6月26日   タイムカプセル(9)昭和38年 (1963年)    タイム・カプセル
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この年、福岡県大牟田市の三池鉱業所、三川鉱で炭鉱爆発。死者458名。

一酸化炭素中毒の後遺症が問題化した。


(映画)第36回アカデミー「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
007は殺しの番号、大脱走、クレオパトラ、地下室のメロディ、シャレード奇跡の人チコと鮫

日活「伊豆の踊子」(吉永小百合高橋英樹)日活「にっぽん昆虫記」(左幸子長門裕之)東宝「天国と地獄」(三船敏郎仲代達矢香川京子山崎努)東宝「女の歴史」(高峰秀子宝田明山崎努仲代達矢星由里子)東映「次郎長三国志」(鶴田浩二佐久間良子、藤純子、松方弘樹山城新伍

東映「武士道残酷物語」(中村錦之助)東映「五番町夕霧楼」(佐久間良子)東映「十三人の刺客」(片岡千恵蔵嵐寛寿郎、里見浩太郎、丘さとみ月形龍之介丹波哲郎) 松竹「古都」(岩下志麻、長門裕之、東野英治郎)大映「越前竹人形」(若尾文子、山下洵一郎、中村玉緒)大映「女系家族」(若尾文子京マチ子高田美和田宮二郎


(音楽)第5回レコード大賞「こんにちは赤ちゃん」梓みちよ 
高校三年生」舟木一夫デビュー、
恋のバカンス」(ザ・ピーナッツ)「東京五輪音頭」三波春夫、美しい十代(三田明)、浪曲子守歌、 Please・Please・Me (The Beatles)  I Want To Hold Your Hand (The Beatles)I Left My Heart in San Francisco(Tony Bennett)


(テレビ)NHK大河ドラマ「花の生涯」(尾上松緑、佐田啓二淡島千景)NHK「あかつき」(佐分利信、荒木道子、塚本信夫)NHK「新日本紀行」TBS「がっちり買いまショウ」(夢路いとし、喜味こいし)NET「アップダウンクイズ」NTV「底抜け脱線ゲーム」(並木翠)NTV「ロンパールーム」(金原二郎)フジ「三匹の侍」(丹波哲郎長門勇平幹二朗)フジ「鉄腕アトム」フジ「鉄人28号」TBS「エイトマン」NET「狼少年ケン




                                                     






(スポーツ)力道山、赤坂のキャバレーで暴力団員に刺殺される

(流行語)なんであるアイデアル、ガチョーン(谷啓)、カッコイイ、一姫二トラ三ダンプ、 巨人・大鵬・卵焼き、ご三家(西郷輝彦、橋幸夫、舟木一夫)ON砲、つぎ いこう、これまた失礼いたしました、ちイともしらなかったわー、気にしない気にしない、いいからいいから、おえりゃーせんなー(長門勇)

(社会)03/31吉展ちゃん誘拐殺人事件。07/16名神高速道路開通。11/01ニセ札大量使用に対して、伊藤博文の新千円札発行。11/09東海道本線で脱線・衝突事故、死者161 人(鶴見事故)11/22ケネディ大統領暗殺。12/08力道山刺殺される

(物故)ジョン・F・ケネディ、小津安二郎川島雄三力道山

(物価)(物価)お米5キロ110円。映画館199円。公務員初任給17100円。一般労働者平均給与25200円。大卒初任給19380円

(その他)小林幸子「うそつき鴎」で歌手デビュー。九重佑三子「シェリー」で歌手デビュー。三田明「美しい十代」で歌手デビュー。坂本九の「スキヤキ・ソング」(上を向いて歩こう)アメリカで100万枚突破

日生劇場開場、電気蚊とり器(ベープ)紫電改のタカ(少年マガジン)黒い秘密兵器(少年マガジン)サブマリン707(少年サンデー)8マン(少年マガジン)ビックX(少年ブック)0戦はやと(少年キング)悪魔くん(東考社)週刊マーガレット(集英社)週刊少年キング(少年画報社)

