあった。

同年末には日経平均株価が3万8915円の史上最高値を記録。

地価も高騰し、多くの人が株や不動産投資に熱狂した。


だが翌年1990年(平成2年)バブル経済が崩壊。

株価が大暴落し、その後の長引く景気後退に、日本経済は悩みぬくことになる。

デフレ、失業が顕在化し、国民生活を取り巻く環境は極めて厳しいものとなった。













天安門事件


1989年6月4日、天安門広場に集まった民主化を求める学生を、中国政府が武力弾圧、
数百人が犠牲になった。


この事件は一般に「権力集中を図る中国共産党」VS「民主化を求める正義の若者達」
という図式で捉えられている。

だが正しくは「中国共産党」VS「中国の国家転覆を図るアメリカCIA」である。

あらゆる民主化運動の陰には、西側超大国の思惑や資金が動いているのだ。
その目的は、民主化による国家資産や市場の収奪である。




それを見抜いていたからこそ、中国政府は強硬策を採ったのである。

1989年は、天安門事件のほかに、ベルリンの壁崩壊やブッシュとゴルバチョフによる
冷戦終結宣言があり、まさに民主化の年だった。


その後「東西ドイツ統一」「ソ連崩壊」と東欧、ソ連の民主化が進められたが、
中国の民主化は、けっきょく実現しなかった。



当時の中国は、日本を手本に経済改革を進めていた。

1972年、田中角栄によって日中国交が再開され、1978年にはケ小平が来日し、
新幹線や日産自動車の工場などを視察した。


その後、中国には「日本ブーム」が沸き起こり、多くの技術者が日本に赴き
新日鉄や松下電器で研修し、日本の先進技術を学んだ。


天安門事件が起こったとき、中国はまさに経済成長の真っただ中であった。

中国の国家にはありあまるパワーがあり、体制崩壊につながらなかったのである。










   




大忠臣蔵


元禄十四年徳川五代将軍綱吉の時代。

赤穂城主・浅野内匠頭(近藤正臣)は、勅使下向に際し、接待役を命じられる。

だが、江戸入りした内匠頭は、指南役の吉良上野介(芦田伸介)と性格が合わぬばかりか、

賄賂を贈らなかった為に、数々の嫌がらせをされ、遂に怒りが爆発、

江戸城松の廊下で吉良に斬りかかった。時に元禄十四年三月十四日のことである。


内匠頭は切腹、家は断絶との悲報が、赤穂の城代家老・大石内蔵助(松本幸四郎)の許に届く。

吉良はお咎めなしという裁きは片手落ちとして、内蔵助は、家臣らと密かに仇討ちを誓う。





1989年(昭和64年)1月2日、テレビ東京開局25周年記念特別番組「12時間超ワイドドラマ」全6部10話。


森村誠一の原作で、松の廊下から討ち入りまでをじっくり描くが、特に討ち入りシーンは40分間にわたる。

松本幸四郎が大石内蔵助に扮するほか、岡本富士太(堀部安兵衛)、森田健作(高田郡兵衛)、時代劇は
初出演の渡辺裕之(不破数右衛門)らが浪士に扮している。


吉良家の用人には、河原崎建三(清水一学)、宅麻伸(小林平八郎)、村上弘明(山吉新八郎)らが扮し、
いずれも吉良家随一の剣客として、赤穂浪士相手に華々しい奮戦振りを披露している。


また、芦田伸介演じる吉良上野介は、四十七士の前で、潔く切腹して果てるなど、見苦しく振る舞うことなく、
最後まで高家筆頭の矜持を示して出色であった。
















君の瞳に恋してる!


