9月7日 タイムカプセル(25)昭和54年(1979年) タイム・カプセル |
この年、ビデオゲーム「スペース・インベーダー」が全国的に大流行。
ゲームセンターや喫茶店、風呂屋の待合室等に置かれ、子供たちが殺到。ゲーム費欲しさに、子供たちの非行が相次いで発生。
ひったくり、硬貨改造等、大きな社会問題にまで発展した。
(映画)第52回アカデミー賞「クレーマー・クレーマー」
「スーパーマン」(クリストファー・リーヴ)「グリース」
東宝「戦国自衛隊」(千葉真一、中康治)東宝「あゝ野麦峠」(大竹しのぶ、原田美枝子)東宝「ホワイト・ラブ」(山口百恵、三浦友和、田中邦衛、小林桂樹)東映「真田幸村の謀略」(松方弘樹、あおい輝彦、片岡千恵蔵、萬屋錦之介)東映「銀河鉄道999」
(音楽)第21回レコード大賞「魅せられて」ジュディ・オング
いとしのエリー(サザン・オールスターズ)おもいで酒(小林幸子)YOUNG MAN(西城秀樹)サンタモニカの風、パーティー・イズ・オーバー(桜田淳子)舟歌(八代亜紀)関白宣言(さだまさし)別れても好きな人(ロス・インディオス&シルヴィア)異邦人(久保田早紀)
贈る言葉(海援隊)アメリカン・フィーリング(サーカス)いい日旅立ち、美・サイレント、曼珠沙華、しなやかに歌って(山口百恵)季節の中で(松山千春) I'm in the Mood for Dancing (The Nolans)
(テレビ)幸せのとなり(NHK 大空真弓、沢村貞子、前田吟)テレビファソラシド(NHK (永六輔、頼近美津子))ズームイン!朝(NTV)探偵物語(NTV 松田優作、倍賞美津子、成田三樹夫)かたぐるま(NTV 加山雄三、丘みつ子、桜田淳子、杉村春子)クイズ100人に聞きました(TBS)ドラえもん 京都殺人案内(テレ朝 藤田まこと、小林かおり、遠藤太津朗、中条きよし)機動戦士ガンダム(名古屋テレビ)ルックルックこんにちは(NTV)
大都会PART3 (NTV 渡哲也、寺尾聰)西部警察(テレ朝 渡哲也、石原裕次郎、舘ひろし)鉄道公安官(テレ朝 石立鉄男、三橋達也 )水戸黄門(TBS 東野英治郎、杉良太郎、横内正)
3年B組金八先生1(TBS 武田鉄矢、杉田かおる、三原順子、鶴見慎吾)江戸を斬る4(TBS 西郷輝彦、松坂慶子)水中花(TBS 松坂慶子、近藤正臣)噂の刑事トミーとマツ(TBS 国広富之、松崎しげる、石立鉄男)女たちの忠臣蔵(TBS 宇津井健、池内淳子、佐久間良子)かあさんの鈴(TBS 浜木綿子、山本学)沿線地図(TBS 岸恵子、児玉清、笠智衆、広岡瞬、真行寺君枝)熱中時代・刑事編(NTV 水谷豊、ミッキー・マッケンジー)
新五捕物帳(NTV 杉良太郎)大都会PART3(NTV 渡哲也、寺尾聰)午後の恋人(フジ 若尾文子、高橋昌也、市川海老蔵、山村聡、津川雅彦)日蔭の女(フジ 山本陽子、乙羽信子、田村亮、児玉清、岡本信人、坂口良子)竹村健一の世相を斬る(フジ 竹村健一)赤い嵐必殺仕事人(テレ朝 藤田まこと、伊吹吾郎、三田村邦彦、山田五十鈴)
(スポーツ)江川卓投手、巨人軍に入団。 埼玉県所沢に西武球場完成。
(流行語)「ウサギ小屋」「エガワる」 「熟年」 「ダサイ」 「ナウい」 「ニャンニャン」「夕暮れ族」「激写」
(社会)1/1米中が外交関係を樹立。1/16イラン革命が勃発、イランのパーレビ国王亡命。1/26三菱銀行猟銃人質事件。5/4英国総選挙でサッチャー女史先進国初の女性首相に。5/27ガソリンスタンドの日曜・祝日の全面休業。6/4省エネルギー対策の一環として、郵政省はテレビ深夜放送の自粛を要請。
