11月 12 日  タイムカプセル (39) 平成5年 (1993年)  レインボーブリッジ  タイム・カプセル

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この年、皇太子浩宮徳仁(なるひと)と外務省職員だった小和田雅子が婚約し、4月12日に「納采の儀」(結納にあたる)が行われた。

6月9日に「結婚の儀」が行われ、皇居から東宮仮御所までパレードが行われ19万人の人出があった。 


(映画)第66回アカデミー賞「シンドラーのリスト
ジュラシック・パーク

東宝「高校教師」(唐沢寿明、遠山景織子)東宝「まあだだよ」(松村達雄香川京子、井川比佐志、所ジョージ)


(音楽)第35回レコード大賞「無言坂」(香西かおり)

負けないで」(ZARD)「YAH YAH YAH/夢の番人」(CHAGE & ASKA)「優しい雨」(小泉今日子)「サボテンの花」(財津和夫)「KISS ME」(氷室京介)「真夏の夜の夢」(松任谷由美)「島唄」(THE BOOM)「裸足の女神」(B'z)「渡良瀬橋」(森高千里)「僕たちの失敗」(森田童子)


(テレビ)いつか花嫁(NHK 高木美保、丹波哲郎、平田満、筧利夫)私が愛したウルトラセブン(NHK 田村英里子、松村雄基、仲村トオル、香川照之、財津一郎、佐野史郎)ひとつ屋根の下(フジ 江口洋介福山雅治酒井法子)誰にも言えない(TBS 賀来千香子、佐野史郎)高校教師(TBS 真田広之、桜井幸子)

定年、長い余白(TBS 小林桂樹、小川範子)カミさんの悪口(TBS 田村正和、篠ひろ子)夜空の晩餐会(TBS 小川範子、平田満)別れるための新婚初夜(TBS 沢口靖子、勝村政信)見合いの不始末(TBS 国生さゆり、段田安則)あすなろ白書(フジ 石田ひかり、筒井道隆)白鳥麗子でございます!(フジ 松雪泰子、萩原聖人)ダブル・キッチン(TBS 山口智子、高嶋政伸)

素晴らしきかな人生(フジ 浅野ゆう子、織田裕二)じゃじゃ馬ならし(フジ 中井貴一、観月ありさ)振り返れば奴がいる(フジ 織田裕二、石黒賢)都合のいい女(フジ 浅野ゆう子、宅麻伸)並木家の人々(フジ 武田鉄矢、陣内孝則、安田成美)闇を斬る!大江戸犯科帳(NTV 里見浩太朗、田中好子、西郷輝彦丹波哲郎、火野正平)同窓会(NTV 斉藤由貴、高嶋政宏)意地っぱり(テレ朝 小川範子、内藤剛志、可愛かずみ)美少女戦士セーラームーン(テレ朝)



                            



(スポーツ)Jリーグが誕生し、日本のサッカーは新しい時代を迎えた。
(ファッション)アウトドアスタイル。

(流行語)サポーター、マインド・コントロール、ナタ・デ・ココ(デザート)ポケベル、インターネット、コギャル、不良債権、リストラ、お立ち台

(社会)1/20第42代アメリカ大統領にビル・クリントン氏が就任。3/6ゼネコン汚職で金丸前自民党副総裁が逮捕。5/15日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)開幕。6/9皇太子・雅子さま御結婚。8/9細川連立内閣発足。8/26東京で東日本最大の吊り橋レインボーブリッジが開通、新しいデートスポットに。

(物故)オードリー・ヘップバーン(63歳) 藤山一郎(82歳) 田中角栄(75歳)逸見政孝(48歳)笠智衆(88歳)
(物価)初任給大卒 19万5463円

(その他)内野聖陽、NHK「街角」でドラマデビュー。菅野美穂、テレ朝「ツインズ教師」で女優デビュー。貴乃花、宮沢りえと婚約解消。葉月里緒奈、ドラマ「丘の上の向日葵」でデビュー。浜崎あゆみ、ドラマ「ツインズ教師」でデビュー。樋口可南子、糸井重里と結婚。松たか子、歌舞伎「人情噺文七元結」でデビュー。