心身障害児救済「あゆみの箱」スタート。マイカー激増、大阪駅前に初の横断歩道橋、MG5(資生堂)あたり前田のクラッカー(前田製菓)マーブル・チョコレート(明治製菓)アスパラでやりぬこう(田辺製薬)アンネナプキン(アンネ社)光る東芝(東芝)ケロッグコーンフレーク、森永まんがココア



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       I Left My Heart in San Francisco(Tony Bennett) 1963年 グラミー賞受賞作品








庶民のあこがれだったハワイ旅行「アップダウンクイズ」(1963年10月〜1985年10月)


6名の解答者がそれぞれ、エスカレーター式ゴンドラに乗り、早押しクイズにチャレンジ。

正解するとゴンドラが一段ずつ上昇するが、不正解だと一番下まで戻されてしまう。


みごと10問正解して一番上まで上り詰めると、ハワイ旅行と賞金10万円を獲得し、

アシスタントからお祝いのハワイアンレイをかけられた。


1問間違えたら、今までの積み重ねた実績が崩壊するというスリルがあった。















買い物ゲーム番組「がっちり買いまショウ」(1963年12月〜1975年11月)


番組には毎回三組のペアチームが出場。各チームは第一段階のクイズで五万円、

三万円、一万円の各コースに分けられる。


各チームはそれぞれ、各コースの金額の範囲内で、スタジオ内に置かれた商品の

買い物が出来るというもの。






うまく範囲内に納まれば、カゴに詰め込んだ商品が全部もらえるが、1円でも金額を

オーバーすると失格となってしまうルールだった。


選ぶ商品は、2槽式洗濯機など、当時人気の電化製品に集中して時代を反映していた。

番組は1975年11月まで続いたが、物価高に応じて金額も上昇した。

司会は、漫才コンビの夢路いとし・喜味こいし。
















浅草宝塚劇場


1952年(昭和27年)9月開館。映画発祥の地「台東区浅草六区」にあった老舗映画館。


映画と宝塚歌劇団などの舞台公演が行われていた。1968年(昭和43年)7月閉館。

圧倒的な集客力を誇る映画館は、当時の大衆娯楽の中心的役割を果たしていた。


都内最大の繁華街としてにぎわった浅草六区にはわずか三百メートルほどの通りに、

映画館だけでも二十軒以上が軒を連ねていた。


隣接するスナックロータリーは昭和39年8月開店。東京オリンピック直前の浅草である。

















     



花の生涯   


幕末動乱期の大老・井伊直弼の生涯を描いた大型時代劇。

原作は、1952年、毎日新聞に連載された舟橋聖一の同名小説で、脚本の北条誠は、舟橋の親友。


「映画に負けないドラマを作って、視聴者を惹きつけよう」という意気込みで始まったこのドラマが

いわゆる大河ドラマのスタートとなった。


出演者は、井伊直弼に尾上松緑、長野主膳に佐田啓二、三味線の師匠・おたかに淡島千景、

そのほか香川京子、八千草薫ら大物ぞろいだったが、当時はまだテレビを軽蔑している俳優が多く、

出演者を口説くのが大変だった。


たとえば、松竹の看板スター・佐田啓二の出演承諾を得るのに三か月あまりかかったという。

ロケも多用し、衣装やセットも豪華なものを使ったので「札束番組」といわれてしまった。


ちょうど映画スターのテレビ出演禁止が、緩み始めていたことや、VTRが使用可能となったこと

なども幸いしている。


本作は、折からの歴史ブームもあり、最高視聴率32.3%を記録するなど大ヒット作となった。

これ以後、大河ドラマは、啓蒙色の濃い国民的歴史劇として定着していった。














     



