7月18日   タイムカプセル(15)昭和44年 (1969年)     弘田三枝子      タイム・カプセル
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この年、人類初の月面着陸に成功。アメリカ(NASA)の宇宙船アポロ11号が、7月20日、月面への着陸に成功した。

アームストロング船長が月面に下り立ち、人類史上初めて地球以外の天体に足跡を残した。第一声は、「これは小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」。
政府はアポロの3飛行士に異例の文化勲章を授与。


(映画)第42回アカデミー賞「真夜中のカーボーイ」

大映「鬼の棲む舘」(勝新太郎高峰秀子新珠三千代、佐藤慶)東宝「地獄変」(中村錦之介仲代達矢、内藤洋子)ATG「心中天綱島」(岩下志麻、中村吉右衛門)日活「私が棄てた女」(河原崎長一郎、浅丘ルリ子)松竹「男はつらいよ」第一作封切 (渥美清倍賞千恵子、光本幸子)


(音楽)第11回レコード大賞「いいじゃないの幸せならば」佐良直美

 「夜明けのスキャット」(由紀さおり)「時には母のない子のように」カルメン・マキ「或る日突然」トワ・エ・モア「真夜中のギター」千賀かほる「港町ブルース」森進一「白いブランコ」ビリー・バンバン「黒猫のタンゴ」皆川おさむ「人形の家」弘田三枝子「フランシーヌの場合」新谷のり子 「First of May」Bee Gees

(テレビ)NHK大河ドラマ「天と地と」(石坂浩二高橋幸治)NHK「鞍馬天狗」(高橋英樹、坂東八十助、露口茂)NET「ヤングおー!おー!」(桂三枝、笑福亭仁鶴)TBS「水戸黄門」(東野英治郎、杉良太郎、横内正、山形勲)TBS「鬼警部アイアンサイド」TBS「8時だよ!全員集合」NTV「巨泉・前武ゲバゲバ90分」(大橋巨泉前田武彦)NTV「宇宙大作戦(スタートレック)」(矢島正明、久松保夫)

NTV「コント55号!裏番組をぶっとばせ!!」(萩本欽一坂上二郎)NET「クイズタイムショック」(田宮二郎)NET「風林火山」(緒形拳栗原小巻東野英治郎)TBS 花王愛の劇場「女の絶唱」(三ツ矢歌子、小泉博)TBS「柔道一直線」(桜木健一、吉沢京子)TBS「サインはV」(岡田可愛、中山仁)

TBS「S・Hは恋のイニシァル」(布施明、石立鉄男、伊東ゆかり)NET「ひみつのアッコちゃん」フジ「サザエさん」(加藤みどり、近石真介、大山のぶ代)フジ「アタックNO1」NTV「タイガーマスク」テレ東「プレイガール」(沢たまき、緑魔子、范文雀)



                                                   





(スポーツ)金田正一(巨人)400勝達成。夏の甲子園、松山商VS三沢高校、延長18回で史上初決勝戦引分け。

(流行語)「オー、モーレツ!」「はっぱふみふみ」「あっと驚くタメゴロー」「やったぜ、ベイビー」「エコノミックアニマル」「それを言っちゃあおしめえよ」「違いのわかる男」「クリープを入れないコーヒーなんて」

(社会)東大安田講堂に機動隊8500人(1.18)米、ニクソン大統領就任(1.20)東名高速開通(5.26)アポロ11号月面着陸(7.20)シャロン・テート惨殺事件(8.9)千葉県松戸市、すぐやる課を設置(10.6)

(物故)ヘレン・ケラー、ロバート・テイラー、堺駿二、成瀬巳喜男

(その他)由紀さおり「夜明けのスキャット」でデビュー。藤圭子「新宿の女」でデビュー。

ミディ・マキシ登場。パンティーストッキング。「天と地と」海音寺潮五郎「赤頭巾ちゃん気をつけて」庄司薫「さびしい王様」北杜夫。野球拳。ビニール公害。松下電器(VHS)。ソニー(ベータ)。「セイ!ヤング」(文化放送)ボンカレー全国発売(大塚食品)セブンスター(20本入 100円)発売。(日本専売公社)ドラえもん(小学館)モジャ公(週刊ぼくらマガジン)ワイルド7(少年キング)