6/28東京サミット開催、インドシナ問題、エネルギー問題を討議(〜6/29)10/26朴正煕(パク・ジョンヒ)大統領が側近に暗殺される、全斗煥(チョン・ドファン)ら軍内部のクーデターで実権掌握。11/4イランで米大使館占拠事件発生。11/12米国、イラン原油の全面輸入禁止決定、イランも対米原油禁輸発表。12/27ソ連軍がアフガニスタンに侵攻。
(物故)大下弘、ジョン・ウェイン、朝永振一郎、平塚八兵衛、初代引田天功
(物価)タクシー初乗り 380円 大卒初任給 109,500円
(その他)紺野美沙子、東宝「黄金のパートナー」でデビュー。村上弘明、NTV「仮面ライダー」でデビュー。松方弘樹と仁科明子が結婚。 南沙織と篠山紀信が結婚。
ウォークマン[ソニー、33,000円]キヤノンオートボーイ[キヤノン]ぶら下がり健康器。インベーダー・ゲーム。天中殺。ジョギング。セルラー方式自動車電話。ハーレクイン・ロマン。ジャパン・アズ・ナンバーワン。山口百恵、「私の恋人は三浦友和さんです」と宣言。紙おむつ。高橋留美子「うる星やつら」(少年サンデー)ゆでたまご「キン肉マン」(少年ジャンプ)北見けんいち「釣りバカ日誌」(ビッグコミックオリジナル)
I'm in the Mood for Dancing
(The Nolans)
ぶら下がり健康器
生活が豊かになった半面、運動不足になった昭和の人々。
そこで登場したのが健康器具の数々だった。
昭和54年に一大ブームとなったのが「ぶら下がり健康器」だ。
ぶら下がるだけで腰痛予防になるし、背も伸びるという
宣伝文句も相まって、多いときには、1日に数万台も売れた。
だが、あっという間にブームは過ぎ去り、その後は部屋の片隅で
洋服かけとして活用されるだけとなった。
ほぼ同時期にはやった「ルームランナー」は、屋内でランニングや
ウォーキングを行うための健康器具だ。
ベルトコンベア状の踏み台をモーターの力で動かし、
速度が調節できるようになっている。
天候に左右されず、しかもテレビを見ながら運動が可能という
宣伝文句で、これも一大ブームとなった。
漫画「ドラえもん」で、のび太のパパがある日、ルームランナーを買ってきた。
新しもの好きの野比家のみんなは、奪い合うように使いたがった。
だが、3日後には、みんなルームランナーに飽きてしまった。
のび太曰く「同じところで足踏みするだけだから張り合いがない」とのこと。
テレビファソラシド (NHK)
女性アナを主役に永六輔、タモリらクセのあるタレントを配し、
様々な職業の人をゲストに迎えてのバラエティ番組。
役者なみにコントを演じる女性アナが「NHK的でない」魅力を出して好評。
音楽バラエティショーの先駆けとなった。
ゲストに、淀川長治、萩本欽一、山口百恵、勝新太郎、三波春夫など。
(女性アナ)加賀美幸子、頼近美津子ほか(1979年4月3日から1982年3月13日まで)
3年B組金八先生
「先生は先生のくせに、どうしてそんな頭しているんですか?」
下町の桜中学に転勤してきた教師・坂本金八は、髪が長いので生徒たちにからかわれる。
金八のヘアスタイルは、尊敬する坂本龍馬を真似たものだ。
金八は自己紹介で、坂本龍馬へのリスペクトを得々と語り、未来への夢をもてと説く。
だが生徒たちは理解を示さず、職員室では長髪に批判の嵐。金八は分の悪いスタートを切ってしまう。
さらに金八は、担任をしている生徒の家出騒動に巻き込まれてしまう。
思春期の生徒たちが集まるクラスには、必ず孤独を抱えた生徒が数名いるものだ。
家や学校に居場所を失った彼らは、救いを求めて町をさまよい始めるのである。
赴任初日の夜、金八に電話が入る。
声の主である存在感の薄い生徒・吉村孝は、金八に「さよなら」と伝えて一方的に電話を切る。
悪い予感を覚えた金八は、火にかけたやかんもそのままに、吉村を探しに飛び出す。
