この年、日本テレビ「スター誕生」第11回優勝の岩崎宏美が「二重唱」でデビュー。
続く「ロマンス」とも、豊かな声量と抜群の歌唱力で大ヒットを記録。
ゴールデンアロー最優秀新人賞、日本レコード大賞新人賞など各賞を総ナメにした。
(映画)第48回アカデミー賞「カッコーの巣の上で
「ジョーズ」「タワーリング・インフェルノ」「エマニエル夫人」「エアポート '75」「ハリーとトント」
松竹「友情」(渥美清、中村勘九郎、松坂慶子、笠智衆)東宝「青春の門」(吉永小百合、田中健)東宝「潮騒」(山口百恵、三浦友和、津島恵子)東宝「絶唱」(山口百恵、三浦友和)
(音楽)第17回レコード大賞「シクラメンのかほり」布施明
「二重唱」「ロマンス」「センチメンタル」岩崎宏美「十七の夏」「天使のくちびる」桜田淳子「さらばハイセイコー」増沢末男「年下の男の子」キャンディーズ「我が良き友よ」かまやつひろし
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」ダウンタウン・ブギウギ・バンド「歩」北島三郎「いちご白書をもう一度」バンバン「時の過ぎゆくままに」沢田研二「およげ!たいやきくん」子門真人「北の宿から」都はるみ「木綿のハンカチーフ」大田裕美「22才の別れ」風「Please Mr. Postman」Carpenters「Have You Never Been Mellow そよ風の誘惑」Olivia
Newton John 「Hotel California」(Eagles)
(テレビ)NHK大河ドラマ「元禄太平記」(NHK 江守徹、石坂浩二) NHK「大平原の小さな家」TBS「江戸を斬る」(西郷輝彦、松坂慶子)TBS「刑事コジャック」フジ「欽ちゃんのドンとやってみよう!」(萩本欽一)NTV「カックラキン大放送」(坂上二郎、堺正章、井上順、研ナオコ、野口五郎、郷ひろみ)
NTV「俺たちの旅」(中村雅俊、田中健、秋野太作)NET「ラブアタック!」(上岡龍太郎、横山ノック)NTV「おふくろさん」(京塚昌子、石立鉄男、大坂志郎)NTV「前略おふくろ様」(萩原健一、田中絹代、坂口良子)NTV「一休さん」TBS「赤い疑惑」(宇津井健、岸恵子、八千草薫、山口百恵、三浦友和)
TBS「誰も知らない愛」(吉永小百合、水沢アキ、新克利、浜田光夫)TBS「愛ってなぁーに」(長山藍子、水沢アキ、藤岡琢也)TBS「Gメン75」(丹波哲郎、夏木陽介、藤木悠、倉田保昭)TBS「まんが日本昔ばなし」(市原悦子、常田富士男)
NET「どてかぼちゃ」(森繁久彌、岡田奈々、大坂志郎)フジ「たぬき先生奮戦記」(坂上二郎、西川峰子、杉田かおる、山本リンダ)NET「パネルクイズ アタック25」
(スポーツ)広島東洋カープ初優勝。
(流行語)オヨヨ。アンタあの娘のなんなのさ。私つくる人僕食べる人。中ピ連。「死刑!」(ガキデカ)
(社会)山陽新幹線、博多まで開通(3.10)カンボジアの内戦終結(4.17)ベトナム戦争終結、南ベトナム解放(4.30)沖縄海洋博覧会開幕(7.19〜1.18、入場者348万人)天皇、皇后両陛下初の訪米(9.30〜10.14)3億円事件ついに時効(12.10)
(物故)佐藤栄作、棟方志功、加東大介
(その他)1月、片平なぎさ「純愛」で歌手デビュー。2月、ザ・ピーナッツ引退宣言(4/5引退)。2月、ヒデとロザンナ、ハワイで挙式。4月、星由里子、花登筐と結婚(1983年、死別)5月、岡田奈々「ひとりごと」で歌手デビュー。6月、沢田研二、伊藤エミと結婚。6月、アグネス・ラム、初代クラリオンガール(ミス水着)でCMデビュー。9月、中島みゆき「アザミ嬢のララバイ」で歌手デビュー。