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                      ひみつのアッコちゃん









ひみつのアッコちゃん


鏡の国からやってきた鏡の精がアッコに魔法のコンパクトをくれた。

そのコンパクトに向かって「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン何々になぁーれ」というと
あっという間に何にでも姿が変わってしまう。

しかし、この事はほかの人には絶対に秘密にしておかなければならなかった。


魔法使いサリーに続く東映魔女っ子シリーズの第2弾。主題歌は井上ひさし作詞。

歌詞はいきなり「そいつ」という代名詞から始まり、それが「鏡」とわかるや
さらに鏡の中から現れたのは誰?と謎をかける趣向でユーモア感にあふれている。

作曲の小林亜星も「サリー」に続く登板。歌詞の「シンデレラ姫」に合わせたためか
アニメソングとしては珍しいワルツの曲となっている。









     


オー!モーレツ!


この年、ブームを呼んだのが丸善ガソリンのCM。


車がビューンと走り抜けると、風圧で小川ローザのスカートがまくれ、

白いパンティがちらり。

ローザは、口元に手をやり「Oh!モーレツ!」


パンチラ・ポスターがよく盗まれた。

高度経済成長にひた走るビジネス社会の「モーレツ」ぶりを皮肉った

批判性も、パンティ以上にまぶしかった。













喫煙天国


セブンスターが発売された1969年、成人男性の80%が喫煙者だった。

街のいたるところでスパスパ吸う光景が見られた。


刑事ドラマの張り込みシーンなどでは、タバコは付き物だった。
刑事の足もとに落ちている「タバコの本数」が張り込み時間の長さを表す描写だったほどだ。

飛行機の中はあたり前にタバコが吸えた。もちろん喫煙所などなく座席でプカプカ吸えた。


電車の中でもタバコが吸えた。どの駅にもホームには灰皿が設置されていた。

電車が近づいてくると吸い殻を線路に投げ捨てるという光景もよく目にした。
電車を降りたらまたタバコに火をつけ、プカプカふかしながら階段を降りて改札を通った。




学校の職員室に行くと、喫煙する先生の机には灰皿が置いてあった。

職員室は煙のにおいがするのがあたり前だった。

当時は、タバコが「悪影響」とされなかった時代であった。

非喫煙者が受動喫煙の被害を訴えることなどありえなかったのである。












     



天と地と


天文16年(1547年)甲斐の大名・武田信玄は、領土拡大を期して隣国・北信濃を攻めた。

信玄はすでに南信濃を手中に収め、北信濃から越後をも狙わんとする勢いであった。


敗退を続ける北信濃の大名・村上義清は、やむなく越後の上杉謙信に援軍を要請。

謙信はこれに応えて挙兵し、天文22年(1553年)両軍は川中島(長野県)で対峙する。


戦いは双方が総力戦を展開し、謙信みずからが大刀をもって、信玄と一騎打ちをする
というほどの激戦であった。

両軍とも多数の戦死者を出し、勝敗は決しなかったが、北信濃は以降武田方の領有に帰した。


だが川中島における長期の戦いは、上杉・武田両氏にとって、兵力を消耗させただけであり、
最終的に、織田信長に上洛の先を越される結果となった。



戦国の動乱の時代を背景に、上杉謙信と武田信玄、両名将の人間模様をダイナミックに描く。


謙信役には「太閤記」で石田三成を演じて一躍人気を得た石坂浩二、信玄役には、
同じく「太閤記」で織田信長を演じて注目を集めた高橋幸治が抜擢された。


特に人気を博したのは、謙信の子供時代を演じた中村光輝(三代目・中村又五郎)である。

父親・長尾為景(滝沢修)に疎まれながら、健気に成長する様が多くの視聴者の涙を誘った。


川中島合戦のロケが行われたのは「相馬野馬追」で知られる福島県相馬市の郊外。

大河ドラマ史上、初のカラー作品だけにロケにも気合いが入り、地元の野馬追騎馬会のメンバーら
150名という、当時最大数のエキストラが参加、ヘリも出動したという。


本作の平均視聴率は25.0%、最高視聴率は32.4%という好成績を収めた。














     