夜通し盛り場や河原を探し回る金八の姿には、自分の居場所を求める生徒の苦悩が重ねられている。
「3年B組金八先生」は、1979年から32年間、8シリーズに渡り放映され、最高視聴率39.9%を記録。
国語教師・坂本金八と生徒の交流を描いた学園青春ドラマの金字塔として語り継がれている。
かあさんの鈴
直子(浜木綿子)は、原発性緑内障で手術をしたが失明してしまった。
病院で自殺をはかったが、夫・清之(山本学)の励ましで
生きる決意をして退院した。
久しぶりにわが家に帰った直子。たとえ盲目であろうと、夫の清之と
息子の信のために、家の中を切り盛りしようと決意する。
視力を失った妻が夫や子に励まされ、不幸をはね返して力強く生きていく姿を描く。
直子は他人の手を借りずに家事も、4歳の息子・信の世話もやり遂げようと努力する。
息子に鈴をつけて動きを知り、家中の品々の配置をきめ、主婦の務めを貫こうとした。
あるとき、夫の協力のもとに絵本を丸暗記した。息子に読んで聞かせるためだった。
息子の信は、母親に視力がないとは気づいていないのだ。
直子を演じた浜木綿子は、もともと舞台女優だが、この時期はテレビ時代劇の女親分や芸者役などで
キレのいい台詞まわしを披露している。
本作では、盲目の母という難しい役どころに体当たりで挑み、見事に演じきった。
夫役の山本学は、フジTV「白い巨塔」(1978年)の里見教授役が好評を博して、知的で誠実さを
感じさせる俳優というイメージが定着した。本作でも妻を支える優しい良き夫を好演している。
幸せのとなり
相原家の姑・いせ(沢村貞子)と、長男の嫁・悠子(大空真弓)は、現在同居中である。
長男は早逝してしまったのだが、この姑は、なんでも悪いことは嫁のせいにするため、
二人の関係は険悪であった。
そんな折、姑のいせが突然、発作を起こして倒れ、急遽入院してしまう。
橋田寿賀子「となりの芝生 1976年」「となりと私 1977年」に続く、嫁姑の葛藤を
テーマにした「となりシリーズ」の第三弾。
いま住んでいる家と土地以外には財産のない姑・いせが発作で倒れ、病院に運ばれる。
そして、お決まりの、いせの家と土地の相続をめぐる争いが始まる。
ドラマは、日頃は、いせの世話を、嫁の悠子に押し付け、遺産相続となると、エゴを
むき出しにして争う子たちの姿を通して、人間の持ついやらしさを辛口に描いている。
視聴率は、回を追って上昇し、最高25.8%を記録。こうしたドラマが評判になるのは、
ドラマの面白さもさることながら、同じような悩みをもつ家庭の多い現実を伺わせた。
かたぐるま
田代征一郎(加山雄三)は、家業のガラス工場「田代工芸」を継いで八年。
訳あって引き取った幼い子供二人も成長し、実の親としてなついている。
その日は「田代工芸」が横浜に開設されてから八周年のめでたい記念の日だった。
お祝いの支度に忙しい母の芳江(杉村春子)をかいがいしく手伝う事務員の康子(音無美紀子)
同じ町内で食堂「ばらえ亭」を営む康子の両親の信平と花江(赤木春恵)もお祝いに駆けつけた。
集まった人々の目には、征一郎の二人の子供の世話をやく康子の姿が好ましく映るのだった。
母の芳江はこれを機に、店の手伝いをしている康子を、征一郎の嫁に迎えたいと思っている。
ところが思いがけないことに征一郎は、実は八年前にすでに結婚したと言い出すのだった。
親子、夫婦、隣人愛を通じて描かれるホームドラマ。だが従来のほのぼの一辺倒とは違い、
適当にサスペンスもあるシリアス仕立てのストーリー。
物語の軸は、加山雄三扮する子持ち中年男の純愛物語。逢うことも出来ないひとりの女を
八年間も愛し抜くと言う、心にしみるドラマとなっている。
ドラマのもう一つの要となるのは、長期ドラマ初出演の桜田淳子。主人公の加山が経営する