太陽熱温水器。ガン保険。プレハブ住宅。使い捨てライター。「複合汚染 」有吉佐和子。「犬神家の一族」「八墓村」横溝正史。「日刊ゲンダイ」創刊。紅茶キノコ。アロエ。
アラビックヤマト(接着剤) はいからさんが通る(少女フレンド) (物価)少年マガジン130円、ラーメン一杯200円
Gメン75 テーマ曲
Gメン75
警視庁から独立した特別潜入捜査班「Gメン」に所属する敏腕刑事たちの活躍を描く。
番組が始まった当時は、相次いで発生したハイジャックやテロ事件、ロッキード事件
をはじめとする疑獄事件など、大規模な事件や国際問題が新聞紙面を賑わしていた。
本作は、そうした時代背景を反映した形で制作された刑事ドラマである。
番組のオープニングでは、黒木警視(丹波哲郎)を中心に「Gメン」メンバーたちが、
滑走路を横一列で、颯爽と歩いていく映像が流される。
そこには、従来の刑事ドラマとは一線を画す高級感と、空港から連想される国際性が
本作ならではの特色となって現れている。
激増する国際犯罪に備えて組織された「Gメン」たちの物語で、特に人気を集めたのは
倉田保昭扮する草野刑事が活躍する香港カラテシリーズ(1978年)だ。
麻薬や拳銃の密輸などで暗躍する闇の組織摘発を目的に、Gメンたちが香港へ飛び、
カラテ使いの刺客らを相手に、迫力のカンフーアクションを繰り広げた。
放送当時、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」に端を発するカンフーブームが
日本を席巻していたこともあり、シリーズは30%を超える視聴率を記録した。
刑事コジャック
覆面の男たちによる強盗事件が発生、警官との銃撃戦を繰り広げながら、犯人たちは二手に分かれ逃走。
だが、多数の拳銃を取り扱う銃砲火薬店に逃げ込み、警官を含めた六名を人質に取り籠城する。
現場に駆け付けたコジャック刑事は、丸腰のまま一人店内へと向かい、犯人たちと交渉しようとするが…。
ニューヨーク市警の鬼刑事コジャック(テリー・サバラス)が、敢然と犯罪に立ち向かう。
彼は、見事なスキンヘッドに、三つ揃いの高級スーツを着こなし、葉巻とペロペロキャンディーを
こよなく愛する、憎めない部長刑事である。
そのコジャックが、いったん犯罪が発生するや、悪を懲らす「ニューヨークの怒りの用心棒」に変身する。
1970年代は「鬼刑事アイアンサイド」「刑事コロンボ」など、行動も容姿もハミ出したユニークな刑事が
多数テレビに登場したが、このコジャックもその一人。
日本語吹き替えは、ジャン・ギャバンの吹き替えでもお馴染みの森山周一郎。
彼の渋いいぶし銀の声が、魅力的な個性派刑事を生み出している。
昭和から令和、3つの時代をまたぐ「パネルクイズ アタック25」
児玉清の司会で、1975年(昭和50年)にスタートした聴者参加型クイズ番組。
クイズに解答しつつ、25枚あるパネルをすべて自分の色にすることを目指す。
オセロゲームのような攻防戦が見どころだった。
昭和、平成、令和の3世代を跨いで放送されている数少ないクイズ番組の一つ。
「パネルクイズ アタック25」(1975年4月6日から)テレビ朝日系
お見合いバラエティ番組 「ラブアタック!」
関西の大学生数人が美女(かぐや姫)を射止めるためにゲームで争い、
勝ち残った者が、かぐや姫がいる壇上に登り愛の告白をする。
OKなら祝福のくす玉が割れ、カップル成立となるが、NOだと奈落の底へ
突き落されるという人気番組だった。司会は、上岡龍太郎と横山ノック。
なお、奈落の底とは、勝ち残った「アタッカー」が座る椅子の下の空間をいう。
この奈落の底へ落ちた常連に、当時同志社大学生だった百田尚樹がいた。
今、百田氏は、ご存じのとおり作家として活躍している。
「ラブアタック!」(1975年11月から1984年10月まで)テレビ朝日系
