11月 11 日  タイムカプセル (38) 平成4年 (1992年)   タイム・カプセル

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この年、世界基督教統一神霊協会(統一教会)が、韓国ソウルの五輪スタジアムで、国際合同結婚式を開催。
世界各国から2万4千人が参加した。

歌手で女優の桜田淳子、新体操の元女王・山崎浩子、バドミントンの徳田敦子ら日本の有名人が最前列に。


(映画)第64回アカデミー賞「許されざる者」

 「美女と野獣」「アラジン」東宝「ゴジラvsモスラ」



(音楽)第34回レコード大賞「君がいるだけで」(米米CLUB)

ラブ・ストーリーは突然に(小田和正) 白い海峡(大月みやこ)晴れたらいいね(ドリームズ・カム・トゥルー)「こころ酒」(藤あや子)「PIECE OF MY WISH」(今井美樹)「いつまでも変わらぬ愛を」(織田哲郎)「You're the Only」(小野正利)「サヨナラ」(GAO)「涙のキッス」(サザンオールスターズ)「A Whole New World 」(Regina Belle & Peabo Bryson)


(テレビ)ひらり(NHK 石田ひかり) 腕におぼえあり(NHK 村上弘明坂上二郎ずっとあなたが好きだった(TBS 賀来千香子、佐野史郎)西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ(TBS 渡瀬恒彦、伊東四朗けんかラーメン(TBS 安田成美、風間杜夫)いつかライオンの夢を(TBS 蟹江敬三、加賀まりこ、国生さゆり)愛という名のもとに(フジ 鈴木保奈美唐沢寿明素顔のままで(フジ 安田成美、中森明菜

はぐれ刑事純情派5(テレ朝 藤田まこと、梅宮辰夫)タクシードライバーの推理日誌(テレ朝 渡瀬恒彦、風見しんご)親愛なる者へ(フジ 浅野ゆう子、柳葉敏郎)あなただけ見えない(フジ 三上博史、小泉今日子)

君のためにできること(フジ  吉田栄作、石田ゆり子)疑惑(フジ いしだあゆみ、石橋凌、小林稔侍)誰かが彼女を愛してる(フジ 中山美穂、的場浩司)山村美紗サスペンス 赤い霊柩車(フジ 片平なぎさ、大村崑、山村紅葉)フジ「素顔のままで」(安田成美、中森明菜、東幹久、児玉清)二十歳の約束(フジ 牧瀬里穂、稲垣吾郎)たけし・逸見の平成教育委員会(フジ)

クレヨンしんちゃん(テレ朝)美少女戦士セーラームーン(テレ朝)ひとりでいいの(NTV 沢口靖子、石田ゆり子、村上弘明




                           




(スポーツ)1/26貴花田が史上最年少(19歳)優勝。バルセロナ(7/25〜8/9)女子200m平泳ぎで14歳の岩崎恭子が金メダル
(ファッション)フレンチカジュアル

(流行語)どたキャン、ほめ殺し、複合不況、ダウンサイジング、冬彦さん、カード破産、ツインピークス

(社会)3/14東海道新幹線「のぞみ」登場。5/22日本新党(細川護煕)結成。6/15PKO協力法案成立。7/25バルセロナ・オリンピック開催(〜8/9)9/17自衛隊のカンボジア派遣が始まる。

(物故)長谷川町子(72歳)大山康晴(69歳)松本清張(82歳)大地喜和子(48歳)岡田嘉子(89歳)三宅邦子(76際)
(物価)初任給大卒 19万1266円

(その他)井上真央、テレ朝「真夏の刑事」でデビュー。安室奈美恵、「恋のキュート・ビート/ミスターUSA」で歌手デビュー。貴花田、宮沢りえと婚約。大竹しのぶ明石家さんまと離婚。ロック歌手、尾崎豊が肺腫瘍で突然死。