ガラス工芸店に、身元を隠して訳ありで住みこむ店員という役どころ。
本作は全26話、平均視聴率19.8%、最高視聴率23.2%という好視聴率を記録、1982年5月まで、
NTVの看板ドラマとして、加山雄三主演で全3シリーズが制作された。
午後の恋人
ヒロインの明子(若尾文子)は、七歳年上の夫・信吉(高橋昌也)がいる四十歳の専業主婦。
二人の間には子供がなかったが、東京郊外の高級住宅街に住み、何不自由ない生活を送っている。
そんなある日、出張から帰宅した信吉は、突然明子に離婚してほしいと申し出る。
聞けば、信吉には千枝子(樹れい子)という愛人がいて、このたび妊娠を告げられたという。
頭に来たものの、それを受け入れて独り身となった明子は、コーヒー専門店の経営に乗り出す。
あるとき、明子は年下で長唄の若き跡取りである樋口浩之(市川海老蔵)と出会い、恋に落ちる。
作者の平岩弓枝は「人生を一日にたとえると、午後というのは、ちょうど中年にあたる」と語る。
初老の男性の魅力については、よく小説の題材となるが、中年の女性の話は、これまで殆どなかった。
だからそう、この年代の女性に、いささかの輝きを与えたい、と思ったことが執筆のきっかけという。
因みに、本作が放映された1979年は、作者47歳、主演の若尾文子もまた、47歳だった。
本作は、1959年(昭和34年)に発足したフジテレビの開局20周年記念作品。
若尾は、旦那が浮気して離婚した途端、三人の男性から言い寄られる役どころ。
従来の平岩作品のやや重苦しい内容とは一転、明るくテンポの良い恋愛コメディに仕上がった。
共演には、歌舞伎界のプリンス・市川海老蔵(十代目)を迎え、さらに華を添えている。
日蔭の女
大学病院で働く良太(田村亮)が、その女性を初めて見たのは、同僚の啓介(岡本信人)に
誘われて、彼の故郷である沖縄の「ひめゆりの塔」へ行ったときだった。
啓介の妹・照奈(坂口良子)の案内で、小浜島へ行った良太は、そこでもその女性と出会った。
旅を終え、東京の病院に出勤した良太は、三たび、その女性を見かけた。
麻酔医として病院で働くというその彼女は、信子(山本陽子)と名乗った。
物語の冒頭、沖縄を訪れた青年医師が、ひめゆりの塔や小浜島で、偶然にもヒロインと何度も
出会うシーンが描かれるが「世の中、見えない糸でつながっている」と思わせる設定だ。
東京へ戻った青年医師・良太は、ヒロインの麻酔担当医と同じ病院に勤務することになり、
彼は当然のことながら、その麻酔医の信子に愛を感じ始める。
ところが、その信子は、ある代議士の二号の娘だった。
自立する女を目指して医師になったものの、その一方で実業家の愛人としての道も選んでしまう。
良太を愛しており、彼と添い遂げたいと全身で思いながらも、心のどこかであきらめていた。
日蔭に生まれ、日蔭に育った女は、幸せを期待するのにも、どこか臆病になっていた。
本作は、暗い出生の影を指すヒロインが、そのコンプレックス、不安を振り払って、自ら自立し
真実の愛に目覚められるかがテーマとなっているようだ。
鉄道公安官
特急「やまびこ」の車内で女性の急病人が発生。
女性の名前は、石田紀子(永島暎子)彼女は郡山駅で降ろされ病院に運ばれる。
紀子が持っていた携帯用のポットの中に殺虫剤などに使用される薬品が混入していた。
鉄道公安室は、彼女が自殺を図ったものとみて原因究明に乗り出す。
だが、主任の榊(石立鉄男)は、紀子が毒を飲んだ原因が他にあると推測。
彼は、上野駅へ彼女を送った男の行方を探ろうとする。
東京鉄道公安室に所属する公安官たちの活躍を描いた異色の刑事ドラマ。
鉄道の治安を守る公安官たちは、広域捜査、特務捜査を任務とし、当時の国鉄敷地を
離れた場合は、地元の刑事たちと連携プレーをとりながら、様々な事件を解決していく。