ブルセラ、にっかつ倒産、ウインドウズ3.1、川島なお美写真集 WOMAN、石原真理子写真集 Marie!、ワイルド・スワン、Jリーグカレー(永谷園)



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僕たちの失敗 (高校教師 主題歌)









高校教師


ドラマでは、自分に自信がもてず、学園のなかで問題を起こす教師の孤独と心の闇が描かれる。


英語教師の藤村(京本政樹)は、端整なルックスから女子生徒たちのアイドル的存在だった。

だが裏では自分に好意を寄せる生徒をレイプし、それをビデオに撮影するという異常性癖を持っていた。


一方、主人公の理科の教師・羽村(真田広之)は、孤独な一面を持ち、繊細な性格であったが、

二宮繭(桜井幸子)との出会いで変化していく。

やがて二人の関係は恋愛に発展し、最終的に彼は、社会に行き場を失ってしまう。





教師と生徒との禁断の恋愛、そして強姦や近親相姦など、当時すでに問題となっていた「社会的タブー」を

次々と取り上げる展開は放送当時、視聴者に大きな衝撃を与えた。


緊張感のあるテーマにもかかわらず、森田童子の歌う主題歌「ぼくたちの失敗」に乗せて、淡々と展開される

映像描写は、どこか「はかなさ」ただよう独特の時代気分が感じられる。


最高視聴率33%を記録した最終回、警察から逃げる教師・羽村と女子高生・繭は、お互いを赤い糸で結んで

列車の座席で寄り添って眠る。赤い糸のついた繭の手が、列車の振動でダランと垂れる。


眠っているだけなのか、死んでしまったのか、このラストシーンは視聴者の論議を巻き起こした。










   




Jリーグカレー (永谷園)


プロサッカーリーグ、Jリーグが始まり、観客動員数400万人、チケット売上100億円、
その経済への波及効果は5000億円といわれ、予想以上の大人気となった。


広告にもJリーガーはひっぱりだことなり、なかでも「Jリーグカレー」は特に注目された。


サッカー少年の「まさお」が、カレーを食べるとヴェルディ川崎のラモス瑠偉に変身するという
CMで、当時の最先端のCGを採用して、大きな話題となった。














ひとつ屋根の下


柏木達也(江口洋介)は、実業団チームのマラソン選手として活躍している。

この度、めでたく結婚することになった彼は、兄弟たちに婚約を知らせにいく。


実は、達也の両親は、七年前に事故で亡くなり、兄弟六人は散り散りになっていた。

達也は、兄弟がもう一度、同じ屋根の下で、一緒に暮らすことを夢見ていた。


だが、幼い頃に生き別れとなったお互いの溝は深く、兄弟たちの反応は冷たかった。

とりわけ四男の文也(山本耕史)は、交通事故が原因で車椅子生活を送っていた。




そこで達也は、保護施設にいた文也を、自宅に引きとることにした。

だが、このことが原因で、達也の結婚は破談になってしまう。



離れ離れになっていた兄弟姉妹が、長男・達也の呼びかけで、再び同じ屋根の下に集まり、
それぞれの胸の内や秘密が、徐々に明らかにされることでストーリーが展開していく。