福岡から上京した高木瞳(中山美穂)は、背伸びしたい年頃の女子大生。

憧れの東京・代官山に、気に入ったマンションを見つけるが家賃が高い。


そこで、友達の麻知子と照代と三人でルームシェアをすることに。

家賃は14万円だが、三人でシェアすれば、一人5万円足らずで住める。


ところが隣に、失礼な男二人が引っ越してくる。




フリーターの鈴木元(前田耕陽)と、大学二年の宮下耕平(大鶴義丹)だ。

軟派男の元は、同い年の瞳に、しつこく何度もアプローチしてくる。


だが瞳は、ひそかに心を寄せる男性がいた。

それは、大人の雰囲気に溢れたラジオディレクターの森田(石田純一)だった。



東京・代官山を舞台に、若者たちの出会いと別れを描く恋愛トレンディドラマ。


トレンディドラマとは、若い女性を対象としたオシャレでハイカラなドラマだ。


大きく分けると(1)美男美女の恋模様が描かれる。(2)住宅が豪華でインテリアもリッチ。

(3)ロケ地がオシャレなスポットばかり。(4)肩書がカタカナの職業、などなど。


主人公・高木瞳は、女子大生だが、学校にディスコにでも行くかとばかりにオシャレしていく。

さらにハイヒールまで履いていく。食事もほとんど外食で、高級志向の贅沢な店ばかりだ。


こういった視聴者と等身大でない登場人物や舞台設定に、若いOLや中高生が飛びついたのは、
ごく自然なことだった。


当時はバブルの全盛期であり、この時流に乗ったトレンディドラマは、憧れのライフスタイルを
視聴者に提供していたのである。











小京都ミステリー 小京都連続殺人事件


柏木尚子(片平なぎさ)は、旅行雑誌の出版社に勤務するルポライター。


ある日、編集長(中尾彬)に「小京都の女たち」の企画を提案される。

さっそくカメラマンの克也(船越英一郎)を連れて富山へ取材に。


ところが富山の大牧温泉での取材中に殺人事件が勃発。

被害者は不動産業を営む漆太郎(玉川良一)。





さらに二か月後、同じ小京都の萩で同じ名前の男が殺される。

二つの事件に関連性があるとにらんだ尚子は…。



1988年「講談社」から出版された山村美紗の推理小説「小京都連続殺人事件」のドラマ化。


主人公・柏木尚子と、その相棒のカメラマン・山本克也が、取材先で殺人事件に巻き込まれる。

尚子は、探偵でも警察関係者でもない、単なる好奇心旺盛な旅行雑誌のルポライターだ。


しかし取材はそっちのけで、小京都と呼ばれる土地で起きた殺人事件を、ひたすら追っていく。

相棒の克也は「事件に首突っ込むのは止しましょう」といいつつも、尚子に振り回されてしまう。


最後に犯人が分かった時、二人で手を叩いて「お手柄お手柄」と言うのもお決まりになっていた。


そんな二人の息のあったコンビネーションが人気を博し、本作は1989年から2001年まで12年間、
全30作にも及ぶ長寿シリーズとなった。


また、日本の様々な地域を舞台にしているため、番組のなかで地方の特産品や風景が紹介され、
視聴者は、居ながらにして観光気分が味わえるという楽しみもあった。














鬼平犯科帳


天明八年(1788年)長谷川平蔵(中村吉右衛門)は、火付盗賊改方を解任される。

老中・松平定信が平蔵を解任したのは、より重要な役職に登用するためであった。


だが「鬼平」こと平蔵がお役を退いてから、江戸の治安は急速に悪化する。

中でも一連の辻斬りは、その斬り口のすさまじさで、江戸市民を震えあがらせた。

幕府は急遽、平蔵を復職させる。これ以降、辻斬りは鳴りを潜めたかに見えた。

だが、平蔵に活躍してもらっては困る筋から刺客が放たれる。




汐留の会津屋敷の掘割りに、小さな橋がかかっている。平蔵が、これを渡りかけたときであった。

背後から、突風のように肉薄して来る殺気を感じた。平蔵は振り向かず、真っすぐに駆ける。


駆けながら大刀を抜き、背後に迫る敵をなぎ払う。

瞬間、敵は平蔵の頭上を飛び越え、三間あまり後方に着地した。黒覆面の男であった。

「何者だ! 火付盗賊改メ、長谷川平蔵と知ってのことか!」



1967年「オール讀物」に連載された池波正太郎の同名小説のドラマ化。

「鬼平」こと長谷川平蔵が、江戸の町にはびこる極悪人相手に活躍する時代劇。


江戸庶民の機微に通じ、情けもある平蔵役は、ハリのある声と男らしい風貌の
中村吉右衛門(二代目)のはまり役との評をとった。


時代背景から小道具に至るまで、きっちりとした作りが、本格的時代劇として
ファンの好評を得た。


1989年の第1シリーズから28年間で通算150本が放映される大人気シリーズとなった。
















      



春が来た


27歳のOL・直子(古手川祐子)は、月給の半分を家にいれ、おしゃれも恋も無縁の生活を送っていた。


母・須江(赤木春恵)も働き、化粧っけもなしで夫にずけずけとものを言う。

妹・順子(鈴木輝江)は、詩を投稿し賞金を稼ぐ高校生で、友達からは変わり者と呼ばれている。


仕入先の社員・風見(川野太郎)と交際を始めた直子は、中流家庭の娘のように言い繕っていたが、

家まで送られて本当のことがわかってしまう。

だが両親のいない風見は、直子の家族とのふれあいに心がなごみ、しばしば訪れるようになる。




1981年、月刊誌「オール読物」に掲載された向田邦子の同名短編小説のドラマ化。


主演の古手川祐子(29歳)はこの当時、映画「ひめゆりの塔」「細雪」など、巨匠監督に

起用され、演技派女優として、順調にキャリアを重ねていた時期だった。


本作は、等身大のOL役で、家が貧しいために、生まれて初めて出来た恋人の風見に会うたびに、

ついつい嘘で自分を飾ってしまうという、微妙な女心を細やかに演じている。


一方、ヒロインの家では、風見の出現で、ささくれだっていた母親が急に女らしくなり、

失業中でオドオドしていた父親も、父権を回復する。

さらには、いこじな妹までかわいくなり、風見が来るたびに春のムードになる一家。


こうした家族の微妙な変化を、鮮やかに切り取る手腕は、向田邦子ならではといえる。


だが1981年8月、その向田が、台湾への取材旅行中に、航空機事故で亡くなった。

まだ51歳の若さであった。本作「春が来た」は、彼女の絶筆作品となってしまった。













      ビルとテッドの大冒険(Bill & Ted's Excellent Adventure)1989年(米)

ロックスターを夢見る高校生ビル(ウィンター)とテッド(リーブス)は、歴史の授業の点数が足りず落第寸前。
もし落第が決まれば、テッドはアラスカの陸軍学校に入学させられ、二人で結成したバンドも解散になる。

唯一の方法は、歴史の研究発表会で良い発表をすることだが、これといったアイデアも浮かばない。
途方に暮れていると、空から電話ボックスが降ってきて、中から出てきた男が歴史の勉強を手伝うと申し出る。

実はこの男、2688年の未来からやってきた未来人だった。彼から電話ボックス型タイムマシンを借りた二人は、
歴史上の偉人たちを現代に連れてきて、歴史研究発表会で一発逆転を狙おうと考える。

頭空っぽの高校生二人組が、たまたま手に入れたタイムマシンに乗って、歴史上の偉人達を拉致っていくコメディ。
現代にやって来た偉人達が、すぐさま環境に馴染み、各人の個性を活かして大暴れするところが何とも笑える。

(監督)スティーヴン・ヘレク(Stephen Herek)
(出演)キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)アレックス・ウィンター(Alex Winter)