7月16日   タイムカプセル(13)昭和42年 (1967年)   タイム・カプセル
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この年、ミニの妖精「ツイッギー」来日(10/18)。「小枝のような」という意味のニックネーム通り、
身長168センチ、体重41キロの超スリムの英国人ファツションモデル。

記者会見に現れたツイッギーは、ひざ上30センチの超ミ二姿で度肝を抜いた。
これがベビーブーム世代を中心に、ミニスカート旋風を巻き起こした。


(映画)第40回アカデミー賞 「夜の大捜査線

007は二度死ぬ」(ショーン・コネリー丹波哲郎浜美枝、若林映子)「おしゃれ泥棒」

松竹「智恵子抄」(岩下志麻、丹波哲郎、平幹二朗南田洋子)松竹「日本春歌考」(荒木一郎)東宝「上意討ち」(三船敏郎司葉子)東宝「乱れ雲」(司葉子、加山雄三、草笛光子、森光子)東宝「父子草」(渥美清淡路恵子石立鉄男星由里子

東宝「日本のいちばん長い日」(三船敏郎、宮口精二)大映「座頭市血煙り街道」(勝新太郎近衛十四郎高田美和)大映「痴人の愛」(安田道代、小沢昭一、田村正和)大映「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(本郷功次郎、笠原玲子、阿部尚之)


(音楽)第9回レコード大賞「ブルー・シャトウ」ジャッキー吉川とブルー・コメッツ

 「恋のフーガ」ザ・ピーナッツ
世界は二人のために」佐良直美「帰ってきたヨッパライ」ザ・フォーク・クルセダーズ「小樽のひとよ」鶴岡雅義と東京ロマンチカ「この広い野原いっぱい」森山良子「僕のマリー」「モナリザの微笑」タイガースビュー

(テレビ)フジ「スパイ大作戦」(若山弦蔵、納谷悟朗、山東昭子)フジ「万国びっくりショー」(八木治郎)フジ「リボンの騎士」TBS「冒険ガボテン島」TBS「ウルトラセブン」(森次浩司、菱見百合子、中山昭二、石井伊吉、阿知波信介、古谷敏)TBS「コメットさん」(九重佑三子)

TBS「チャコねえちゃん」(四方晴美、宮脇康之)NTV「」(丹波哲郎、木村功、鶴田浩二)NET「ジャイアントロボ」(金子光伸)NET「ピュンピュン丸」(田上和枝)NET「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ」(熊倉一雄、松坂慶子関千恵子)NET「俺は用心棒」(栗塚旭、左右田一平、島田順司)




                  





(スポーツ)藤猛、ジュニアウェルター級チャンピオン奪取。高見山、初の外人関取に。

(流行語)ボイン、ヤマトダマシイ、昭和元禄、蒸発、核家族、マイカー族、フリーセックス、星の王子さま

(社会)米軍、ベトナムで枯葉剤、国際世論の非難(2.6)建国記念日の制定(2.11)四日市ぜんそく公害訴訟(9.1)ツィッギー来日(10.18)吉田元首相死去、戦後初の国葬(10.20)

(物価)理髪料 420円 大卒初任給 26,150円

(物故)山本周五郎、ヴィヴィアン・リー、吉田茂

(その他)栗原小巻「三姉妹」(NHK)でデビュー。 浜木綿子、松竹「稲妻」でデビュー。吉沢京子、東宝「燃えろ!太陽」でデビュー。ザ・タイガース「僕のマリー」でデビュー。

クリープ、アングラ族「頭の体操1」多湖輝「英単語記憶術」岩田一男。「マクルーハンの世界」竹村健一。リカちゃん人形(タカラ)雷戦ゲーム(エポック社)ヒッピー族。ミニスカート大流行。


あしたのジョー(少年マガジン)幻魔大戦(少年マガジン)天才バカボン(少年マガジン)どろろ(少年サンデー) 柔道一直線(少年キング)夕やけ番長(冒険王)田舎っぺ大将(小学五年生)もーれつア太郎(少年サンデー) 無用之介(少年マガジン)パーマン(少年サンデー)ゲゲゲの鬼太郎(少年マガジン)冒険ガボテン島(少年サンデー)




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                      3人家族 (あおい輝彦)





     