達也が熱く兄弟の愛を語り、兄弟姉妹が不倫、不良仲間、レイプなど様々な困難や葛藤を
乗り越えて応える姿が、視聴者の共感を呼び、最終回35.9%の高視聴率を記録。

また、主人公・達也のセリフ「そこに愛はあるのかい」は、当時の流行語になった。


前作の「101回目のプロポーズ」の純愛に続く、脚本家・野島伸司のこの兄弟愛のヒットで
トレンディドラマの時代は、完全に終わりを告げた。














いつか花嫁


名古屋で広告代理店に勤めるキャリアウーマンの菊子(高木美保)は32歳。

結婚を焦る彼女に、資産家の息子・篠田(筧利夫)が好意を寄せプロポーズする。


父に話すため、法事のついでに故郷・福井に帰った菊子だが、なかなか言い出せないまま

数日間滞在することに。


そんなある日、父の教え子で、福井の水族館で館長を務める手島(平田満)に再会する。







丹波哲郎扮する男ヤモメの父と、三十過ぎて独身の高木美保扮する娘。

反発する父娘の交流を描いたライトコメディー。


ドラマは父を嫌って家を出た娘・菊子が、母の十三回忌のため福井の実家に戻る。

淋しい老人暮らしと思っていた父親は、地元の水族館長だったころの教え子の世話や

趣味で元気に忙しく暮らしていた。


菊子は、かつて父が水族館中心で家族のことをかえりみず、母が亡くなったときも

水族館で病気の魚に付き添っていたことに確執があり、素直になれない。


彼女は名古屋で、実業家の恋人と結婚の約束をしているのだが、父の教え子だった

手島に、同じく好意を寄せられプロポーズされる。



主演の高木美保はこの当時、フジTV系「華の嵐」「夏の嵐」など、良家の令嬢役で

ドラマ主演が続き、順調にキャリアを重ねていた時期だった。


本作は、等身大のOL役で、都会で待つ青年実業家の恋人と、故郷で再会した中年近い

水族館長、対照的な二人の求婚者の間で揺れ動く女心を細やかに演じている。


また父親役の丹波哲郎(70歳)が、昔気質の元・水族館長を彼ならではの持ち味で

演じ、老成した名演を見せている。













     