1975年(昭和50年)に使い捨てライターが登場
日本の高度成長は、モノ不足社会を大きく変え、昭和50年代には、より安価に、
より手軽に、そしてより便利さを求める大量消費の時代を迎えることになった。
使い捨てタイプのものが、繰り返し使われるタイプのものよりも重宝され、
世の中の定番になるような場面が多く現れるようになった。
たとえば紙コップや紙皿など、通常の食器が使いづらい場面では
当然のように使われるようになった。
また万年筆を使う人もいるが、便利なボールペンが圧倒的多数となり、
多くの場面で置き換わってきている。
これまで市場を獲得していた百貨店に代わり、多様な商品を安く、
容易に購入できる総合スーパーが台頭。
またコンビニエンスストアが登場したのも昭和50年である。
大量に作られるモノを大量に消費するのがかっこいい時代となった。
この大量消費の時代の到来により、これまで日本人に醸成されていた
「もったいない」精神は、完全に失われてしまったのである。
だが大量に生産し、消費されたものは、当然、大量に廃棄されることとなる。
便利な時代になった分、使い捨て商品の増加や耐久消費財の不法投棄によって
焼却や埋め立てが追い付かない状況となった。
また焼却炉でゴミを燃やした際に温室効果ガスである二酸化炭素が大量に発生、
地球温暖化による環境汚染の問題も表面化するようになった。
大草原の小さな家
メアリー、ローラ、キャリーの三姉妹は、新天地を求めてカンザスへとやって来た。
農業で家族を支え、家も自分で建ててしまうほど、なんでもできる頼もしい父親、
そして、控えめで優しい母親の愛情を一身に受け、三姉妹はすくすくと成長していく。
1870年代のアメリカ西部開拓期、カンザスの原野に入植した両親と娘三人のインガルス一家の物語。
強い家族愛で結ばれた一家が、大自然を相手に、様々な困難に打ち勝ちながら、心豊かに暮らす。
家族とは、父親とは、母親とは、物質文明の中に暮らす現代人に共感と反省を呼んだ。
とりわけマイケル・ランドンが演じた父親は、優しく雄々しい理想の父親像として描かれ、人気を博した。
本作は、1975年から1991年まで、全9シーズンに渡って放映され、第7シーズンでは、主人公のローラが結婚し、
その後は、よき妻、よき母親になって家族を支える。
子供たちが成長していく姿が見られるのも、長寿ドラマならではの魅力だった。
おふくろさん
鈴村かね子(京塚昌子)は、亡き夫の友人・五味要造(金子信雄)が営む
パン屋「五味ベーカリー」を一人で切り盛りしている。
というのも、肝心の要造が商売そっちのけで、女遊びばかりしているからだ。
ある日、息子の文吾(石立鉄男)を連れ、夫の墓参りに来たかね子は偶然、
大学教授の坪内清軒(フランキー堺)と、娘のひとみ(吉沢京子)に出会う。
だがこれは、清軒の姉・安江(沢村貞子)が仕組んだお見合い作戦であった。
陽気でお人好しな、それでいて頼りになる母親(京塚昌子)と、おっちょこちょいな
息子(石立鉄男)を中心に、下町の人間模様をコミカルに描く人情ホームコメディ。
母親と一人息子は、未亡人と独身青年という設定なので、ストーリーは図式的に
母親の再婚話と息子の嫁探しへと発展していく。
当然のことながら、人と人とを結びつける触媒の役柄というか、ホームドラマの
飽きることのない「おせっかい」が始まる。
まず、仲人好きの婦人(沢村貞子)が、この母親を弟の大学教授(フランキー堺)
と見合いさせようとする。
このほか、主な登場人物、パン屋の主人(金子信雄)、理髪店主(大坂志郎)、
その息子(松山英太郎)らが全部独身なので、毎度にぎやかに愛が描かれ、
おせっかいが延々と続いていくのである。
前略おふくろ様