全国各地でロケが敢行され、その土地に登場する列車も見どころのひとつとなった。
本作は、当時人気絶頂であった石立鉄男が、主人公の主任公安官・榊大介を好演。
ほか、レギュラー出演の三橋達也、中条静夫、加納竜、五十嵐めぐみ、赤木良次、
準レギュラー出演の夏目雅子といった豪華キャストも注目を集めた。
また当時は、エル特急に絵入りのヘッドマークが登場した頃で、寝台列車ブーム
に乗じて放映された本作は、鉄道ファンの少年たちの絶大な人気を博した。
西部警察
米軍基地から装甲車が盗まれ、銀座に出現した。
現場に残された指紋から、犯人は、海外に逃亡していた殺人犯・日下だとわかった。
なぜ装甲車を盗んだのか、思案しながら現場に向かう西部警察署の大門刑事(渡哲也)
犯人の要求は「全国の犯罪者の釈放と、全警察活動の停止」であった。
だが、要求が無視されると、パトカーを踏み潰すなど無差別に暴れまくる装甲車。
大門たちは、装甲車の行く手にダイナマイトを仕掛け爆破を試みる。
だが、頑丈な装甲車の前には全く歯が立たなかった。
東京の西部警察署捜査課の大門部長刑事(渡哲也)の率いる大門軍団が、都会の凶悪犯罪
と対決する刑事アクションドラマ。
1980年代に一世を風靡したカルチャーのひとつとして、いわゆる「刑事ドラマ」がある。
1970年代までは「太陽にほえろ!」「特捜最前線」など、高度成長の歪みによる青少年の非行や、
貧困が原因による犯罪等、どちらかというと犯人の心情に寄り添うような描写が多かった。
だが、1979年に始まった本作「西部警察」から様相が一変する。
第1話、第2話の「無防備都市」前後篇では、銀座や国会議事堂前など都内で大ロケーションを敢行。
大型装甲車を駆使する犯人たちと、警視庁捜査課の大門圭介が率いる大門軍団との戦いが描かれ、
高層ビルに囲まれた都会の西部劇「コンクリート・ウエスタン」にふさわしい映像を送り出した。
激しいアクション、カーチェイス、爆発や、どこからどうみても全く同情の余地のない悪い犯人など
わかりやすい勧善懲悪なストーリーに、当時の大人も子供も大いに溜飲を下げることになった。
撮影中破壊した車両総数4680台・総火薬使用量4800kgなど巨費を投じて制作された本作は大ヒット、
平均視聴率15%を記録し、パート3まで5年間、全236話のロングランとなった。
また当時、映画作りに失敗して倒産寸前だった石原プロは、本作の成功によって無事借金を完済したという。
京都殺人案内
音川音次郎(藤田まこと)は、京都府警の叩き上げの刑事。
だいぶ前に妻を亡くし、今は娘の洋子(小林かおり)と二人暮らし。
その洋子が結婚することになった。
相手は老舗呉服問屋の跡取り息子・山藤康夫(にしきのあきら)である。
康夫の母・あやは、呉服問屋の社長として、店を切り盛りしている。
あやも洋子のことを気に入っており、音次郎もいい青年と巡り合えたと大喜びだ。
そんなある日、円山公園で、アメリカ人女性が殺害されるという事件が発生する。
宿泊先のホテルの部屋を調べた音川は、電話の脇に残されたメモを見て、首をひねる。
そのメモには、呉服問屋「山藤」の電話番号が書かれていたからだ。
京都を舞台に、藤田まこと扮する人情派刑事が難解な事件を解決していく傑作ドラマシリーズ。
松竹京都撮影所とロケ地は、京都育ちの藤田まことにとって、いわばホームグラウンドである。
正義感と人情味溢れる刑事を、妻を失った男やもめの哀愁をにじませて熱演している。
京都府警の管轄内で起きた殺人事件の捜査がメインだが、その過程で犯人像を絞り込むため、
容疑者の足取りを追いつつ、全国各地に出張することが多い。
音川は、出張先の名産を土産に持ち帰ることを条件に、課長から出張の許可を貰うのだが、
