10月7日  タイムカプセル(29)昭和58年(1983年) タイム・カプセル

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この年、千葉県浦安市に東京ディズニーランドが開園。

アメリカ国外では初めてのディズニー・テーマパークのオープンに、世界14か国から

報道陣が詰め掛け、注目度の高さが伺えた。


(映画)第56回アカデミー賞「愛と追憶の日々」

「ET]「フラッシュダンス」「ランボー」「戦場のメリークリスマス」

東宝「細雪」(岸恵子吉永小百合佐久間良子古手川祐子石坂浩二)東宝「居酒屋兆治」(高倉健、加藤登紀子、大原麗子)東宝「南極物語」(高倉健、渡瀬恒彦、岡田英次山村聡夏目雅子)東映「セカンド・ラブ」(大原麗子)松竹「時代屋の女房」(渡瀬恒彦、夏目雅子津川雅彦、朝丘雪路)

東宝「刑事物語2 りんごの詩」(武田鉄矢酒井和歌子)東映「探偵物語」(薬師丸ひろ子)東映「楢山節考」(緒形拳、坂本スミ子)


(音楽)第25回レコード大賞「矢切の渡し」細川たかし

「フラッシュダンス」(アイリーン・キャラ)「越冬つばめ」(森昌子)「めだかの兄弟」(わらべ)「さざんかの宿」(大川栄策) 「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES」(松田聖子)「ワインレッドの心」(安全地帯)「探偵物語」(薬師丸ひろ子)「氷雨」(佳山明生)「時をかける少女」(原田知世)

「め組のひと」(RATS&STAR)「3年目の浮気」(ヒロシ&キーボー)「初恋」(村下孝蔵)「浪花恋しぐれ」(都はるみ・岡千秋)「メリーアン」(アルフィー)「What a Feeling」(麻倉未稀)


(テレビ)徳川家康(NHK 滝田栄、近藤正臣池上季実子役所広司武田鉄矢夏目雅子おしん(NHK 小林綾子、田中裕子、乙羽信子、伊東四朗)積木くずし(TBS 高部知子、前田吟)スチュワーデス物語(TBS 堀ちえみ、風間杜夫)金曜日の妻たちへ(TBS 古谷一行、いしだあゆみ

積木くずし(TBS 高部知子、前田吟、小川真由美、古谷一行)ふぞろいの林檎たち(TBS 中井貴一、時任三郎)牟田刑事官事件ファイル(テレ朝 小林桂樹津島恵子長七郎江戸日記(NTV 里見浩太朗、火野正平、野川由美子、三田明湖水祭(フジ 多岐川裕美、田村亮、杉村春子新珠三千代平幹二朗花ホテル(フジ 山本陽子、名高達郎、益田喜頓、大和田伸也、左とん平、山本学、松あきら、杉村春子吉田茂(フジ 森繁久彌新珠三千代吉永小百合岡田茉莉子上原謙芦田伸介山村聡




                                             





(スポーツ)佐々木七恵が東京国際女子マラソンで日本人初の優勝
(流行語)「頭がウニになる」「義理チョコ」「ニャンニャンする」「不沈空母」(中曽根首相)「軽薄短小」「ドジでのろまなカメ」

(社会)1/9自民党ニューリーダー中川一郎自殺。1/17中曾根首相訪米。4/15東京ディズニーランドが開園。6/13戸塚ヨットスクール事件で戸塚校長逮捕。8/21フィリピン、アキノ大統領暗殺。9/1大韓航空機墜落(大韓航空007便がサハリン上空でソ連のミサイル攻撃を受ける。乗員・乗客240人全員死亡)

10/5ポーランドの自主労組「連帯」のワレサ委員長、ノーベル平和賞受賞。11/9アメリカのレーガン大統領来日。11/12ロッキード事件で田中元首相に実刑判決、衆院解散へ。12/18総選挙では自民党大敗。



(物故)中川一郎、カレン・カーペンター、片岡千恵蔵、寺山修司、沖雅也

(その他)森尾由美「お・ね・が・い」で歌手デビュー。沖雅也、飛び降り自殺「涅槃で待ってる」の遺書が。高部知子ニャンニャン事件。ファミコン[任天堂] ワープロ書院[シャープ] 防虫剤ゴン「キンチョー] 豆乳
花咲アキラ「美味しんぼ」(ビッグコミックスピリッツ)原哲夫「北斗の拳」(少年ジャンプ)