片島三郎(萩原健一)は、郷里の山形に年老いた母親を残し、集団就職で上京した。
職を転々とし、今は東京・深川の料亭「分田上」で板前修業に励んでいる。
仕事場では先輩の板前からは「サブ」、おかみさんや仲居さんからは「サブちゃん」、
店にやってくる鳶職人の利夫(川谷拓三)からは「お兄ちゃん」と呼ばれている。
女性にはなぜかよくモテた。仲居のかすみ(坂口良子)からも好意を寄せられている。
三郎も、かすみのことは、まんざら嫌いでもないが、どっちつかずの態度を取っていた。
何せ、かすみは鳶の頭領の一人娘。しかも半田妻吉(室田日出男)という強面の小頭が、
将来はかすみと結婚し、ゆくゆくは頭領になる、と周囲の者が半ば決めているからだ。
この半妻という男、とにかく筋が通らないことが大嫌い。しかも、かすみに惚れている。
何かあるたびに、飲み屋へ三郎を呼び出しては「それは筋が違うんじゃねえか」と脅すのだ。
そんな三郎の戸惑いを知ってか知らずか、かすみは積極的に押してくる。
どうも手放しでは好きとは言えず、たじたじとなる三郎であった。
照れ屋で臆病な板前・片島三郎の青春を描いた下町人情ドラマ。
三郎が初めて惚れた先輩の板前・秀次(梅宮辰夫)との師弟関係、鳶の頭領の一人娘
かすみとの恋模様、老舗の料亭が経営難に陥る、などのエピソードが綴られる。
前作「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」で、シラケ世代の反抗的な役柄を演じた萩原が
本作では、優しく気の弱い青年に扮してイメージを一新、本格的な役者への転身に成功した。
主人公・三郎の母親役に、戦前からの大女優・田中絹代が演じ、また板前に扮した梅宮辰夫、
鳶職人の室田日出男や川谷拓三など、個性豊かな脇役陣の存在も際立っていた。
俺たちの旅
大学四年の津村浩介(中村雅俊)は、バスケット部のキャプテンでエース。
卒業間近だが就活もせず、バスケに打ち込み、バイトに明け暮れている。
浩介には二人の親友がいる。
同じバスケ部の中谷隆夫(田中健)と同郷の先輩の熊沢伸六(秋野太作)だ。
東京・吉祥寺にたむろする彼らの日々は、女の事や仲間の事で明け暮れる。
誰が一番モテるかで、ナンパの腕を競ったりなどしている。
熊沢伸六には、紀子(上村香子)というガールフレンドがいる。
会社員の伸六は、紀子の家の離れに下宿していた。
伸六は、ゆくゆくは紀子と結婚を考えている。
だが、紀子の両親は伸六の事を、あまり気に入っていない様子である。
結婚話を持ち出すと、とたんにはぐらかされてしまうのだった。
ある日、伸六の母親・しの(南美江)が上京するという電報が届いた。
だが伸六は、今日会社を首になったばかりなのでタイミングの悪さを嘆く。
厳格な母に失業中と言えない伸六は、浩介に母親の相手を頼み込む。
自分は出張ということにして、母親をよろしく頼むとの事だった。
伸六の母親は、浩介が水戸小学校の頃の担任の先生だったのである。
都会に暮らす冴えない若者三人が主人公の青春ドラマ。
熱血漢を主人公とした従来の青春ドラマと違い、当時の若者の日常の姿を
そのままに描き、話題を呼んだ。
大学四年の浩介(カースケ)は、曲がったことが大嫌いですぐにカッとなる。
同じバスケット部の隆夫(オメダ)は、自分に自信がもてず、すぐに落ち込む。
社会人一年生の伸六(グズ六)は、うじうじとして決断力に欠ける。
視聴者は、男の長所短所を極端に持ち合わせた彼ら三人に、自分の姿を重ねたり、
憧れたりした。
当初半年の予定だった放送期間も、高視聴率のため一年間に延長された。
その後「俺たちの朝」「俺たちの祭」と俺たちシリーズが続き、
青春ドラマの新しい潮流が作られた。
江戸を斬るII
金四郎(西郷輝彦)は、水戸藩主・徳川斉昭(森繁久彌)の後押しで北町奉行に就任。