コント55号!裏番組をブッ飛ばせ!!(NTV)


話題を集めたが、非難も大きかった番組。

問題となったのは、お座敷遊びの「野球拳」


女性タレントが野球拳で負けるたびに、着ているものを一枚ずつ脱ぎ、

それをセリにかけるゲームで、なかにはハダカになった者もいた。


これを真似て、学校で女子生徒に脱がせたり、銭湯でこれをやる子供が

続出し、低俗番組の代表と攻撃されたが、人気は高かった。















サインはV


この時期、東京オリンピックの余熱ともいうべきスポ根ものが大ブームとなった。

そのひとつが本作品で、女子実業団チームに入った少女たちが、鬼監督の指導の下で
鍛え抜かれて「X攻撃」「稲妻おとし」などを編み出しながら頑張るというドラマ。


主演の岡田可愛、中山麻理をはじめ、チームは全員バレーボールの経験はなかった。

番組収録に入る前に4日間、毎日3時間の柔軟体操、トランポリンを使ってのジャンプ、
回転レシーブを50本という猛特訓をやらされた。


岡田は腕が紫色にはれあがり、中山は腰を痛め、肉離れで入院寸前の選手も続出。

収録に入ってからも、ウサギ飛びのシーンなど、リハーサルを重ねてへばってきた
あたりで本番というハードさだった。




本作は、平均視聴率33%という高視聴率を記録したが、ファンには男性も多かった。

お目当ては「健康的なお色気」で、カメラはブルマーから伸びた足や、シャツが
めくれあがって肌がむき出しになる一瞬を意識して超アップでとらえた。


4年後の1973年、「サインはV」は、再びドラマ化された。

監督は同じく中山仁、コーチに岡田が昇格、ヒロインには坂口良子が扮している。












サザエさん


磯野家の七人家族の日常をほのぼのと描くアニメ。

原作は、終戦直後の1946年から1974年まで、新聞に連載された長谷川町子の4コマ漫画。


マスオは、磯野家の婿養子と間違えられることがよくある。

マスオ・サザエ夫婦は、マイホームを購入するまでの間、磯野家に一時的に同居している。


そのため、磯野家は、磯野家(波平)とフグ田家(マスオ)との二世帯住宅となっている。





また、サザエとカツオは姉弟だが、年齢が離れているため、カツオとワカメが

マスオ・サザエ夫婦の子と間違えられることがよくある。


これは戦前の大不況や戦時の苦しい時期で、子供をもうける余裕さえなかったという

当時の日本人には直ぐに察せられる事情があったためである。













プレイガール


保険調査会社「プレイガール」は現在、頻発する保険金詐欺事件を調査中だった。


このところ、複数の保険会社で契約したばかりの身寄りのない被保険者が死亡し、
保険金の受取人とされる、ある組織の実態を探っているのだ。


そんな折、殺し屋から命を狙われている典江(萩原宣子)という女性を保護する。

典江の恋人は、ある組織の秘密を知ったため殺され、彼女も狙われているという。


だが、プレイガールたちが目を離した隙に、部屋でひとりになった典江は
殺し屋たちに殺害されてしまう。




気落ちしていたプレイガールたちだが、典江の遺品からあるモノを見つける。
それは、典江が働いていたと思われるクラブ「メデュサ」のマッチだった。

プレイガール一同は、従業員に化けて潜入調査を開始しようとするのだが…。



お色気ムンムンの私立探偵団のメンバーが活躍するパンチラ・アクションもの。


保険会社の女性調査員で組織された私立探偵団が、保険に絡む詐欺や殺人
などの事件に男顔負けのパワーを発揮して活躍する。


メンバーはいずれもセクシーな美女たちで、温泉につかって作戦を練ったり、
ミニスカートの足を高く蹴り上げるなど「悩殺シーン」全開だった。


徹底した娯楽アクション路線が大評判を呼び、初代メンバーは姉御肌の沢たまき
ほか7名だったが、その後次第に増え、通算22人のプレイガールが生まれた。










     