UFOキャッチャー。きんさん、ぎんさん。ビデオCD。 武内直子「美少女戦士セーラームーン」(なかよし)「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」(ENIX) 「島田陽子写真集」「荻野目慶子写真集」



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                        ラブ・ストーリーは突然に (東京ラブストーリー 主題歌)








東京ラブストーリー


リカと完治は、華やかなスポーツメーカーに勤務している。


リカは完治が好きで積極的にアタックしている。

だが、完治はリカのことをなんとも思っていない。

完治は、彼の高校の同級生で、東京で保育士をしているさとみに
想いを寄せているからだ。


リカにとって、さとみは恋のライバルだった。
さとみのことしか眼中にない完治に、リカは捨て身の誘惑を決行する。




ある日、完治は、会社の同僚とケンカして落ち込んでるリカを見かける。

そこでリカは完治に、自分を元気づける言葉をリクエストする。

釣られた完治は、ついつい言ってしまう。


完治「好きだ」
リカ「どのくらい?」

完治「(手を1メートルほど広げ)このぐらい」
リカ「そんなもん」

完治「(5メートルほど駆けて)こおーのくらい、好きだ」
リカ「嘘つきぃーっ!」


完治が苦笑いすると…

リカ「ねえ、セックスしよ」


リカと完治は、付き合う前に関係を持ってしまうのであった。




恋愛の神様と言われる、柴門ふみ原作の大人気コミックのドラマ化。

「月9」の俗称を一般視聴者にまで浸透させたトレンディドラマの代表作。

月曜の夜はTVを見るため、街からOLが消えたという都市伝説を生んだ。


鈴木保奈美演じる勝ち気なヒロインのリカが、恋人だったカンチ(織田裕二)に
「セックスしよ」と明るく言い放つシーンは、今も語り継がれている。


ドラマの最終回は視聴率32.3%を記録。
小田和正の主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」もミリオンセラーとなった。