就任早々、おゆき(松坂慶子)扮する紫頭巾らの協力で、次々と難事件を解決していく。
南町奉行・鳥居甲斐守(金田龍之介)にしてみれば、どうも面白くない。
そんな折、江戸の町に辻斬りが出没。一人の犠牲者が死に際に「紫頭巾が…」と言い残す。
すると、目障りな紫頭巾をやっつける絶好のチャンスと、鳥居甲斐守は大張り切り。
さて、本物の紫頭巾であるおゆきは…。
西郷輝彦が演じる名奉行「遠山金四郎」の活躍を描いた痛快娯楽時代劇。
遠山の金さん役の西郷は、まだ貫禄はないが、アクションが派手で色気がある。
おゆき役の松坂慶子は、雪姫姿もいいが、魚の降り売りをするときにのぞく「おみあし」が眩しい。
こんな魚屋が売りに来たら毎日買ってもいいくらいだ。
脇役陣も、徳川斉昭の森繁久彌、千葉周作の中谷一郎でガッチリ安心感がある。
ちなみに、パートV(1977年)では、遠山の金さんが、ついにおゆきを嫁にする。
この嫁こそ、夫がピンチのときに駆けつける「紫頭巾」なのだ。
おゆきは、魚屋の看板娘にして、実は徳川家の姫。その上に紫頭巾で、金さんの妻。
忙しくてしかたがない。
だがこんな美しいおゆきが見られれば、桜吹雪はなくてもいい。
誰も知らない愛
川野奈津(吉永小百合)は、外科病院に勤める医療事務員。
ある夕方、彼女はデパートで、かつて別れた昔の恋人・津山(新克利)に再会する。
だが、津山は逃げるように奈津の前から立ち去ってしまう。
奈津にとって津山は初恋の人であり、八年間愛し続けた人だった。
しかし、幼い妹・千里(水沢アキ)を養うため、結婚をあきらめた相手だった。
数日後、病院に津山の娘・恵が救急患者として運ばれてきた。
二度の偶然に動揺する奈津。
病室に見舞った奈津は、恵が母親を亡くしている事を知るのだった。
病院の事務員をする独身のヒロインが、八年ぶりに帰国したかつての恋人に出会う。
誰にも理解されないが、本人にとって本当に幸せな愛とは何かを問いかける作品。
1969年(昭和44年)日本映画の斜陽化とともに、吉永小百合は日活を退社。
彼女にとって遣り甲斐のある仕事の多いテレビドラマを主な活躍の場とした。
以後10年の間、TBS「東芝日曜劇場」に計18本と多数の出演を果たしている。
本作もその一本であり、吉永は一途な愛を貫く情熱的な女性を好演している。
1973年(昭和48年)には、テレビ・ディレクターの岡田太郎氏と結婚。
岡田氏が若い青年でなく、バツイチの中年男性だったことが世情を賑わした。
結婚式には、芸能界や各界の名士たちが大挙して現れ、豪華なものであった。
ただ、彼女の両親だけは、結婚に反対し、ついに式には姿を見せなかったという。
だがこれ以降、彼女の演技は、日活時代の清純で優等生的なイメージを脱皮し、
奔放で情熱的なヒロイン像を演じることが多くなった。
1981年(昭和56年)NHKドラマ「夢千代日記」では、大人の女性として内的情感を
豊かに表現し、視聴者はもちろん、批評家からも高い評価を受けている。
愛ってなぁーに
専業主婦の西野春子(長山藍子)は、夫の会社から、常務の急死を知らせる電話を受ける。
春子は、夫の史郎(藤岡琢也)が、出張と嘘をついて外泊していたことを知るのだった。
帰宅した史郎が、常務のお供で麻雀だゴルフだと言い訳をするのが春子には滑稽に思えた。
その後、常務の葬儀に出かけた史郎の手帳から、春子は史郎に愛人がいることを知る。
連絡先の電話番号まで突き止めた春子は、史郎に問い詰める。
すると史郎は、一年前から付き合っている女性がいることを白状した。
だが、春子には関係のないことだと言って悪びれた様子もない。
たまりかねた春子は、史郎の愛人・圭子(水沢アキ)に電話した。
しばらくして、圭子が家に訪ねてくる。