三匹の侍


旅の浪人、柴左近(丹波哲郎)は、或る村の水車小屋の近くで女の簪を拾う。


不審に思って水車小屋を覗いてみると、3人の百姓が武家の娘を監禁していた。

百姓の一人が言うには、この女は代官の娘だという。

年貢の取りたてがあまりに厳しいため、娘を人質に代官と交渉するつもりらしい。


無謀とも思えるお上への反旗であるが、左近は成り行き上、百姓に加勢することにした。


やがて代官が差し向けた手勢がやってくる。

その中に代官に雇われた用心棒、桜京十郎(長門勇)がいた。

左近は、あっという間に手勢の浪人たちを斬り捨て、京十郎と対峙する。

両者は刃を交えること数合、京十郎は凄腕の槍の使い手だった。


だが、百姓たちが義民であることを聞いた京十郎は「わしゃ、やめた」と槍を収める。

「そうと聞いたからは、わしゃ百姓の味方だ。なんせ百姓の生まれじゃからな」

京十郎は、何も知らぬままついてきたのだが、事情を知り百姓側に寝返ったのである。



粗野だが正義感溢れる柴左近、ニヒルな剣の使い手・桔梗鋭之介(平幹二朗)、朴訥な
槍の達人・桜京十郎の三匹の浪人が、剣の腕を頼りに漂白の旅を続けて行く娯楽時代劇。


見どころは、演出家・五社英雄のアイデアによる派手な立ち回りシーンである。
「ドスッ、ガキッ」など、迫力ある刀の効果音をつけ、時代劇ファンを魅了した。


柴左近を演じた丹波哲郎は新東宝、桔梗鋭之介の平幹二朗は、新劇出身の俳優である。

だが、桜京十郎に扮した長門勇は、当時は無名に等しい新人だった。


新人といっても、彼は浅草のストリップ劇場で、幕間コントを長年やっていた。
それを見た五社英雄に「何とも言えないとぼけた味」を買われて「三匹」に抜擢。

岡山弁丸出しの人情味あふれる芋侍・桜京十郎を演じてお茶の間の人気を博した。


一躍ブレイクした長門には、その後映画やテレビ番組からオファーが殺到。
浅草の舞台で腕を磨いた器用さで現代劇から時代劇までカバーした。


のほほんとした親しみやすいキャラクターが印象的で、うだつの上がらない人物を装い、
いざという時に凄腕を発揮する、といった役どころを得意とした。












あかつき


大学教授を退職した正之助(佐分利信)は、趣味の油絵を描きながら悠々自適に暮らしている。


彼には妻の敏子(荒木道子)、大学生で長男の正蔵(塚本信夫)、そして二人の娘がいた。


あるとき正蔵は、大学の友人から、職を探している千津(村松英子)を紹介された。


継母のいる恵まれぬ家庭をもつ千津は、淋しい心を外の生活でまぎらわそうとしていた。

そんな千津に心をひかれた正蔵は、彼女に父の絵のモデルになるよう勧めるのだった。





1940年、女性誌「婦人公論」に連載された武者小路実篤の小説「幸福な家族」のドラマ化。


元ドイツ語教授で、今は毎日油絵ばかり描いている佐田正之助を主人公に、息子・正蔵と

絵のモデルとなった娘・千津の恋の行方を、父親の微笑ましい視点から描いている。


理想的父親像として人気のあった佐分利信は、ここでも日本の典型的な父親を演じている。


原作者の武者小路実篤は、画家としても知られており、自ら絵筆をとって描いた風景や

野菜などの色紙絵の作品が数多く残されている。

また本作「あかつき」にも、年始回りに訪れた作家仲間の役としてゲスト出演している。












鉄人28号


戦時中、軍からの要請で敷島博士と金田博士は、巨大ロボット・鉄人28号を製作した。


だが国際密輸組織をはじめとする様々な悪の組織が、鉄人を奪い取ろうと画策する。

金田博士の息子・正太郎は、大塚署長と共に、リモコン片手に悪の組織に立ち向かう。



鉄人28号には、感情や善悪の判断はない。リモコン(操縦機)を持つ者次第で、

正義の味方にも、悪魔の手先にもなってしまう存在である。




それは、物語をスリリングにしている一因でもあったが「善も悪も使う者次第」という

テーマは、後の「マジンガーZ」など巨大ロボットものに大きな影響を与えた。



番組のスポンサーは、江崎グリコと江崎乳業。

グリコは、主題歌のラストに「♪グリコ、グリコ、グリコ〜」というコーラスを入れ、

単独スポンサーならではの強みを存分に発揮した。


「鉄人28号チョコ」「鉄人28号ジュース」など、関連商品が次々と大ヒットしたが、