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                         What a Feeling (スチュワーデス物語 主題歌)








スチュワーデス物語


元パーサーの村沢浩(風間杜夫)は、スチュワーデス訓練生の担当教官である。

彼には、新藤真理子(片平なぎさ)という婚約者がいる。

だが彼女は、かつて村沢とのスキー事故により、両手を失い、将来を嘱望された
ピアニストとしての夢も失ってしまったのだった。

村沢は、つねに真理子の両手を奪ったという責任を負い目としていた。


真理子は普段、義手をして手袋をはめている。だが、ことあるごとに口で手袋を外し、
義手を見せつけることで、村沢にプレッシャーを与えるのであった。



「ドジでのろまな」訓練生が、一人前のスチュワーデスに成長するまでの根性ドラマ。


落ちこぼれ訓練生の松本千秋(堀ちえみ)と教官との師弟愛に、訓練生仲間との友情や
ふれあい、さらに教官の婚約者の嫌がらせを絡ませ、若い女性層の人気を獲得。


本作は、日本航空の全面協力のもと、空港でのロケはもちろん、実際の訓練所や
客室を使用しての撮影が敢行された。


ヒロイン松本千秋のがむしゃらな奮闘ぶり、それを受け止める教官の大げさな叱咤激励など、
わざとらしい根性ものの演出が、逆にパロディーとして視聴者に受け入れられた。


また、麻倉未稀の歌う主題歌「What a Feeling」は、アメリカ映画「フラッシュダンス」の
カバーだが、国内ではオリジナルに匹敵するほどの大ヒットを記録した。











高部知子 (たかべともこ)


1967年東京生まれ。中学生の時にスカウトされ、NHK「ガラスのうさぎ」でデビュー。

1983年「欽ちゃんのどこまでやるの」で三つ子の長女のぞみ役として一躍有名になった。


だが1983年6月、写真週刊誌FOCUSに、ベッドでタバコを咥え異性と一緒に写った写真が掲載された。

当時、15歳だった為「未成年者の喫煙」「不純異性交遊」が問題視され、芸能活動自粛に追い込まれた。


その後、高部は勉学に励み、慶應義塾大学文学部を卒業。
保健福祉士の資格を取得し、全国でメンタルヘルスの講演や教育セミナーなどで活躍している。













積木くずし


テレビ俳優の穂高信彦(前田吟)は妻の三枝子、娘の香緒里(高部知子)の三人家族。

信彦は仕事柄、家を留守にすることが多く、娘の教育などは妻に任せきりだった。


香緒里は不在がちな父、そして母からの溺愛を受けたこともあり、幼い頃は内向的な性格で

中学校ではいじめの標的になった。


あるとき、他校の生徒から因縁をつけられ、負傷させられたことをきっかけに非行に走る。

不登校、家庭内暴力、シンナー、窃盗など、香緒里の非行はひどくなるばかりだった。



非行に足を踏み入れた娘と、以前の娘を取り戻そうとする両親との凄絶な闘い、葛藤を描く。


原作者の俳優・穂積隆信の実体験を綴った手記をドラマ化したもので、その内容が登校拒否や
家庭内暴力が社会問題化していた時期と重なって、視聴者の関心を集めた。


ヒット曲「めだかの兄弟」を歌った「わらべ」の一員・高部知子が、その清純なイメージを
かなぐり捨てた演技も過激を極め、話題となった。

本作は平均視聴率35.7%、最終回は45.3%という驚異的な数字を記録、反響の大きさを示した。













湖水祭


大手旅行代理店に勤める長谷兵庫(田村亮)は、北欧のコペンハーゲン支店に滞在している。

主な仕事はツアー添乗員で、もっぱら北欧三カ国を行ったり来たりしながら働いている。


あるとき彼は、現地に一人旅で来て、ホテルを捜している古河雪江(多岐川裕美)と出会う。

出会ったのは、観光ツアーの予約確認のために訪れたストックホルム郊外の古城だった。


しかしあいにくどのホテルも満室で、見かねた兵庫は自分の部屋を雪江に提供する。

その後兵庫は、得意先の依頼で、ストックホルムで事故に遭って亡くなった古河健志の調査に向かう。

だが調査を進めるうちに、雪江がその古河の妻だったことを知って驚く。





ツアー添乗員を務める長谷兵庫は、ストックホルム郊外で謎の女・雪江に出会ったことから

奇怪な殺人事件にまきこまれる。白夜の北欧に展開するミステリーロマン。


舞台はデンマーク(コペンハーゲン)スウェーデン(ストックホルム)フィンランド(ヘルシンキ)