西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ


その日、警視庁捜査一課に、殺人事件発生の一報が飛び込んできた。

十津川警部(渡瀬恒彦)と亀井刑事(伊東四朗)は、事件現場へ向かう。


新宿歌舞伎町のホテル街で、全裸女性の死体が発見された。

殺害されたのは、イブと言う名のコールガールで、本名、住所は不明。


十津川たちは、歌舞伎町を中心に聞き込みを開始し、被害者の身元の割り出しを急ぐ。

やがて二人は、被害者が大分県日田市の出身であることを突き止め現地に向かう。




捜査の過程で同市を地盤にした大物政治家・首尾木大造(西岡徳馬)の存在が浮かび上がる。

十津川と亀井は、殺害されたイブが、首尾木の次女・咲子によく似ているという情報を得る。


そこで、首尾木の自宅を訪ねたが、首尾木も、その秘書も、イブは咲子ではないという。

しかし咲子の高校時代の恩師・山本(藤田宗久)は、死体は咲子で間違いないと断言する。


だがその後、山本は何者かに殺害されてしまう。

しかも、地元警察幹部に政治的圧力が加わり、捜査は難航する。




1975年「光文社」から出版された西村京太郎の推理小説・十津川警部シリーズのドラマ化。


主人公の警部・十津川省三は、普段は冷静沈着な人物だが、犯罪者に対しては
瞬間的に激昂する場面も何度かある。


そんな二面性を持った主人公を渡瀬恒彦が演じ、役にはまった出色の名演ぶりを
遺憾なく発揮している。

また、涙もろく人情味あふれる相棒の亀井刑事を伊東四朗が好演。


二人の息のあったコンビネーションが人気を博し、本作は1992年から2015年まで
23年間、全54作にも及ぶ長寿シリーズとなった。













山村美紗サスペンス 赤い霊柩車


石原明子(片平なぎさ)は、父親の家業の「石原葬儀社」を継いだ女社長である。

社員は、専務の秋山(大村崑)と事務員の良恵(山村紅葉)だけという零細企業だ。


ある日、京北大学の小笠原教授夫人が急死したからと葬儀の依頼があった。

亡くなった夫人は、流感で寝込んでいたのだが、直接の死因は心不全だという。


だが明子は、夫人の首筋にうっすらと死斑が見えるのが気になる。

不審に思った明子の連絡によって、京都府警の狩矢警部(若林豪)が動き出す。

しかし、夫人が寝ていた場所は完全な密室だった。





1990年「新潮社」から出版された山村美紗の推理小説「葬儀屋探偵明子シリーズ」のドラマ化。


明子の父親は、京都でタクシー会社と葬儀社を経営しており、特に葬儀社は儲かっていた。


明子は、東京の大学を卒業し、ゆくゆくは同じ大学の恋人・黒沢春彦と結婚するつもりだった。

ところが、父親が急死したため、仕方なく京都に戻り、父親の仕事を継ぐことになったのだ。


春彦との関係は、彼が京都に来たり、明子が東京に行くといった遠距離恋愛を継続している。


明子の周りでは何故か殺人事件が多発し、犠牲者の葬儀を石原葬儀社が請け負うことになり、
毎回必ず葬儀の場面が登場する。


そして明子が殺人事件に首を突っ込み、得意の推理力を発揮し、恋人の春彦や狩矢警部の協力
を得て、事件の解決に導いていくというのが、毎回の筋立てとなっている。


本作は、1992年から2018年まで27年間、全37話が放映され、平均視聴率17%の高視聴率を記録。

だがさすがに27年も経つと、原作のイメージを保つのが難しくなってきており、とりわけ明子と
春彦は、一体いつになったら結婚するのかと、視聴者をやきもきさせているのが現状だ。