3人家族


「あの人はどこの誰なのだろう」と気になる雄一。


奇妙な偶然だが、電車の中で、その女性を3度も見かけたのである。
ちらりと見たにすぎない彼女との3度の偶然。

雄一(竹脇無我)の記憶には意外な根強さで残っていた。


家に帰ると、弟の健(あおい輝彦)が夕食を作っていた。

父・耕作(三島雅夫)も帰ってきて、親子3人で食卓を囲む。


「おいしいの一言もないじゃないか」と言う健。

「毎日野菜炒めとカレーばかりじゃ言いようがないだろ」と雄一は言い、健は怒る。

耕作は、定年1年を残して庶務課長に昇進するので、明日はお祝いだと言う。



翌日、雄一は同僚の付き合いで麻雀に行き、健と耕作は先にお祝いを始めた。

麻雀の帰り、雄一はまた、あの女性を道路の向こうで見かけた。


これは単なる偶然なのだろうか。無論だ。偶然でなければなんだと言うのだ。

しかし、美しい横顔だった…。




満員電車での偶然の出会いから始まった恋をきっかけに、男ばかりの柴田家と、
女ばかりの稲葉家の、2つの「3人家族」の心温まる交流が描かれる。


名匠・木下恵介に師事する山田太一が、シリーズ全26話の脚本を担当。

母子家庭・父子家庭のリアルな描写と、一目ぼれしたものの、なかなか積極的に
近づけない2人のもどかしさが共感を呼び、平均視聴率30.7%を叩き出した。











大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス


突如日本列島を地震が襲い、その影響で富士山が火を噴いた。


続いて、高速道路を建設中だった現場付近の山で青い怪光が目撃される。

調査団のヘリが現場に向かうが、謎の怪光線によってヘリは切断される。


英一少年はその山に登るが、コウモリの翼を持った怪獣に遭遇し窮地に陥る。




それは噴火により、太古の眠りから覚め、地上に現れた怪獣ギャオスだった。


そこにガメラが現れ、怪獣同士のすさまじい決闘がはじまる。

だがギャオスの怪光線によって、ガメラの皮膚は切断されてしまう…。



前作「ガメラ対バルゴン」が、大人向けだったのを軌道修正し、本作では子供向けに路線が
変更され、科学者や自衛隊よりも、子供が主導権を握るという大映特撮の方針が見て取れる。


時代は高度成長まっ盛り。建設現場となった山奥の村人たちは、道路建設に反対するのだが、
それは立退き料を吊り上げようと村長が考えており、村人もそれに従っているのだった。

村長・金丸辰衛門を演じた上田吉二郎は、時代劇などでは小悪党の役が多く、そのイメージ通り、
金にがめついのだが、映画の後半は反省して、ギャオス撃退のために協力するようになる。


この金丸という名前は、後に政界のドンと呼ばれた金丸信を連想させ、丸ごと金という拝金日本
を皮肉る役名であることは明らかであり、時代を風刺する意図も垣間見られる作品となっている。










       