特に、オマケにワッペンやシールがついたキャラメル菓子は、子供たちに大人気だった。
















エイトマン


警視庁の敏腕刑事・東八郎は、凶悪犯を逮捕する寸前、背後から撃たれ殉職した。

だが谷博士により、脳細胞を活かす手術が行われ、八郎はサイボーグとして復活。

彼こそは、難事件や怪人に敢然と立ち向かうエイトマンだった。


八郎は表向きは私立探偵事務所の所長をやっているが、ひとたび事件が起こると

警視庁に駆けつけ、難事件の解決に挑む。

エイトマンの最大の武器はその「速さ」であり、ひとたび駆け出せば、

たちまち音速を超える。

爆発に巻き込まれても、その爆風より速く走って無傷で生還するほどである。




本作は、最高視聴率35.9%、平均視聴率30%超を記録し「鉄腕アトム」「鉄人28号」と共に

アニメーション黎明期を代表する作品となった。


番組のスポンサーは「のりたま」でおなじみの丸美屋食品。

オマケのシールを封入したふりかけは大ヒットし、家庭における白米の消費量を大幅にアップさせた。

子供たちも「のりたま」を食べて、エイトマンのように強くなると信じて疑わなかった。















狼少年ケン


狼少年ケンは、ジャングルの中で狼に育てられた少年ケンが、双子の子供狼チッチとポッポ、
長老のボスや片目のジャックなどとともに、ジャングルへの侵略者を相手に活躍するというもの。


動物たちと会話しながら勉強せずに、自由にジャングルの密林を元気に駆け回るケンの姿は、
当時の子供たちにとっては、うらやましく、あこがれの対象でもあった。


主題歌は「ワーワーワオー」というコーラスに続いて「ボバンババンボン、ボンバボン」
という低音の男性スキャットで始まる非常に斬新なものだった。




作曲の小林亜星は、昭和40年代のドラマ「寺内貫太郎一家」の寺内貫太郎役を演じた
巨漢の作曲家としてよく知られている。

1976年(昭和51年)レコード大賞に輝いた名曲「北の宿から」で、作曲家として頂点を極めた。

「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」さらに「ピンポンバン体操」なども、
この人の手によるものだった。



番組のスポンサーは森永製菓。当時まだめずらしかったココアの粉末缶に
「ケン」のまんがシールがオマケとして封入されていた。

そのシールほしさに、はじめてココアを飲んだ子供も多かったはずである。


まんがシールの交換が学校で流行し、学校の机に貼ったりしたため、持ち込みが禁じられたところもあった。

缶に入っている点数を集めて応募すると貰えた景品が「狼少年ケン人形セット」である。

4点でどれか好きな人形を1体、8点でケン、ポッポ、チッチの3体、12点だとそこにボスとジャックが加わった。
18点集めると10体完全セットが貰えたが、18点集めるのはなかなか至難の業だった。


ちなみに、この10体完全セットは、2015年「開運何でも鑑定団」で出品され、45万円の鑑定結果が出ている。




















    奇跡の人(The Miracle Worker)1962年(米)

生後19ケ月で、熱病により目が見えず、耳も聞こえず、言葉も喋れなくなってしまったヘレン。
両親の献身的な行動にも関わらず、ヘレンを受け容れてくれる学校はなかった。
ヘレンが7歳になった時、自身も障害を克服したアン・サリバンが家庭教師としてやってくる。

三重苦の凶暴な少女と、過酷な境遇を背負い生きてきた二十歳の家庭教師の壮絶な闘いを描いた物語。
サリバンのヘレンに対する厳しさは、徹底していた。一切の甘えを許さず、妥協もしない。
それはサリバン自身、みずからの身体と心で学んできたことだったからである。

サリバンは幼少の頃、目の病気で視力を失う。だが大変な努力と訓練により視力をある程度回復できた。
目の前のヘレンは、境遇や障害の程度こそ違え、かつてのサリバン自身でもあったのだ。
本作は、主演二人の圧倒的な名演技が見どころで、その火花散る絡み合いは最後まで目が離せない。

(監督)アーサー・ペン(Arthur Penn)
(出演)アン・バンクロフト(Anne Bancroft)パティ・デューク(Patty Duke)