タクシードライバーの推理日誌


夜明日出夫(渡瀬恒彦)は、イースタン交通に勤務するタクシー運転手。

彼は元警視庁捜査一課の警部補だったが、ある事件の責任を取り刑事を辞めた。


それがもとで妻と離婚。

今では一人娘のあゆみ(林美穂)が、たまに会いに来るのを楽しみにしている。


ある晩、夜明は、銀座のクラブのホステス二人を乗せる。




彼女たちは、横浜までドライブしたいという。望み通り、横浜の埠頭まで車を走らせる。


翌日、彼女たちが働いているクラブのママ・平松妙子が他殺死体で発見された。

彼女たちも、警察に事情を聞かれるが、犯行時刻にはアリバイがあった。

アリバイの証言者は他でもない夜明だった。




渡瀬恒彦扮する元敏腕刑事で、今はタクシー運転手の夜明日出夫が、持ち前の
推理力を発揮して、事件の謎に挑むシリーズ。


毎回タクシーに乗った乗客が絡んだ殺人事件に遭遇するのだが、乗り込んだ客が、
往々にして犯人であり、それも女性客が多い、などといった暗黙のルールがある。


夜明には、東山(風見しんご)という元後輩の刑事がいて、彼は、夜明を心から
尊敬しており、困ったことがあると何かと頼ってくる。


この東山の上司に、神谷(平田満)という警部がいるが、彼は、夜明の元同僚で、
今でも飲み友達だが、どうも部下の東山には、快く思われていないようだ。


こういった夜明の周囲をめぐる刑事たちとの人間模様も人気の要因となり、本作は
1992年から2016年まで24年間、全39作ものロングラン・シリーズとなった。













疑惑


富山市の新港埠頭で乗用車が海に転落、一緒に乗っていた資産家の夫は死亡したが

妻の球磨子(いしだあゆみ)は奇跡的に助かった。


球磨子は元ホステスで前科四犯。

しかも亡くなった夫には事故の半年前に三億円の保険金がかけられていたことから、

警察は保険金殺人と断定して彼女を逮捕する…。






九州の大分で実際に起きた三億円保険金殺人事件をヒントに松本清張が書いた問題作。

「これほどすさんだ女性は演じたことがない」と言ういしだあゆみの悪女役が見ものだ。


暗い過去を持つエキセントリックな球磨子、野心たっぷりの新聞記者・秋谷(石橋凌)、

人生の年輪を感じさせる国選弁護人・佐原(小林稔侍)の三人が迫力ある演技を展開する

話題作だが、中でもいしだあゆみの悪女ぶりが圧巻。


主演のいしだは、自分の人生にコンプレックスを持ち続けている球磨子を演じるにあたって、

生まれて初めてチリチリのパーマをかけ、派手な原色の衣装を身につけて撮影に入った。


「球磨子を演じて、自分自身がふだんより乱暴になっているのがわかった」とは本人の談。













素顔のままで


図書館司書の優美子(安田成美)は、マンションで一人暮らし。地味で静かな生活を送っている。

そんな折、神戸の父親、修造(児玉清)から、見合い話が持ち込まれた。

見合いの日、どしゃ降りの雨の中、優美子はひょんなことから、ちょっと威勢のいい女と出会った。

ミュージカル劇団のダンサー、カンナ(中森明菜)である。

内気で物静かな優美子と、いかにもヤンキーでがらっぱちなカンナは、なぜか意気投合してしまう。

カンナは、安アパートにわびしく独り暮らし。しかも家賃滞納で追い出されようとしていた。

そんなカンナの境遇を知った優美子は「マンションで一緒に住もう」と同居を持ち掛ける。





安田成美と中森明菜のダブル主演が大きな話題となったトレンディドラマ。


高校生の頃に中絶を経験して以来、内向的な性格になってしまった優美子だが、まるで正反対の性格の
カンナと奇妙な同居生活を開始し、互いに衝突しながらもそれぞれ成長していくプロセスを描いている。


カンナは、自分のかつて好きだった脚本家の男性を、ルームメイト優美子に譲り、なおかつ、互いの
人生の理解者という関係を維持する。

優美子は、その脚本家と結婚し、やがて別れを迎えるが、カンナはその間、両者の理解者として、
それを見つめ続ける。


本作は、テーマを「女性の友情」に置き、たとえ自分の意中の人をとられたりしても変わらぬ女性ふたりの
信頼関係を描いている点が新鮮だった。


主役二人の熱演と脚本の北川悦吏子による女性の感性をすくい上げたセリフは、女性視聴者の共感を集め、
平均 26.4% 、最終回は 31.9%という高視聴率を獲得、この年のドラマでは最大のヒット作となった。


また、米米CLUBの歌う主題歌「君がいるだけで」も、ストーリーにマッチした歌詞と耳馴染みがよく
爽やかなサウンドで大ヒットを記録した。
















ずっとあなたが好きだった


西田美和(賀来千香子)は、都内の結婚式場に勤務するアラサーのOL。

あるとき縁談が持ち上がり、美和はエリートの冬彦(佐野史郎)と見合い結婚する。


二人の新婚生活が始まった。最初の朝食後に冬彦は笑みを浮かべながら美和に言った。

「味噌汁はひどかったね。味噌を変えて。母に聞くといい」


美和は、心にさざ波を立てながらも、姑の悦子(野際陽子)に尋ねる。




美和「お味噌、何をお使いですか? 冬彦さんが…」

姑は、待ってましたとばかりに口を開く。

悦子「それじゃ紙に書いてあげます。あの子、色々と好き嫌いがありますから」

美和の顔が引きつる。これ以後、嫁姑の間に、激しい火花が散り始めるのだった。



マザコン男と見合い結婚した新妻が、その苦悩の中で、高校時代の恋を再燃させるメロドラマ。


新妻・美和と、初恋の人・大岩洋介(布施博)の恋物語のはずだったが、敵役の夫・冬彦の
変態キャラが話題になり、冬彦現象とも呼ばれるブームを巻き起こした。


佐野史郎の演じるマザコンでオタクの冬彦は、真夜中に下唇を突き出してウーウーと唸るなど
数々の奇行で妻の美和を困惑させる。


結局、二人の結婚生活はうまく行かず、元カレの洋介と再会した美和は、冬彦に離婚を切り出す。

だが、嫉妬した冬彦は、離婚を認めないばかりか、美和に様々な嫌がらせを始めるのだった。


息子を溺愛する姑・悦子を演じた野際陽子の強烈なキャラクターも、以後「ダブル・キッチン」
(1993年)「長男の嫁」(1994年)などで、彼女の当たり役になるほど切れ味があった。