鬼警部アイアンサイド


サンフランシスコ市警のアイアンサイドは、犯罪者の凶弾によって下半身不随となってしまう。

だが根っからの刑事である彼は、嘱託として復帰。


部下の巡査部長エド、婦人警官イブ、そして運転手兼助手の黒人青年・マークを従え、

車椅子に乗りながら難事件を解決していく。




鋭い頭脳と精神力、腹心の部下の協力で、車椅子に乗ったまま、犯罪捜査に挑み、

犯人を追い詰めていくという、異色の刑事ドラマ。


ミステリー作品には、現場に行かずに推理する安楽いす探偵が登場するが、彼は全く違う。


体のハンデなど気にもかけずに、どこでも駆けつけ、抑えきれぬ正義感で不正を罵倒し、

強引な手を使ってでも犯人を逮捕する。


オープニングのセリフ通り、彼は「世に存在する悪を許すことはできないのだ」













水戸黄門


水戸黄門は、異様に視聴率の高い番組だった。

1970年代から80年代にかけて国民的な人気番組だったと言っていい。

番組が制作された当初は「古い作品だから当たるわけがない」と思われていたという。
だがその後、42年間にわたり放映が継続されたのだから驚きというほかはない。


この番組の功績は「時代劇のお決まりのパターン」を確立したことにある。

身分を隠して旅をしている黄門様が、災難に見舞われている人たちに出会う。
その背後にいる悪の親玉を見つけて、立ち回りシーンがはじまる。





そして8時45分ころに、葵の御紋いり印籠を見せて、悪人どもがひれ伏す。
ハッピーエンドとなり、黄門様一行はまた次の旅に出る、というパターンだ。


視聴者は、次にどんな展開があるのか読めるので安心して見ることができる。

悪人が懲らしめられ、晴れ晴れした気分になり、また次も見たくなるわけである。


この「何分に何をやる」という構成のわかりやすさは、後に続く「遠山の金さん」や
「暴れん坊将軍」に受け継がれることになった。


こうして身分の高い権力者が、市井に交ざって悪事を暴き解決するという時代劇の設定は、
視聴者の期待を裏切らず、安心して見ていられる番組としてお茶の間に定着したのである。













宇宙大作戦(スタートレック)


時は23世紀。人類は宇宙に進出し、他の知的生命体とともに惑星連邦を結成していた。


本シリーズは、その惑星連邦に属する宇宙艦隊の宇宙船エンタープライズ号のクルーを
主人公にした、1時間1話完結のドラマである。


勇敢なカーク船長、冷静沈着なバルカン人の副長スポック、人情味のあるドクター・マッコイの
三人が中心となり、それぞれの個性を生かして、困難を乗り越えていく。

この三人の魅力的なキャラクターが、そのままドラマの魅力となっている。


23世紀の人類は、貧困や戦争を克服し、ワープ航法や物質転送装置など、高度なテクノロジー
を駆使して、惑星連邦の一員として銀河の平和に貢献している。

そんな楽観的な未来主義が「スタートレック」の魅力であり、本質であるといえるだろう。









 


   
 
第1話「惑星M113の吸血獣」(The Man Trap)1969年4月27日放映

(制作)NBC(アメリカ)(放映)日本テレビ

(配役)カーク船長(ウィリアム・シャトナー)(声:矢島正明)スポック(レナード・ニモイ)(声:久松保夫)

マッコイ(デフォレスト・ケリー)(声:吉沢久嘉)ウラ(ニシェル・ニコルズ)(声:松島みのり)

クレイター博士(アルフレッド・ライダー)(声:千葉耕市)ナンシー(ジャンヌ・バル)(声:水城蘭子)