の北欧三国と日本。

長く厳しい冬から一気に真夏に変化する北欧の気候と風土が物語の背景となっている。


ドラマはヒロインとなる謎の女性・雪江(多岐川裕美)と相手役のツアー添乗員・兵庫(田村亮)の

知らない同士が、ストックホルム郊外にある古城で出会うところから始まる。


兵庫は高名な国際舞台女優の古河左江(杉村春子)、その甥の会社専務・榊原宗一郎(平幹二朗)ら

得意客を観光案内していた。案内の途中、ストックホルムで事故死したある人物の調査を依頼される。


ドラマの第一回は、登場人物の相互関係はあまり明かされないが、女優の左江と会社専務の榊原の

感情を殺した能面ののような表情が、これから起きる連続殺人への二人の深い関りを暗示している。


物語は全体に会話を少なくした手法が、美しい湖や、中世の雰囲気を伝える古城などの背景でドラマに

不気味さを加えている。


なお「湖水祭」とは、北欧で最も日照時間が長い夏至に行われる最大のイベントである。

毎年6月21日前後の三日間が祝日となり、人々はかがり火を囲んで歌い踊り、楽しいひとときを過すという。















小林綾子 (こばやしあやこ)


1983年(昭和58年)は「おしん」の年だった。

貧しさの中でひたむきに生きる女性のドラマは、日本中に感動の嵐を巻き起こした。
中でも少女時代のおしんを演じた小林綾子は、名子役として人々の涙を誘った。

おしんの物語は、世界80か国で放映され、綾子はアジアの小さな大スターとなった。


やがて彼女は京都の立命館大学へ入学。
在学中の1991年、東映京都制作の「銭形平次」(北大路欣也主演)に出演。





茶店の娘おさよを演じた彼女の可憐な姿が、時代劇の能村プロデューサーの目にとまり、
池波正太郎の時代劇「剣客商売」で秋山小兵衛の奥方「おはる」に抜擢された。


こうして「おしん」は「おはる」になった。だが、おはるは辛抱する役ではない。

夫の秋山小兵衛(藤田まこと)は40歳も年上だが、粋な剣客である。
そして小兵衛の堅物の息子・大治郎(渡部 篤郎)と共に、鐘ヶ淵の住居で三人仲睦まじく暮らしている。


「剣客商売」は、いわば江戸時代のホームドラマだ。

真剣な立ち回りもあるが、焼きもち焼きのおはるに、小兵衛がやりこめられるなど
ユーモアある場面もあり、もちろん、池波作品に欠かせない料理の数々も登場する。










     