本作は、初回13%の視聴率が、回を追うごとにうなぎ上りとなり、最終回は34.1%を記録。

サザンオールスターズの主題歌「涙のキッス」も大ヒットした。












腕におぼえあり


東北の小藩に仕える青江又八郎(村上弘明)は、剣の達人で城下の道場で師範代を務めている。

あるとき、藩主毒殺の陰謀を立ち聞きしてしまい、止む無く許嫁の父親を斬り殺してしまう。

脱藩して江戸へ出てきた青江は、口入れ屋の相模屋(坂上二郎)から割のいい用心棒稼業を
引き受け、長屋住まいの日々を送っていた。


世は元禄時代、江戸の町は赤穂浪士の討ち入りが間近ではないかとの話題で持ちきりだった。

やがて青江は、許嫁が父親の仇討ちのため、弟と一緒に江戸にやってくるという噂を耳にする。

青江は、何とかして真実を打ち明けたいと悩むのだが…。





1976年「小説新潮」に連載された藤沢周平の時代小説「用心棒日月抄」のドラマ化。


主人公・青江又八郎の用心棒稼業を縦糸に、赤穂事件を横糸にして、そこに国許からの
刺客との対決が絡まって展開するという痛快娯楽時代劇。


「よろずもめごと仲裁」の用心棒稼業を始めた青江又八郎が、豪快な殺陣に人情も絡め、
舞い込む依頼を颯爽と解決していく姿が、多くの視聴者の人気を集めた。


この当時の時代劇は、ベテランが主役を演じることが多かったが、若々しさ、瑞々しさを
存分に放つ村上の存在は、若い年齢層にも時代劇の魅力を伝える格好の入り口となった。

正統派時代劇に現代感覚を盛り込んだこの番組は、1990年代を象徴する作品の一つといえる。















ひとりでいいの


北川まどか(沢口靖子)は商社の総務課に勤めるOL。

彼女は、持ち前の美貌を武器に、若手エリート・星野(別所哲也)と婚約する。


だが、まどかのことを快く思わない他の女子社員たちの嫉妬は募る一方。

ある日まどかは、新しい総務課長に就任した津村(村上弘明)にプロポーズされる。


じつは津村は、35歳のベテランOL・寿子(かたせ梨乃)と深い関係にあった。

まどかは星野との婚約を白紙に戻し、津村に乗り換えようとするが…。



北川まどかは、理想の条件を備えた同僚にプロポーズされた数日後、ほんとの恋に出会う。

したたかに生きるヒロインにおとずれた転機を、コメディタッチで描いた恋愛ドラマ。


ちなみに、タイトルの「ひとりでいいの」とは、孤独や疎外感に耐えられない人間には、

本当の恋はできないという意味である。


ヒロイン・まどかは、若さゆえの美貌をひけらかす女であり、周囲の女性社員からは

完全に浮いているが、本人はまったく気にしていない。

そんなOLたちのリアルで生々しい人間関係が細やかに描かれていて面白い。


脚本の内館牧子は、男に媚びを売るしか能のない、いわゆる同性に評判の悪い女を

ヒロインに仕立て上げるのが上手いが、本作では、それが一段と冴えている。













     