出張先で、課長に間抜けな土産を買って帰るのが、毎回の約束事となっている。
また、毎回エンディングで流れるクロードチアリのテーマ曲「夜霧のシルエット」が、
ドラマの結末の切ない雰囲気を効果的に盛り上げている。
なお、本作の原作は「和久峻三」となっているが、第一作「花の棺」のみ「山村美紗」の
原作で、主人公も「狩矢荘助」となっている。音川音次郎となるのは二作目からである。
水中花
森下梨絵(松坂慶子)は、有能な速記者として母と妹の生活を支えている。
ある日の午後、家に西条(船越英二)という男が妹の美絵を連れてやって来る。
美絵は、銀座の画廊に展示された作品を、発作的に切り裂いてしまったという。
その弁償のため、姉である梨絵は、やむなく銀座のクラブで働き始める。
バニーガール姿で働く梨絵は、たちまち人気者となり、店は大繁盛となる。
あるとき梨絵は、速記の仕事を通じて雑誌記者の今野(近藤正臣)と出会う。
梨絵は、野心家で一匹狼の彼に、何故か強く惹かれるものを感じるのだった。
1978年「小説新潮」に連載された五木寛之の同名小説のドラマ化。
昼は速記者、夜はバニーガールという二つの顔を持つ美貌のヒロイン・梨絵(松坂慶子)と
彼女を取り巻く男達との人間模様を描くラブロマンス。
ドラマのなかで松坂が見せるセクシーな網タイツ姿が、ストーリーよりも話題を呼んだ。
また劇中、松坂がバニーガール四人と歌い踊った主題歌「愛の水中花」も大ヒットした。
沿線地図
高校三年生の松本志郎(広岡瞬)は大学受験を控え、勉強ばかりの日々を送っていた。
ある日電車内で、いきなり女子高生の藤森道子(真行寺君枝)に声をかけられる。
初対面の二人は、すぐに打ち解けて近くのコーヒースタンドへ。
店の前の路上で、二人でコーヒーを飲んでいると、店員に「通行の邪魔になるので
歩道の真ん中で飲まないで下さい」と言われる。
素直に道の端に移動する志郎。ところが道子は歩道の真ん中から動こうとしない。
そんなことから口論になり、志郎は「あなたって、規則とかに、すぐ従っちゃうんでしょ?
勉強なんかもできて、ビクビクそうやって一生送っちゃうんでしょ?」と言われてしまう。
志郎は、何言うんだよ、と反論しようとしたが、どうやら図星だった。
社会問題となっていた若者の非行化を背景に見据え、高校生男女の家出、同棲をテーマにした衝撃的なホームドラマ。
かたやエリート銀行員の一人息子、かたや下町の電器店の娘、この二人が恋に落ち、駆け落ちしてしまう。
いい子だと思っていた子供の突然の反乱にとまどい、右往左往する二組の両親の姿が描かれる。
脚本は「岸辺のアルバム」の山田太一。「岸辺のアルバム」では、一家の悲劇の顛末が描かれたが、
本作「沿線地図」では、住む世界の違う二つの家族の危機と対立となった。
図式としては異なっているが、正常に見えて其の実、些細な出来事でガラガラ崩れる家族関係を描いて
家族とは一体何かと視聴者に問いかける、という点では共通している。
噂の刑事トミーとマツ
岡野富夫(国広富之)は、富士見署捜査課の若手刑事。
姉のサッチ(志穂美悦子)と二人暮し。とにかく気が弱く、極度の高所恐怖症。
しかし、いったん相棒に罵倒されると、耳をピクピク動かし、強い男に変身する。
その相棒の松山進(松崎しげる)は、女好きで、喧嘩っ早くガサツな性格。
声が大きく騒々しいが、情に厚く涙もろい一面もある。
そんな二人がコンビを組み、ドタバタを繰り広げながら事件を解決していく。
本作の立役者は、女々しいダメ刑事のトミー(国広富之)と、暑苦しいお調子者刑事の
マツ(松崎しげる)のコンビ。
しかも、マツから「男オンナのトミコ!」と罵倒された瞬間、突如トミーは剛腕刑事に
豹変して大活躍、というバカバカしい展開が毎度のお約束だった。