意地っぱり


インテリア・コーディネーターの真理(小川範子)は、頼まれるとイヤと言えない性格。

先輩の加奈(可愛かずみ)や上司の室田(中村育二)から雑用ばかり押し付けられる。

恋人の勇次(渡辺航)まで、真理を運転手代わりにするしまつだ。

頭にきた真理は会社を休み、引っ越しを決行。だが、やっと借りた部屋は幽霊が出るという。

真理が不動産屋に文句を言いにいくと、地域の苦情係・犬丸(内藤剛志)が現れた。



主演は、はぐれ刑事の安さん(藤田まこと)の娘役で人気の小川範子。

本作では、会社でも恋人からもアッシーのように使われていたが、これからは嫌なことは
はっきりとノーと言える女性になろうと一念発起するヒロインを演じている。


ヒロインを支える相手役は、ミステリードラマの主演などで注目を集めている内藤剛志。
苦情処理やクレーム対応を商売とする、お人好しの男を好演している。













私が愛したウルトラセブン


ウルトラセブンシリーズの撮影が始まって一か月が経過した時、脚本家の赤井景介と

アンヌ役の女優が交通事故に遭い、赤井は死亡、女優は重体となる。


台本のストックも無いうえ、放送日も迫り、現場は騒然となる。


テレビ局プロデューサーの推薦で、石川(香川照之)という駆け出しの脚本家が呼ばれ、

翌朝までに、赤井の残した脚本の続きを書くことになった。

ヒロインのアンヌ役は、アルバイトに来ていた百合子(田村英里子)が急きょ抜擢された。




1960年代後半、この時期の特撮ドラマは、ほとんど「円谷プロ」の独占状態が続いていた。

子供たちは、毎週テレビのブラウン管に現れる怪獣たちに熱狂し、その怪獣と戦う

銀色のヒーローに魅了されたのである。


すでに半世紀以上の歴史を誇るウルトラシリーズ。夢見ることの大切さを教えてくれた

このシリーズは、登場人物の名前を聞いただけであの時のときめきがよみがえる。


とりわけ「ウルトラセブン」は、全シリーズ中、最高傑作だと評価するファンが多い。

本作「私が愛したウルトラセブン」は、このウルトラセブンという特撮ドラマの制作に

情熱を注いだ人々を描いたドラマである。


脚本の市川森一は、本作のサブタイトルに「夢見る力」と名付けた。

「人は、夢見る力がないと生きていけない」それは、市川氏が永遠に書き求めるテーマでもある。


人間はウルトラセブンのように空に飛び立つことはできないし、現実の事件はドラマのように

30分では解決しない。そして、どんな夢もいつかは覚めてしまう。

それでも私たちは希望を信じて夢を追い求める。

そんな夢作りの現場に集まった人々の想いの結晶が「ウルトラセブン」なのかもしれない。













振り返れば奴がいる


アメリカの大学から天真楼病院にやってきた青年医師・石川玄(石黒賢)は衝撃を隠せなかった。


そこには苦しむ患者を無視するかのように平然と振る舞う医師、司馬江太郎(織田裕二)がいた。

司馬の腕は超一流だが、医師としてのモラルは低い。


たとえば、助かる可能性がある場合は手術をするが、その見込みのない患者は、見殺しにするのだ。

患者のために、常に最善を尽くすべきだと考える石川にとって、司馬の存在は医師として許せなかった。

やがて二人は、医師としての信念を巡って、激しく衝突を繰り返していくのだった。




大病院を舞台に、性格の対照的な二人の医師の戦いが描かれる。


患者をいたわり、誠意ある治療を信条とする外科医・石川。

一方、勤務時間以外は、重症患者が運ばれても手術はしない。
延命治療を否定し、治らない患者は死なせろと言う冷酷な外科医・司馬。


医師としても人間としても傲岸不遜な司馬の言動が許せない石川は、
あらゆる手段をもって、司馬を病院から追い出そうとする。


そして、ある事件で司馬の過失を証明してみせ、ついに勝利する。

ある事件とは、司馬が末期がん患者を「安楽死」させてしまうのである。


患者を助けられないと判断した司馬は、それ以上無意味に延命することで
植物状態となることを予想し、その患者の蘇生処置を放棄してしまったのだ。

その結果、司馬は責任を問われ、病院を追われてしまう。


本作のテーマのひとつに「尊厳死」の問題がある。

それは、死を望む患者の意思を優先するべきなのか。
それとも、患者の延命を望む家族の意思を優先するべきなのか…。


医療が進歩している現代にあってもなお、患者が安楽死を望んだとしても、
尊厳をもって死を迎えることは、難しくなっているのが現状である。










     



じゃじゃ馬ならし


山田隆一郎(中井貴一)は、建設大手のマーキュリーコーポレーションの社員。

彼は、会社社長の北原まゆみと結婚するも、結婚式当日にまゆみが事故で他界。


悲しみにくれる葬儀の場に、まゆみの娘を名乗る北原夏美(観月ありさ)が現れる。

隆一郎は夏美の父親代わりになることを決意し、二人の同居が始まる。


だが専務の久保田(草刈正雄)の暗躍により、隆一郎は次期社長の座を追われ失脚。

まゆみの遺産であった豪邸をも失い、木賃アパートに移り住む羽目となってしまう。




花嫁が結婚式直後に亡くなり、その娘と名乗る気の強い帰国子女と同居することに…。

人気俳優・中井貴一と人気アイドル・観月ありさが奇妙な親子を演じて話題を呼んだ作品。


中井演じる父親は気が弱くて、お人好し。勝ち気でじゃじゃ馬の義理の娘(観月)に
バカにされてしまうが、この中井の三枚目ぶりが好評だった。


当時、大河ドラマなどでシリアスな役どころが多かった中井だが、本作では、コミカルな
一面がほどよく生かされた役柄で新境地を見せている。


一方、初共演となった観月も、そんな中井相手に、17歳のキュートな演技で堂々と渡り合う。


やがて二人は恋に落ちるのだが、このとき中井は貫禄の32歳、キャスティングの妙も加味
されて面白さが倍増し、本作は平均視聴率 21.8%の人気番組となった。














白鳥麗子でございます!