けんかラーメン


両親を亡くしたまゆみ(安田成美)は、賢司(風間杜夫)と一緒にラーメン屋を経営している。

賢司は、かつては食い逃げ少年だったが、まゆみの父親にラーメン作りを仕込まれ、更生したのだった。

二人はよく、はでなけんかをするが、要するにジャレあいのようなものだ。

ところがある日、ファッションメーカーの社長夫人が、ラーメン屋をやめて、高級パジャマの店を出せと
まゆみをたきつけたので事態は深刻化してしまう…。



まゆみと賢司は小さなラーメン屋に二人で暮らしている。
お嬢さん育ちのまゆみと、昔気質の賢司とは、しょっちゅう喧嘩が絶えない。

だが喧嘩するほど仲が良いなどという言葉もある。
我慢せずにお互いの考えを言い合える関係が、長続きするコツなのかも知れない。


まゆみは洋裁学校を卒業しており、その方面の仕事を志望していたのだが、両親が交通事故で
急逝し、やむなく店員だった賢司とともに、ラーメン屋を引き継ぐことになったのだ。

そんな折、まゆみと同窓の友人で、今はファッションメーカー社長夫人のふみ子から、
高級パジャマの店を経営してみないかと誘われる。



まゆみを演じた安田成美はこの当時、フジTV系「同・級・生」「素顔のままで」など、
トレンディドラマの主演が続き、順調にキャリアを重ねていた時期だった。

本作は、友人からファッション店の起業を誘われ、ぜひともその話に乗ってみたい気持ちがあるものの、
その一方で、ラーメン屋を閉店しなければならず、二者択一で揺れ動く心情を細やかに演じている。


また賢司を演じた風間杜夫は、古風で少し頑固なところがある店員を、彼ならではの持ち味で演じ、
演技派俳優としての実力を存分に発揮している。











     
     



いつかライオンの夢を


東京の会社に勤めていた中町俊郎(蟹江敬三)は、仕事上でミスを犯し、大阪支社へ転勤を命じられる。

妻の加津子(加賀まりこ)は、あれこれ理由をつけて東京を離れようとせず、俊郎は単身赴任となった。


大阪支社に出勤しても、俊郎は慣れない職場で肩身が狭い。 部下の小島(妹尾和夫)は、この際思いきり

羽を伸ばせばよいと俊郎をけしかけるが、不倫などとても無理な話だった。


そんな中、俊郎をただひとり温かく迎えてくれたのは、同じ部で働く折口さつき(国生さゆり)だった。

ある日さつきは「家の都合で食べて帰らなくてはならないので…」と、俊郎を夕食に誘う。



俊郎は食べながら「仕事の話かと思った。女の子が誰彼かまわず誘ったりするもんじゃない」などと

説教してしまうのだった。




本作は、テンポのよい軽妙な会話劇に加えて、俳優達の個性的な演技がストーリーに彩を添えている。


蟹江敬三が、左遷で余儀なく単身赴任した中年男の悲哀を演じ、見ているものにある種の愛情を抱かせ、

妻役の加賀まりこも自由奔放な専業主婦の雰囲気をよく表している。


ヒロインの国生さゆりは、大阪に単身赴任してきた俊郎(蟹江敬三)に、優しく接するOL・さつき役。

舞台が大阪ということで、九州出身の彼女は、大阪弁のアクセントを大特訓したという。


なお、タイトルの「ライオンの夢」は、ヘミングウェイの小説「老人と海」に登場する一節。

海から港に戻った老人が眠りにつき、百獣の王ライオンの夢を見るのだが、これは老いてもなお

強くありたいという願いの現れだという。

ドラマの後半、俊郎がさつきに、このライオンの夢を引き合いにして、自らの夢を語る場面がある。











統一教会


日本人は、カリスマに弱い民族と言われている。

特にわかったようなことを言う新興宗教の教祖に弱い。

個としての自覚が弱いので、カリスマにはついていきたくなるのだ。


新興宗教の信者数が1.8億人(2017年文化庁宗教年鑑)という数字が
それを如実に物語っている。なんと人口よりも信者数の方が多いのだ。



1992年に統一教会の合同結婚式に参加した山崎浩子が、翌1993年4月に婚約の解消と
統一教会から脱会を表明した記者会見で「洗脳されていました」と発言した。




洗脳(マインドコントロール)は、教祖をカリスマ視し、信者勧誘や信者管理のために
駆使する心理的手法として、その後、その是非を巡って国内で議論が巻き起こった。



1995年に発生した地下鉄サリン事件は、オウム真理教の教祖の指示で行われていたこと、
それ自体が衝撃であったが、その団体に多くの高学歴の青年たちが出家して所属していた。