この対照的なキャラクターの二人が、時に衝突し、時に協力しながら事件を解決してゆく
スタイルが人気を呼び、本作は1982年まで3年間、全106話に及ぶロングランを記録。
バディものの刑事ドラマの先駆けとなった本作の成功が、後の「あぶない刑事」(1986年)
や「相棒」(2002年)を生み出す礎になった
番組の制作は、多くのヒット作を生み出した大映テレビで、おなじみの石立鉄男、林隆三ら
渋い演技派に加え、人気女優の石井めぐみ、志穂美悦子らが花を添えている。
探偵物語
工藤俊作(松田優作)は、アメリカ帰りのキザな私立探偵。
拳銃さばきは、本場仕込みのスゴ腕だ。おまけに女性にはモテモテ。
だが、肝心の探偵稼業のほうは、さっぱり儲かっていない。
そんなある日、彼のもとに、教会のシスターが仕事の依頼をしてきた。
聞けば、彼女の教え子が、他人のハンドバッグを盗んでしまったとのこと。
ついては、持ち主に返して、穏便に示談交渉をして欲しいというものだった。
俊作は、その依頼を引き受け、持ち主の住むマンションを訪れるのだが…。
私立探偵・工藤俊作が、様々な依頼を請け負うコメディタッチのアクション・ドラマ。
「工藤ちゃ〜ん」が口癖の服部刑事(成田三樹夫)らを、おちょくりながら展開する
ユーモア溢れるストーリーはもちろん、独特のサングラスにハット、派手なネクタイ、
そして「SHOGUN」のテーマ曲に乗せて走らせる、愛車のスクーターといった新たな
私立探偵像を確立したキャラクターが、若者の心をとらえて離さなかった。
回を重ねるごとに愚痴が増え、内容を話さなくなる予告編のナレーションや、
倍賞千恵子ら共演陣、ゲスト陣とのアドリブ合戦も見ものだった。
本作は、渋さとヒョーキンさが同居する松田優作の魅力が爆発し、
常に20%以上の視聴率をあげる人気番組となった。
女たちの忠臣蔵
元禄十四年春、江戸城は松の廊下。
赤穂城主・浅野内匠頭は、吉良上野介からの度重なる侮辱に耐えかね、刃傷に及ぶ。
浅野は即刻切腹、お家は断絶。だが、吉良上野介はお咎めなしという処分であった。
その悲報は、まもなく赤穂の国本家老・大石内蔵助(宇津井健)にもたらされる。
大石は、赤穂の城を明け渡す決意をするとともに、家臣らと密かに仇討ちを誓う。
やがて、江戸に集結した浪士達は、主君の仇討ちのため、吉良家討入りの準備を進める。
女達は、彼らの本願成就を祈りながらも、愛する者を失う悲しみにじっと耐えていた。
大義の名の下に苦しむのは、いつの世も女ばかり。死ぬよりも、生き存えることの方が辛い。
そんな運命を告げる一夜が、まさに始まろうとしていた。
橋田寿賀子のオリジナル脚本で、女の立場から描いた忠臣蔵ドラマとして注目された。
本作は、大石内蔵助に率いられる赤穂浪士ではなく、その妻や姉妹、恋人らの苦悩を
描いた物語である。
四十七士のひとり、大石瀬左衛門(渡辺篤史)の姉・つね(香川京子)は目が見えず、
内蔵助は、瀬左衛門を討ち入りからはずそうとする。
しかしつねは、見えぬ目で弟のための白装束を縫って「私は独りでも生きていける」
と送り出す。
また、飲み屋の女・そめ(小川知子)は、毛利小平太(新克利)の子を身籠っていて
「そんな勝手な殿様のために、命を粗末にせず、生きてください」と泣き叫ぶ。
この「残される女」の覚悟や狂乱は、たとえ生き恥を曝しても生きていてほしいという
女達の本音を赤裸々に表現している。
大石内蔵助の妻・りく(池内淳子)をはじめとして、女達の悲愴なドラマが幾重にも
綴られた本作は、42.6%という驚異的な視聴率を記録した。
機動戦士ガンダム
宇宙世紀79年。人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀。