圭子は史郎から「妻は病身の上に嫉妬深く、心が休まる間がない」と聞かされていた。
だが、すべて嘘だったと気付き、逆上した圭子は、史郎にケーキをぶつけて大騒動となる。
その後、後片付けをしながら語り合ううちに、圭子と春子はお互いに意気投合してしまう。
夫に依存する妻と、妻のある男を愛する若い女。
二人が一人の男をめぐり、男のエゴイズムと戦う姿を風刺的に描いたドラマ。
「浮気騒動」は、三人の話し合いによって、いったん収まるのだが、今度は「離婚騒動」が持ち上がる。
男の浮気心をめぐるトラブルを、これでもかと突っ込んだあげく、最後は波風を越えたその先に、
落着くべき夫婦の在り方を問いかけるエンディング。
夫婦の絆も努力で作り上げていくもの。作者・橋田寿賀子の中年夫婦へのエールが垣間見える作品である。
まんが日本昔ばなし
昔ある所に、爺さんと婆さんがいた。
久しぶりにぼた餅を作り、食べるのを楽しみにしていた。
だが、いざ口に入れようとしたとき、旅の坊さんが訪ねてくる。
(新潟民話「ドボンガボン」)
本作は、日本各地の民話やおとぎ話を素材にしたアニメーション。
ほのぼのとした漫画と、市原悦子、常田富士男のコクのあるゆったりとした
語り口が、独特の味わいをかもし、子供から大人まで幅広い人気を得た。
囲炉裏端でお年寄りが孫に語り聞かせるような雰囲気で、人物から動物、
草木まですべての声を二人で演じる巧みな話芸も、本作の魅力だった。
はいからさんが通る
大和和紀原作の大正時代を舞台にした少女漫画。またそれを元にしたアニメ、映画。
近年、女子学生が卒業式に袴をはくのが流行というか、すでに定番となっている。
卒業時に袴をはくようになったきっかけは、1987年に公開された南野陽子主演の
映画「はいからさんが通る」だ。
人気アイドルが袴姿で出演したため、それを観た女性たちの間で「かっこいい」
「私もやってみたい」という気運が盛り上がり、わずか数年で大学の卒業式での
袴姿は定番となってしまった。
最近は小学校の卒業式でも、袴を着用して出席する女子生徒が増えているらしい。
どてかぼちゃ
かつて飛騨高山の旧制・飛騨二中で漢文を教えていた勘一郎(森繁久彌)は、その厳しい授業から
生徒たちに「鬼勘」と恐れられていた。
鬼勘は、ふたこと目には「この、どてかぼちゃ!」と生徒を叱り飛ばすのだった。
その勘一郎が担任をしていたクラスが、三十年ぶりに東京で同窓会を開くことになり、勘一郎は上京。
集まった教え子たちが、それなりに頑張っている姿に大満足する。
そして、しばらく東京に滞在して「教え子の成長ぶりを自分の目でしっかり見届けたい」と言い出す。
「だいこんの花」から続く「野菜シリーズ」の第七弾。
物語は、森繁扮する元教師の勘一郎が、かつての教え子たちの家庭訪問をしてゆくという内容。
だが、家庭訪問とは名ばかりで、教え子の家に逗留しては酒を飲んでオダを上げ、延々と説教を垂れるのだから、
いい年の大人になった元教え子たちとしては、始末に悪いことこのうえない。
それでも師弟関係というものは生涯を通して続くものであり、ずっと変わらないものである。
本作のタイトル「どてかぼちゃ」は、土手に自生するカボチャのように、どんな荒地でもつるをのばし、
実を結ぶ生き方をしてほしいという、勘一郎の教え子たちに向けた思いを表したものだという。
そんなタイトルそのままに、本作は勘一郎と教え子の確かなつながりを感じさせる様々なエピソードが、
毎回ほのぼのとしたタッチで綴られていくヒューマンドラマとなっている。
たぬき先生奮戦記
レスリング全国大会を目前に、文朱(マッハ文朱)が大ケガをした。
文朱は、女子プロレスラーを目指す高校生。
この試合に青春をかけてきた彼女は、なんとか出場しようと必死だ。
みね子(西川峰子)も文朱の気持ちを察し、なんとか出場させてやろうとする。