長七郎江戸日記


松平長七郎(里見浩太朗)は、将軍家に生まれながらも、大名の座を蹴り、市井に暮らす。

普段は素浪人・速水長三郎として、瓦版屋「夢楽堂」の居候として暮らしている。

ある日、長七郎は、とある辻堂で襲われている町娘を救い、夢楽堂へ連れて行った。

おてると名乗り、何を見ても物珍しげにのぞきこむその娘は、黒羽藩2万石の照姫だった。





徳川家光の弟・松平忠長の忘れ形見である松平長七郎(里見浩太朗)が、身分を隠して
江戸で暮らし、世にはびこる悪を退治するという痛快娯楽時代劇。


長七郎は、家光の甥に当たり、本来なら大名になってもおかしくない立場なのだが、
彼はむしろ、江戸の庶民として生きることを望み、すべてを断って野に下ったのだ。

そして、瓦版屋のおれん(野川由美子)の店で、仕事を手伝いながら居候している。


だが彼は、高貴な生まれと波瀾万丈な生い立ちのため、市井に身を置いても平穏に
暮らすことはままならず、様々な事件に遭遇してしまうのだった。


この時期の時代劇は、高貴な身分の武士が、市井に現れて、庶民の窮状を救い、
悪を懲らしめるというパターンが、多数現れて定着した。

「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」そして本作「長七郎江戸日記」もその一つである。

主演の里見浩太朗が醸し出す品格と、周囲の人々のアットホームな雰囲気が人気を呼び、
本作は、1983年から8年間続く長寿番組となった。


本作の見所は何といっても、里見の二刀流の立回りだ。東映の大先輩、市川右太衛門
の華麗な殺陣を復権させようとして、舞い踊るような美しい剣さばきを見せている。

とりわけ、悪党どもを斬り捨てた後の回転しながら二刀を収める納刀シーンは圧巻。














花ホテル


杏子(山本陽子)は、六甲山頂にオープンする花ホテルのオーナー。

彼女は二度の結婚に失敗、今は独身だ。


今回ホテルのマネージャーとして三樹(名高達郎)という男がやって来た。

女性のマネージャーを希望していた杏子だったが、しばらく様子を見ることに。


杏子の友人の麗(松あきら)が、クラブ歌手として働くことになったその夜、

思わぬ事件が起こった。

何者かがネコを睡眠薬で眠らせ、ベランダから吊り下げるなどのいやがらせを

はじめたのだった。





神戸・六甲山の山頂にある「花ホテル」を舞台とした平岩弓枝ドラマの新シリーズ。


山本陽子ふんするヒロイン杏子は、夫と別れ、ホテル経営に賭けるキャリア・ウーマンだが、

物語は毎回、謎の事件や滞在客を絡ませながら、彼女をめぐる複雑な人間模様が描かれる。


ドラマの第一回は、オープンまであと数日という準備のところから始まる。

マネージャーとして杏子の片腕となる三樹や、杏子の前夫(山本学)など、今後のドラマ展開

にかかわる人物が次々と出そろう。


だが、ここへいきなり睡眠薬を飲まされた数匹のネコが客室やロビー、料理室などに放置される

という何者かのいやがらせが発生する。


登場人物が要領よく紹介されたうえでの、この不気味なミステリー仕立ては、ヒロインと

周囲の人物たちとの過去のかかわりの複雑さを思わせ、同時にヒロインの前途多難も予想させる

興味しんしんの滑り出しとなっている。


なお、平岩弓枝の原作では、コートダジュールが舞台となっているが、ドラマ化にあたっては、

六甲山に舞台を変えている。

港町神戸を望む六甲山は、エキゾチックなリゾート地としても知られ、松あきらの歌う主題歌

「花ホテル」と相まって、しゃれた雰囲気のドラマに仕上がっている。












吉田茂


吉田茂は評価の分かれる政治家だ。

ある人は、戦後の日本の独立と復興に尽力した立派な政治家だと言い、

ある人は、日本を安保体制という重圧の中に押し込めた悪玉だと言う。


確かに「バカヤロー解散」など、暴言や失言が多かったが、そうした悪癖は

孫で元総理の麻生太郎にも受け継がれているようだ。


その麻生の母が、吉田の娘・麻生和子で、ドラマでは吉永小百合が演じている。





ドラマは、戦後の日本を背負って悪戦苦闘する政治家・吉田茂の半生を描く。

2.26事件から講和条約までの15年間を、貴重なフィルムを挿入し再現している。


主演の森繁久彌は、吉田茂に扮するに当たって、七年間伸ばしていた自慢の

アゴヒゲを剃り落して、見事に化け、本人にソックリだと評判になった。














牟田刑事官事件ファイル


牟田一郎(小林桂樹)は、神奈川県警・山下署の刑事官である。

子供達は独立し、今は妻の明子(津島恵子)と二人暮らしだ。


あるとき、久しぶりに休暇を取った牟田は、妻の明子と一緒に別府へ向かう。

現地で、知り合いの建設会社社長・石田(矢崎滋)とその妻・麻子に迎えられる。


妻の明子は、別府で行われる講演会に、講師として出席することになっていたのだ。

ところが講演会の翌日、牟田は殺人事件に遭遇してしまう。




被害者は元刑事で、事件がらみのスキャンダルに巻き込まれ刑事を退職していた。

二日後、そのスキャンダルをスクープした雑誌記者が横浜で不審な死を遂げる。



熟年刑事官・牟田一郎が、深い洞察力と人情味で難事件に挑む異色の刑事ドラマ。


刑事官とは、刑事たちのサポートを主な任務とする警察官である。

だが、階級は警視であり、刑事官が事件捜査全般の指揮をとることもある。


本作は、ベテラン俳優・小林桂樹が、真面目一徹で堅物な刑事官を演じており、
彼の個性で、人間的な温かみを湛えた人情刑事ドラマに仕上がっている。


また牟田刑事官を陰で支える妻役・明子を、津島恵子が一貫して演じている。

本シリーズは、1983年に始まり、小林が出演不可能になる2007年(平成19年)
まで24年もの長きに渡って放映された。












      フラッシュダンス(FLASHDANCE)1983年(米)