地球から最も遠い第3移民都市は、ジオン公国を名乗り、地球連邦に独立戦争を挑んできた。
1ヶ月余りの戦いで、ジオン公国と連邦軍は、総人口の半分を死に至らしめてしまう。
民間人の少年アムロ・レイは、あるとき偶然、連邦軍の新型ロボット・ガンダムに乗り込む。
そして、まったくの素人ながら、ジオン軍を撃退することに成功する。
だが、なし崩しに専属パイロットにされた彼は、否応なく戦争に巻き込まれていくのだった。
主人公のアムロは、機械いじりの好きな少年。
食事も忘れて、コンピュータの組み立てに没頭するほどだ。
だが、その性癖が、後にガンダムと出会ったときに役立った。
ガンダムのコックピットに座った彼は、その天性のメカ好きの本領を発揮して、敵を撃破。
しかし彼は、戦争に巻き込まれる形で、専属パイロットになったことに抵抗を感じている。
戦火を生き残るため、仕方なく戦いつつも、悩みを深くしていくナイーブな少年であった。
このヒーロー然としていない、等身大の少年像が、ファンの共感を大いに呼び覚ました。
ガンダム第1シリーズは、1979年から1980年まで全43話。
放送終了後に、3部作として映画化され、社会現象になるほどの大ヒット作品となった。
また、ガンダムのプラモデルが爆発的に売れ、アニメ・グッズの商品化に拍車をかけた。
ドラえもん
落ちこぼれののび太のもとに、未来からやってきたドラえもん。
ドラえもんは、子守用ロボットとして、送り込まれたのだった。
のび太を一人前の大人にしないかぎり、未来に戻れないという。
いやいやながらも、のび太のめんどうをみることに。
のび太の家の居候となったドラえもんは「四次元ポケット」から
不思議な道具を取り出し、のび太のピンチを助けてくれる存在だ。
このアニメのテーマは、主人公であるのび太の成長物語。
勉強もスポーツも苦手なのび太は、どこにでもいる普通の小学生。
自然を愛し、人の心の痛みがわかる心優しい少年だ。
そんな彼が、ドラえもんとの出会いを通して、本人の良さが
どんどん引き出され、成長していくドラマとなっている。
テレビを見ている子供たちは、のび太に自分の姿を重ね合わせて
共感したり、感動したり、物語の世界に惹き込まれていくのだ。
本作は、1970年(昭和45年)小学館の「小学一年生」に連載された
藤子不二雄のマンガ作品をもとにアニメ化されたもの。
アニメ「ドラえもん」は、初め日本テレビ系で1973年に放映されたが、
人気が出ずに半年で終了。
6年ぶりにテレビ朝日系に登場の「ドラえもん」では、ドラえもんの声を
大山のぶ代が担当。またたく間に子供たちを中心に高い人気を得た。
イラン革命
中東で、多民族を敵対させて戦争を起こして軍需産業で儲ける。
さらに、肩入れした親米傀儡政権から、石油利権を独り占めして
儲けているのが覇権国家アメリカである。
世界第二位の産油国イランにおいても、その石油利権はアメリカを支える
重要な柱になっていた。
ところが1979年1月のイラン革命で事態が一変する。
パーレビ国王が失脚し、ホメイニ師率いるイスラム教の新政権が誕生したのだ。
パーレビ国王は暴動を逃れてアメリカに亡命。しかし、ここで恐れていたことが現実となる。
アメリカの国王受け入れに憤ったイランの学生らが米国大使館を占拠し、
職員ら52人を人質に取ったのである。拘留は、444日間にわたって続いた。
以後、イランは急激に反米化、アメリカと敵対関係が継続している。
イランが強気なのはバックに中露という核保有大国が控えているからである。
一方、このイラン革命の余波で、日本は石油の需給関係が逼迫。
政府は石油消費節減措置の一環として、ガソリンスタンドの日曜・祝日の
全面休業をスタートさせた。
また、民放各社に要請してテレビの深夜放送を自粛させている。