コメットさん


ベーター星のおてんば娘コメットさんは魔法のバトンをふりまわしてイタズラばかり。

怒った校長先生はコメットさんをロケットにしばりつけて「地球へでも行ってしまえ!」


地球に降り立ったコメットさんは、出会った武と浩二に「うちへおいでよ」と言われる。

河越家のお手伝いさんになった彼女は、地球での困り事を魔法を使って解決していくのだった。



ベーター星からやってきたイタズラ娘コメットさんが、魔法の力で夢を振りまくファンタジー。

交通ラッシュを見れば、バトンの一振りで虹の陸橋を架け、安いカーネーションをカトレアに
変身させ、体の伸縮も変幻自在のコメットさん。




彼女は、星の学校でイタズラが過ぎて、地球に追放されたのだが、その途中で星にラクガキ
してしまうほど、おちゃめで好奇心旺盛。


だが、彼女が調子に乗りすぎると校長先生が現れ、バトンはたちまち筆に早変わり。

頬に大きなバッテンをつけられてしまう。


魔法のバトン一振りで願いを叶えてくれるコメットさんは、一躍子供たちのアイドルになった。











チャコねえちゃん


チャコ(四方晴美)は、パパとママ、おばあちゃん、そして健一(宮脇康之)との五人家族。


弟の健一とは、普段は仲がいいのだが、たまにはケンカをしてしまうことも。

その日も口ゲンカをしてしまい、ふてくされて外に飛び出す健一。


健一は、神社の階段に女の子の長靴が片方落ちているのを見つける。

シンデレラの物語を空想しながら喜んで持ち帰った健一は、綺麗に洗って落とし主を探す。

ようやく落とし主を見つけて、その家に長靴を届けた。




だが、その女の子の母親に「本当はあんたが盗んだんじゃないの?」と言われてしまう。

その言い方に、健一の心は深く傷つくのだった。



「チャコちゃん」シリーズの第四作目。この作品から宮脇康之演じるケンちゃんが登場した。

四方晴美演じるおてんば少女・チャコを中心に、平凡な家族五人が繰り広げる日常生活と
子供たちの成長を描いたホームドラマである。


優しいパパとママ、おばあちゃん、そしてチャコちゃん、ケンちゃんという
どこにでもいそうな姉弟の一家は、当時の子供たちの理想のファミリーだった。


当時のドラマといえば「肝っ玉かあさん」や「おやじ太鼓」など、親が中心に話が展開する
家族ドラマが多い中、本作は、子供が主役を演じる元祖「子供ドラマ」だった。


テレビを観ている子供たちは、登場人物に自分たちを投影したり、共感したりしていた。

チャコちゃん、ケンちゃんを演じた四方晴美と宮脇康之のもとには、子供たちから
たくさんのファンレターが殺到したという。













ウルトラセブン


「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続く円谷プロの空想特撮シリーズ第3弾。


怪獣や怪現象が物語の中心だった前2作に対し、本作では徹底して「人類VS侵略宇宙人」
というテーマで描かれた。


宇宙の侵略戦争が激化するなか、地球防衛軍の「ウルトラ警備隊」にモロボシ・ダンが入隊。

ダンこそがM78星雲から地球観測に来たウルトラセブンで、侵略の危機から地球を守っていく。


ウルトラセブンの必殺技は、ウルトラマンの光線技とは違い「アイスラッガー」である。

頭上に乗った刃状の宇宙ブーメランを、両手で前方に飛ばし、怪獣などを攻撃する。




怪獣の首がボロリと落ちるという見た目のインパクトは絶大で、最も知名度の高い技である。


また本作の特撮技術は、前作よりも格段に向上し、デザインセンスも洗練され、内容も高年齢に
向けた大人のムード漂う深いドラマ性のあるものが多くなっている。


第6話「ダーク・ゾーン」では、地球と衝突しそうになったペガッサ星人の宇宙都市を
ウルトラ警備隊が爆破してしまう。

宇宙都市に住んでいた住民とは、状況と努力次第で地球人と平和的に共存できた可能性もあり、
本来は悪意のなかった宇宙人との共存の道を見出せなかった悲劇が描かれている。










     



忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ


伊賀の山奥の忍者学校を卒業し、街に武者修行へやってきたハットリくん。


ひょんなことから知り合った少年・フジ夫の家に居候することに。

ところが街の習慣を知らず、次々と珍騒動を巻き起こしてしまう。


ハットリくんは、何とも言えないトボケたお面をかぶっている。

当時、夏祭りとかの夜店でハットリくんのお面は必ず売っていた。

子供たちは、ハットリくんになりきって原っぱを走り回っていたものだ。





ところでハットリくんは、走るときに「ニンニン」、しのび足の時も「抜き足差し足」と口ずさむ。

それじゃ敵に見つかってしまうのでは? まだまだ修行が足りないようでござる。


なおフジ夫のお姉さん役で、当時15歳の松坂慶子が出演しているのは、特撮ファンには有名な話。

また脚本は「服部半蔵」となっているが、その正体は、直木賞作家の井上ひさしである。












     






史上最強の剣豪といわれる剣の達人、戸沢一刀斉(丹波哲郎)は、

あらゆる難敵を打ち倒し、織田信長から「天下一」の称号を受ける。


彼の才能の中で、最も卓越したのは「見切り」という計算力だった。

試合の相手を選ぶとき、必ず己よりも弱いと見切ってからでなければ、立ち合わなかった。


一刀斉の「剣」は無銘だが、信長が欲しがるほどの逸物で、その剣を持つと不思議にも

「あなたは天下一です」という「声」が必ず聞こえていたという。


やがて「もはや戦う相手はいない」と引退し、安穏に暮らそうとする一刀斉の前に、

一人の若者が現われる。その名は宮本武蔵(鶴田浩二)