また事件が明らかになってからも、教団を離れない多くの信者が存在していたことから、
マインドコントロールというものの威力を印象づけるものとなった。



もちろん、個人の信仰そのものは自由なので、よほど反社会的でない限り
「教義が間違っているから」とその宗教を否定することはむずかしい。

しかし、物事を客観的に検証する目を失い、誰かひとりのカリスマ的人物に
白紙委任したくなるような社会は、やはり健全な社会とは言いがたい。

何にせよ、安易な「依存」に救いはない。このことは忘れないようにしたい。










宮沢りえ


1987年、初代リハウスガールとして注目を浴び、一躍トップアイドルとなる。


1991年、18歳でまさかのヘアヌード集を出版。1992年11月、人気絶頂の関取・貴乃花と婚約。

だが相撲界の猛反対を受けた貴乃花は、2か月後、りえに婚約解消を告げた。


猛反対の理由は、ヘアヌードの出版が原因なのか、それともりえの芸能界引退

を巡るいざこざなのか、はっきりしたことは分からない。

いずれにしても「大人の事情」で二人は別れさせられたのは間違いない。





ショックを受けたりえは、しばらく芸能活動休止状態になるも、その後再起を果たす。

2003年、時代劇「たそがれ清兵衛」で日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞。

以降は、本格派女優として映画、舞台、テレビドラマで活躍を続けている。










     



クレヨンしんちゃん


しんちゃんは、夜中にママとパパがおいしいものを食べていると知り、徹夜を決心。

早く寝かしつけようとするママとの攻防戦が始まる。

                         (1993年5月17日「夜は大人の時間だゾ」)



主人公は、イタズラ好きの五歳の幼稚園児・しんちゃんこと野原しんのすけ。

春日部市を舞台に、彼とその家族を中心に巻き起こるドタバタコメディー。


元々は「週刊アクション」連載の下ネタやブラックユーモアを多用した成年向け漫画。

アニメ化された結果、一気に子供に人気が出てしまい「子供に見せたくない番組」に

常にトップ10入りしてしまうが、それを一切気にせず放送は続けられた。


しんちゃんは、大人の弱点をからかうのが趣味のませた幼児で、声を担当した矢島晶子

の独特のだみ声も、そのキャラクターをより際立たせていた。












美少女戦士セーラームーン


主人公、「月野うさぎ」は、ドジで泣き虫、勉強苦手、運動ダメの女の子。

でも、元気の良さと立ち直りの早さは天下一品で、食べることと寝ることが大好きです。

そんなごくごくフツーの女の子「うさぎ」の運命が、ある日、黒猫ルナと出会った時から、
ガラリと一変してしまいます。

月からの使者というルナによれば、「うさぎ」は選ばれたセーラー戦士で、
悪い敵をやっつけるのが使命なのだそうです。

そして、他のセーラー戦士たちと共に、月のお姫様を探し出さなくてはならないとの事。





突然のことで訳の判らない「うさぎ」でしたが、素敵な変身ブローチをもらって、すっかりルンルン気分です。

頼りないセーラー戦士「うさぎ」は、果たして地球を守り通すことが出来るのでしょうか…?


セーラームーンは、1990年代アニメ最大のエポック・センセーション。
少女向けアニメとして制作されたのだが、男女ともに幅広い層に受けた。

アメリカやヨーロッパ、中国、東南アジアなど世界中で大ヒット。

名セリフ「月にかわってお仕置きよ!」は、40ヶ国語に翻訳された。