白鳥麗子(松雪泰子)は、超お金持ちの家に生まれたお嬢様。


彼女は、幼稚園の頃から哲也(萩原聖人)に思いを寄せていた。

でも、プライドが邪魔をして素直に思いを伝えられずにいた。


やがて大学生になった哲也を追いかけて上京した麗子。

今度こそ哲也に対して素直になろうとする。

だが、またしてもプライドが邪魔をして素直になれない。





実は、お金や裕福な生活も捨ててもいいほど、麗子は哲也が大好きだった。

麗子は、親友の京子から「早く哲也君に頼んで結婚してもらえば?」と言われる。

でも「結婚なんか、どこがいいのかしら」と心にも無いことを口にしてしまうのだった。



不器用でまっすぐな、麗子と哲也の恋愛模様が描かれる胸キュンラブコメディ。



数多くある恋愛ドラマの中で、キャスティングがピタリとハマった作品を見つけるのは、
ドラマファンの楽しみのひとつだ。


主演の松雪泰子は、幼い頃からバレエ・ピアノ・日本舞踊などを習っていた本物のお嬢様。

さらにモデル出身の彼女は、お嬢様ファッションも完璧に着こなせていたのが印象的だ。


ドラマの中の彼女は、典型的なツンデレキャラなのだが、結婚への夢を描く乙女心を覗かせたり、
恋する哲也にはひたすら健気になったりと、可愛いらしさもある女性を魅力的に体現している。

本作はまさに、松雪泰子にしかできないハマり役となっている。













     



夜空の晩餐会


写真学校の学生・真紀(小川範子)は、卒業旅行の資金稼ぎに工事現場でアルバイトをしている。

あるとき彼女は、交通誘導の作業中に貧血で倒れてしまう。

そんな真紀を介抱してくれたのは、秋田からの出稼ぎ労働者・浩三(平田満)だった。

その後も浩三は、何かと世話をやいてくれるのだが、真紀はうっとうしく感じてしまう。



卒業旅行の資金稼ぎに工事現場でバイトしていると、その現場で働く出稼ぎ労働者に説教されてしまう。


ヒロインを演じた小川範子は1988年、はぐれ刑事の安さん(藤田まこと)の娘役で人気を集め、以後は

ドラマ主演が多くなったが、相手役はどういうわけか「おじさま」が多く、今回も20歳年上の平田満。

色気はないが(笑)愛想が良くて明るい彼女は、おじさまウケがいいのかも知れない。


平田満は、もと舞台俳優だが、1982年映画「蒲田行進曲」で、屈折した冴えない大部屋役者を体当たりで

演じて一躍注目を浴び、以後は独特の雰囲気を醸し出す名脇役として数々の映画、ドラマに出演。

本作「夜空の晩餐会」では、朴訥で不器用な出稼ぎ労働者を人間味豊かに好演している。















並木家の人々


並木公平(武田鉄矢)は、大手銀行の課長。

だが学歴があるわけでもなく、上司に媚びへつらい、出世してきた叩き上げである。


弟・清次(陣内孝則)は、何千万円の借金に追われ、ヤクザまがいの仕事に手を染めている。

妹・花(安田成美)は、妻子ある男と不倫していたりと、弟妹二人は何れも問題を抱えている。


さらに父親・邦太郎(大滝秀治)は、沈没船の金塊さがしにうつつをぬかす道楽ものであった。

父親は、これまで家族にさんざん迷惑をかけてきたにもかかわらず、今だに一攫千金を狙って、
とある船を引き揚げるための資金作りに奔走している。




一方、借金返済に追い込まれた弟は「沈没船引き揚げ」をネタに、ヤクザが経営する金融屋から
金を引き出し、借金返済に流用してしまう。


そして沈没船を引き揚げなければ、ヤクザに命を奪われかねない状況に追い込まれる。

そんな中、父親の邦太郎は、沈没船引き揚げを果たせないまま、息を引きとってしまう。



やむなく長男である公平が、弟・清次の命を救うために、父親の遺志を継いだかたちで、
沈没船を引き揚げざるを得なくなる。


彼にしてみれば、沈没船の引き揚げに加担する事は、母親に苦労をかけて死なせた父親の人生を
肯定し、家族の為に死に物狂いで働いてきた己の人生を否定する行為に他ならない。


それは到底容認できる事ではなかったのだが、それでも彼は弟を救うため、家財を売り払って
資金を作り、沈没船引き揚げという最初で最期の大博打を打つ。


銀行員で生真面目な長男、夢ばかりを追うトラブルメーカーの弟、そして不倫に悩む気持ちの優しい妹。

それぞれの性格の違いからくる兄弟の葛藤の中で、家族の原風景が苦渋をもって浮かび上がってくる。

時として煩わしくさえ感じることがあっても、離れてしまうことはできない家族の絆を描いた作品である。










     