そこで、たぬき先生(坂上二郎)は、耐えるのも青春、と二人を諭すのだった。
渡貫二郎は、 顔も体も丸いことから「たぬき」とあだ名されている国語教師。
早くに妻を亡くし、男手一つで二人の娘を育てている。
本作は、たぬき先生が学校の生徒や元教え子、町の人々、そして自分の娘たちとふれあい、
奮闘する模様を描いた人情ドラマ。
また本作は、1974年11月に発売された坂上二郎「学校の先生」のヒットを受け、
曲の中で歌われている内容をもとにドラマ化が企画されたもの。
「学校の先生」は、約30万枚を売り上げ、オリコン最高位は八位を記録。
曲の合間に挿入される薄幸な生徒らを励ます人情味溢れる語りが、当時評判を呼んだ。
赤い疑惑
大島茂(宇津井健)は、東都大学で放射線医学を研究している医学部助教授。
妻・敏江と、17歳になる娘・幸子(山口百恵)と、東京の郊外に三人で暮らしている。
フランスには舞台演出家として活躍する妹の大島理恵(岸恵子)がいる。
ある日パリ在住の理恵が日本へ一時帰国することになった。
父・茂を空港に連れて行くために大学へやってきた幸子だが、事故に巻き込まれる。
学内の爆発事故に遭い、大量の放射線を浴びてしまうのだった。
両親に慈しまれて何不自由なく育った少女が白血病に冒され、父と共に病と闘う姿を描く。
物語は、山口百恵扮するヒロインが、父親が勤務する大学病院の事故で放射線に被爆、
白血病を発症してしまい、明日をも知れぬ命となる。
そして彼女と異母兄の青年(三浦友和)との切ないロマンスが描かれる。
二人は初共演だったが、本作は、後に百恵・友和ゴールデンコンビが誕生する契機となった。
他の共演者は、産みの母親である「パリの叔母様」に岸恵子。育ての母親を演じたのが八千草薫。
この八千草が、多忙な百恵に合わせた撮影スケジュールに疑問を呈し、6話で降板する事態となった。
(7話以降は、渡辺美佐子が演じた)
それくらい当時の百恵は、殺人的スケジュールに追われていた。
多忙の百恵を全シーンおさえることが難しく、後ろ向きのシーンには代役が使われていたという。
番組の撮影の合間に、テレビを見ていたら、いつの間にか百恵が生番組で歌っていたので驚いた、
と宇津井健が後に語っている。
1974年(昭和49年)に始まったTBSドラマ「赤いシリーズ」は、金曜9時枠で、6年間で10作品を放送。
そのうち7作品に出演した山口百恵は、宇津井健と並んで、同シリーズの顔ともいえる存在だった。
1980年(昭和55年)彼女の引退とともにシリーズは終了。
本作「赤い疑惑」はシリーズ第2作目で、平均視聴率23.4%、最高視聴率30.9%を記録した。
「赤いシリーズ」全10作品
TBS「赤い迷路」(宇津井健、長山藍子、松田優作、山口百恵)1974年(昭和49年)
TBS「赤い疑惑」(宇津井健、岸恵子、八千草薫、山口百恵、三浦友和)1975年(昭和50年)
TBS「赤い運命」(宇津井健、山口百恵、岸田今日子、三国連太郎)1976年(昭和51年)
TBS「赤い衝撃」(山口百恵、三浦友和、中条静夫、草笛光子)1976年(昭和51年)
TBS「赤い激流」(宇津井健、水谷豊、竹下景子、石立鉄男、山口百恵)1977年(昭和52年)
TBS「赤い絆」(山口百恵、国広富之、左幸子、岡まゆみ、石立鉄男)1977年(昭和52年)
TBS「赤い激突」(宇津井健、松尾嘉代、国広富之、坂口良子、岸恵子)1978年(昭和53年)
TBS「赤い嵐」(柴田恭兵、石立鉄男、能瀬慶子、大石吾朗、榊原るみ)1979年(昭和54年)
TBS「赤い魂」(杉浦直樹、広岡瞬、司葉子、石立鉄男、柏木由紀子)1980年(昭和55年)
TBS「赤い死線」(山口百恵、三浦友和、宇津井健、三国連太郎、石立鉄男)1980年(昭和55年)