プロのダンサーを目指すアレックス(ビールス)は、昼は溶接工、夜はクラブのダンサーとして働きながら
練習に励んでいた。そしていよいよ、オーディションの日がやって来た…。

主演のジェニファー・ビールスは、ほとんど無名の新人、しかもダンスの経験は全く無し、というありさまだ。

本作のオーディションには、全米から四千人が参加したという。ダンスも演技もハイレベルのツワモノ達が
大勢押しかけたと思われる。だが、誰もかれも、彼女の前にあえなく敗れ去ったのである。

映画俳優にとっては、個人の魅力こそ最大の力なのだ。ジェニファー・ビールスの浅黒い肌、エキゾチックな美貌、
かもしかのような肢体、清潔なセックスアピールなど、彼女はそこにいるだけで、力を放った。絵になったのだ。

(監督)エイドリアン・ライン(ADRIAN LYNE)(出演)ジェニファー・ビールス(JENNIFER BEALS)
       
                                    What a Feeling(Irene Cara)















不沈空母 (Unsinkable Aircraft Carrier)


1949年、マッカーサーは「日本は共産主義への防波堤である」と演説した。

これは資本主義陣営の本丸、アメリカを、共産主義陣営の大国、ソ連と
中国から守るための、東アジアにおける最前線という意味であった。


1983年1月、訪米した中曽根首相は、レーガン米大統領と会談。

「日米は運命共同体」と表明したまではよかったが、ワシントンポストに語った
「日本列島を不沈空母に」発言で、日本政界は大揺れとなった。


中曽根は、日本が極東における「反共の防波堤」であると再確認することによって
アメリカに恭順の意を示し、自らの基盤を保とうとしたのである。




1976年、ロッキード事件が起こり、田中角栄が収賄容疑等で逮捕されている。

たが、ロッキード社の真の狙いは、旅客機ではなく、軍用機のほうにあった。

対潜哨戒機導入にあたっては、当時の通産大臣だった中曽根康弘をはじめとする
有力な自民党議員のほとんどすべてが、導入をめぐって賄賂を受け取っていた。


だが、対米追従を貫いた中曽根は追及されず、この事件で吊るし上げられたのは、
明らさまな反米路線を歩んだ田中角栄だけであった。


1972年、日中国交正常化、1974年、ソ連のサハリン石油開発への参加など
田中角栄の独自外交がアメリカの逆鱗に触れたのである。


(田原総一朗「アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄」中央公論社1976年7月)















徳川家康


岡崎の松平家は駿河の今川家、尾張の織田家という大国の間に挟まれていた。

当主の松平広忠(近藤正臣)は、先代から今川家に随身する政策を取って来た。


やがて広忠は、水野忠政の娘、於大の方(大竹しのぶ)を娶る事になる。 

二大国に挟まれた小国同志、手を携えて行こうという政略である。


最初は政略結婚に頑なだった広忠だが、於大の方の聡明さに、次第に心を開いてゆく。

天文11年(1542年)織田と今川の小豆坂の戦いがあった年に、嫡子竹千代が誕生した。




竹千代(家康)が生まれた年、今川義元は23歳、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。


群雄割拠の戦国時代、各地の英傑たちが天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。

それは弱小の松平家にとっては希望の星であった。




1950年(昭和25年)東京新聞に連載された山岡荘八の同名歴史小説のドラマ化。


戦国乱世を生き抜き、幕府を開いた徳川家康の苦難の道程を描いた意欲作。

従来のタヌキおやじ的イメージから離れ、主演の滝田栄が若々しい家康像を作り上げた。


家康の幼少期から天下統一に至るまで、その「堪忍」の思想を解釈してみせたことが

低成長時代に合い、また朝ドラ「おしん」ブームとも重なり、視聴率は30%を超えた。


滝田は家康が人質時代に住んだといわれる駿府の臨済寺にこもって、二週間の修行生活を

体験して役に臨んだという。


また「草燃える 1979年」で、滝田と共に下級武士を演じていた武田鉄矢の、自由奔放な

秀吉像も注目された。