別れるための新婚初夜


満(勝村政信)と加奈子(沢口靖子)はたったいま、盛大な結婚式を挙げたばかり。

だが、幸せいっぱいのはずの二人の心は、すでに離ればなれになっていた。

加奈子に別の男がいることを、満が知ったのは式の数日前。今さら式を取りやめる

訳には行かなかった。そこで離婚を前提に式を挙げることにしたのだった。



式の寸前に不倫が発覚、周囲を欺くため、別れることを前提に結婚した二人の物語。


場面はいきなり、新婦・加奈子の「二次会なんか出ないわよ!」という喧嘩から始まる。
新婚ホヤホヤの新郎・新婦だが、二人の表情はかなり険悪だ。


式の数日前に加奈子の不倫がバレ、二人の関係は修復不可能になってしまったのだが、
世間体もあり一年限定で結婚することになったのだ。



普段はおっとり型の沢口靖子(28歳)が、ツッパった「不倫の花嫁」を熱演すると
いうことで話題となった作品。


一方、相手役の勝村政信(30歳)は、本作収録の二週間前に結婚したばかり。
今回の不倫妻の夫役は、どうもやりづらさを感じているようだ。

















定年、長い余白


妻を亡くした可合良介(小林桂樹)は、会社を定年後、気ままな一人暮らしをしている。


ある日良介は、父親の法事の帰りに家出娘の真弓(小川範子)と出会う。

良介は成り行き上、行き場のない真弓を家に置くことになった。


久しぶりに家族ができたような気分の良介に、かつての同僚が見合い話を持ってくる。

見合い相手は、未亡人だが子供はなく、明るい性格で人柄も申し分の無い女性だった。




良介はすっかりウキウキして、見合い後は、毎日に張り合いが感じられるのだった。



晩年を迎えた一人暮しの主人公が、ひょんなことから家出娘との奇妙な共同生活を始める。

若い娘との同居に戸惑いを感じる一方、一人身の寂しさは癒されるという、主人公の心の
深層を細やかに描き、高齢化社会の問題を正面から見据えた作品となっている。


本作は、第12回向田邦子賞(1993年)を受賞した。

脚本の岩間芳樹は、テレビ草創期から社会派ドラマを書き続けたベテラン作家である。

本作は、企業戦士の定年後の日常を私小説的に描いたものであり、岩間氏の作品としては
異色とも見られる。

だが、定年退職となった一個人の生き方という視点から、個人と社会の両方を見据えるという、
社会派ドラマとしての基本的姿勢が貫かれている。














     



見合いの不始末


紀子(国生さゆり)はバリバリのキャリアウーマン。

先日見合いをしたのだが、見合いのルールを破ってしまった。

仲人を通さず、直接見合い相手の親に断わりの電話を入れたのだ。

その夜、見合い相手の服部(段田安則)が紀子宅を訪問。

もう一度、紀子と話をしたいという。




見合いして断ったところ、相手は断られた本当の理由を知りたいと言う。


見合いをして断る場合は、仲人を通して断り、断られたら理由は深く追及しない
ことが基本的なルールとされている。

するとこの場合、女性も男性も双方、見合いのルールを破っていることになる。


ドラマの中で、見合いで断られたことに納得がいかない服部は、どういった点が
不満だったのかを紀子に尋ねる。

だが紀子は、不満などなく、むしろ服部は素敵な男性だと答えるのだった。



紀子を演じた国生さゆり(27歳)は、社会現象にまでなった「おニャン子クラブ」の
リーダー的存在として、1985年の結成以来、グループを支えて来た。


1987年にグループを卒業、以後は女優業に専念し、テレビドラマを中心に活躍。
服部を演じた段田安則(36歳)とは、1990年の大河ドラマ「翔ぶが如く」でも共演している。