元禄太平記
吉良上野介への刃傷沙汰により、浅野内匠頭は切腹を命ぜられ、無念の死を遂げた。
赤穂藩家老・大石内蔵助(江守徹)は、浅野家再興のため数々の工作を進める。
だが、幕閣の頂点に立つ柳沢吉保(石坂浩二)は、そのすべてを握り潰してしまった。
一縷の望みも絶たれた内蔵助は、亡君の仇討ちを胸に、討入りの決定を下す。
柳沢吉保の役職は、老中ではない。将軍綱吉(芦田伸介)の御用人(側近)であった。
側用人は、将軍お気に入りの側近であり、文字どおり将軍のそば近くにいて、将軍の
意向を老中に伝えたり、老中からの意見を将軍に伝える役目をする。
老中にとっては、側用人の機嫌をそこねると、自分たちの悪口が将軍に吹き込まれる
ことにもなりかねないため、ないがしろにはできない。
身分としては老中より低いものの、結果的に側用人は大きな権力をもつことになった。
さて「浅野内匠頭が殿中で刃傷」の報に、綱吉は激怒、柳沢吉保に緊急の処置を命じた。
その結果、内匠頭は切腹、お家は断絶、一方、吉良はお咎めなしという処分となった。
吉良が何も処分されなかったことが「片手落ち」の裁定であると、よく言われる。
だが、柳沢吉保は、これは喧嘩ではなく、一方的な傷害事件であると解釈したのだ。
殿中で双方が刀を抜き合ってのことならば「喧嘩両成敗」が適用されたであろうが、
原因がどうあれ、吉良は全く抵抗しなかったことから、お咎めなしとなったのである。
他方、浅野内匠頭は、事件の当日、天皇の勅使に対する饗応役という重要な役職にあった。
そうした立場や場所柄をわきまえず、刃傷に及んだのは、まさに前代未聞の大不祥事であり、
厳罰処分は当然の流れであった。
柳沢吉保は「幕府を裏で操る冷酷な野心家」といったイメージで語られることが多い。
だが実際は、勤勉実直、誠実かつ大局を判断できる人物であったとされている。
彼は、幕府を背負っている関係上、極力、赤穂浪士の討ち入りを防ぐ立場にあった。
元禄15年12月、大石内蔵助以下、浪士47名が吉良邸に討ち入り、亡君の仇を討った。
これに対して柳沢吉保は、赤穂浪士47名に対しても、厳罰処分という考えであった。
赤穂浪士は、江戸の町で許可なく兵を動かし私闘を演じたのだから、彼らの行動は幕府への
反逆であり、本来なら、打ち首という最悪の厳罰が下されても仕方がない立場にあった。
だが、当時の世論は、赤穂浪士の襲撃を称賛し、それが47士の助命論となって現れた。
当時の思想や習慣からすると、身命を捨てての主君の仇討ちは全くの義挙であったのだ。
だが彼らを助命すれば、刃傷事件のときの裁定が間違っていたことになる。
結局、吉保は、赤穂浪士達には、名誉ある切腹という結論を下した。
当時の幕府は、家臣の主君への忠義を推進する立場にあった。
主君のために命を張った赤穂浪士を無下にはできなかったのである。
ジョーズ(JAWS)1975年(米) 小さな海水浴場で女子大生が行方不明になり、翌朝、無惨な遺体が浜に打ち上げられた。 巨大ザメの仕業とにらんだ警察署長ブロディは海岸の閉鎖を訴えるが、市長はそれを拒否。 やがて海開きの当日を迎えたが、そこに巨大なサメが出現、海水浴客はパニックに陥る…。 再三警告を受けたにもかかわらず、市長のボーンは、海開きを中止すれば、街は経済的打撃 を受けると主張し、被害をより大きくしてしまう。 人命の重さよりも、経済性を重視する人間社会の利欲が描かれる。サメも恐ろしいが 人間はもっと恐ろしい。 (監督)スティーヴン・スピルバーグ(STEVEN SPIELBERG)(出演)ロイ・シャイダー(ROY SCHEIDER) ロバート・ショー(ROBERT SHAW)リチャード・ドレイファス(RICHARD DREYFUSS) |