一刀斉は真剣勝負を申し込んできた武蔵との戦いに挑むのだが…。




無銘だが、物凄い切れ味を持つ一振りの剣が、戦国から幕末まで、何人もの持ち主の手を

転々とする間に、持ち主が様々な問題に直面していくという一話完結の物語。全46話。


剣を主人公にし、剣にも語らせながらドラマが進行するという異色の時代劇である。













俺は用心棒


竹林の奥深い山道を、ひとりの商人が慌てて駆け上がって来る。

侍の追っ手から逃げて来たその男は、近くにあった廃屋へ入り込んで隠れる。


だが、廃屋の奥には、一人の浪人が横になっていた。

ギョッとする商人は、浪人へ迷惑をかけまいと、すぐ小屋から出ようとした。


しかし、後ずさりして再び小屋へ入り込んでくる。





起き上がった浪人が外を見ると、追っ手が迫ってきていた。

追っ払ってやろうか? … 目だけで無言の契約を交わす浪人。

息を潜めて頷く商人。


追っ手二人の侍の前へ、おもむろに現れた浪人は、あっさりと告げる。

「オヌシたち … 人を探しているのだろう? … この中におる …」


中で見ていた商人の男はギョッとする …。

すかさず浪人は、侍たちを刀のミネでブッ倒してしまった。




1965年「新選組血風録」で、土方歳三を演じて人気を得た栗塚旭主演の時代劇。


幕末を舞台に、用心棒を稼業とする謎の浪人(栗塚旭)、柔術師範・品田万平(左右田一平)

そして若き剣士・田島次郎(島田順司)のトリオが、様々な事件に関わり合う。

そこで浮き彫りにされる庶民の哀歓がテーマとなっている。


用心棒とその仲間が、町の片隅に生きる弱い人間の用心棒をするという物語の構成となっているが、

単なる勧善懲悪ではなく、不条理な世に翻弄される登場人物たちの姿を描くことが中心となっており、

用心棒たちはその水先案内人に過ぎないという、本作品独特の世界観を作り出している。



異色の時代劇として人気を呼んだ本作は、以降、1968年「待っていた用心棒」「帰ってきた用心棒」

1969年「新・俺は用心棒」「天を斬る」と続けざまにシリーズ化された。











       



スパイ大作戦


一流写真家として活躍するデビッドは、実は某国のスパイであることが発覚した。

彼は、大量のペスト菌をアメリカ国内にばらまこうと計画していた。


今回の指令は、彼が某国との連絡に使う暗号を解読し、細菌テロを阻止せよとのこと。

指令を受けたIMFのリーダー・ジム・フェルプスは、早速行動を開始する。




秘密指令の最後のセリフ「諸君の生死について当局は一切関知しない」が、

小学生の間で流行したスパイドラマ。


米ソ冷戦のこの時期、映画では「007シリーズ」(1962年)が大ヒット、

TVでも「0011ナポレオン・ソロ」(1965年)が人気となっていた。


本作は、単独ではなくチームで活動する新しいスパイドラマで、実行不可能と思われる

指令を遂行するのがジム・フェルプス率いるIMF(Impossible Mission Force)の精鋭たち。


変装名人ローラン、お色気担当シナモン、メカの天才バーニーなど、変装やハイテクを

駆使して、悪人集団に挑む特殊技能のエキスパートたちの活躍が、視聴者を魅了した。


そして、本作の顔ともいうべき指令は、毎回テープとは限らない。レコードだったり、

フィルムだったり、ときには「自動的に消滅」せず、フェルプスが処分することもあった。














日本劇場 (有楽町)


「娯楽のメッカ」と呼ばれた日劇の歴史は半世紀におよぶ。


1933年(昭和8年)竣工、三層・約2,600の客席からなる大劇場で、映画上映のほか
「日劇ダンシングチーム」のレビュー「エノケン一座」の公演なども行われた。


歌手、踊り子、コメディアンなど芸能人にとって、日劇の舞台に立つことが、
一流芸能人の証となる憧れの地でもあった。


美空ひばりのデビュー(1949年)も日劇だった。






1967年(昭和42年)2月「僕のマリー」でデビューしたザ・タイガースは、同年5月5日
から1週間に亘って開催された「日劇ウエスタン・カーニバル」に単独初出演した。


当時人気絶頂のバンド、ブルーコメッツも出演するとあって、大きい日劇のまわりには、
二重も三重もファンの長い列ができた。



ステージを縦横無尽に動き回るタイガースの若々しいアクティブなパフォーマンスは、
女性ファンを熱狂させ、同日発売の2ndシングルも40万枚を超えるセールスを記録。


昨年のビートルズの来日、そして今年の日劇ウエスタン・カーニバルの熱狂と、
世はまさにグループサウンズ時代を迎えることになった。


カラーとなったゴールデンアワーのテレビ画面から、ファッショナブルなタイガース、
長髪でミリタリールックのスパイダースなどが、お茶の間に躍り込んできたのである。