カミさんの悪口


小泉由起子(篠ひろ子)は、ヒマと金をもてあましている優雅な専業主婦である。

一戸建てに住み、結婚18年目の夫がいるが、二人の間に子供はいない。


一方、夫の肇(田村正和)は、中堅商社の部長で、会社のOLたちに結構人気がある。

浮気願望もなくはないが、今までそれほど深入りせず、無難に過ごしてきた。


常務の茂木(橋爪功)と社長室長の片桐(角野卓造)とは、大学時代からの友人だ。

この中年三人組は、お互い家も近いことから、カミさんの悪口を言い合う仲だった。




ある日肇は、茂木から、彼の愛人・大場咲(松本明子)の面倒を見てほしいと頼まれる。

引き受けて食事をしたまではいいが、事の成り行きから、彼女は泥酔してしまう。


やむなく彼女を家に連れて帰ることになった肇は、妻・由起子の怒りを買ってしまう。




田村正和と篠ひろ子のW主演。熟年夫婦の日常を面白おかしく描くコメディドラマ。

駆け落ち結婚して18年。子供のいない二人にとって夫婦喧嘩がストレス解消となっている。


一方、同期入社の中年三人組が、飲み屋で顔を合わせて盛り上がるのが「カミさんの悪口」だ。

中年トリオが本音と建前を言い合う男の井戸端会議と、これに負けじとやりあう女房たちとの
テンポの良い展開が好評を博し、平均視聴率19.9%、最高視聴率23.7%を記録した。















       



闇を斬る!大江戸犯科帳


第11代将軍徳川家斉の治世。庶民の怒りをよそに、幕府の要人たちは、法の抜け穴を熟知し、

豪商らと癒着、私利私欲を貪っていた。

江戸の町には、凶悪犯罪が多発していたが、十分な取り締まりができない状態が続いていた。


旗本三千石の大目付・一色由良之助(里見浩太朗)は、表の世界では裁けぬ巨悪と対峙するため、

自ら「闇奉行」として立ち上がることを決意するのだった。




長七郎江戸日記(1983年−1991年)など、長いことNTV時代劇で主役を務めた里見浩太朗の最終作品。


里見が演じる一色由良之助は、大目付という幕府要職にありながら、自ら江戸の町に出て探索に当たり、

法で裁けない巨悪を「闇奉行」として成敗するという役どころ。


もうひとりの主人公として登場するのが、西郷輝彦が演じる北町奉行・小笠原能登守である。

小笠原は、由良之助の幼馴染であるが、杓子定規で堅物の奉行であり、庶民的で人情にも厚い由良之助とは

性格が真逆となっている。


物語は、世の裏側の不正に立ち向かう闇奉行・一色由良之助と、法や職務に忠実な北町奉行・小笠原能登守

という対照的な二人が、互いに競い合って事件を解決していくという筋立てになっている。


また「長七郎江戸日記」シリーズで共演した火野正平が、本作でも窮地を救ってもらったことを機に、

由良之助の子分・六助として活躍しており、彼独特の人懐こく軽妙なキャラクターを披露している。















      ジュラシック・パーク(JURASSIC PARK)1993年(米)

「ジュラシック・パーク」は、バイオテクノロジーによって恐竜を復活させた夢のテーマパークである。
ところがある日、セキュリティシステムが機能しなくなり、逃げ出した恐竜たちが人々を襲いはじめる。

映画は、恐竜を現代に蘇らせるという夢の実現と同時に、その恐竜の暴走によって巻き起こるパニック
が描かれ、バイオテクノロジーに対する人間の過信への警鐘がテーマとなっている。

当時の最先端CGによるリアルな恐竜の姿は観客の度肝を抜き、本作は世界中で大ヒットを記録した。

(監督)スティーヴン・スピルバーグ(STEVEN SPIELBERG)(出演)サム・ニール(SAM NEILL)
ローラ・ダーン(LAURA DERN)リチャード・アッテンボロー(RICHARD ATTENBOROUGH)
ジェフ・ゴールドブラム(JEFF GOLDBLUM)サミュエル・L・ジャクソン(SAMUEL L. JACKSON)