6月8日 タイムカプセル(6)昭和35年(1960年) タイム・カプセル |
この年、ビニール製のダッコちゃん人形が全国的なブームを巻き起こした。
空気を入れてふくらませると、片目をつぶってウィンクし、腕に抱きつくアイディアが大ヒットした。
(映画)第33回アカデミー「アパートの鍵貸します」
「眠れる森の美女」「チャップリンの独裁者」「太陽がいっぱい」「スパルタカス」「五つの銅貨」
松竹「秋日和」(原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐分利信、佐田啓二、笠智衆)東宝「娘・妻・母」(三益愛子、原節子、森雅之、高峰秀子、宝田明、仲代達矢、上原謙、杉村春子、笠智衆)東宝「女が階段を上る時」(高峰秀子、森雅之、仲代達矢、中村鴈治郎、淡路恵子)東宝「黒い画集」(小林桂樹、原知佐子)東宝「ふんどし医者」(森繁久彌、原節子、山村聡、志村喬)松竹「青春残酷物語」(桑野みゆき、川津裕介)大映「歌行燈」(市川雷蔵、山本富士子、柳永二郎)
大映「おとうと」(岸恵子、川口浩)東映「任侠中仙道」(片岡千恵蔵、市川右太衛門、東千代之介、中村錦之助、大川恵子、大川橋蔵、月形龍之介、大河内伝次郎)東映「丹下左膳 妖刀濡れ燕」(大友柳太朗、大川橋蔵、桜町弘子、丘さとみ、大河内伝次郎、月形龍之介)東映「若さま侍捕物帖」(大川橋蔵、桜町弘子、三田佳子、花園ひろみ)東映「御存じいれずみ判官」(片岡千恵蔵、千秋実、丘さとみ、月形龍之介、木暮実千代)日活「ガラスの中の少女」(吉永小百合、浜田光夫、轟夕起子)
(音楽)第2回レコード大賞「誰よりも君を愛す」(松尾和子/和田弘とマヒナ・スターズ )
「嵐を呼ぶ男」(石原裕次郎)「アカシヤの雨が止む時」(西田佐知子)「月の法善寺横町」(藤島恒夫)「潮来笠」(橋幸夫)「霧笛が俺を呼んでいる」(赤木圭一郎)「一本刀土俵入」(三波春夫) 「ラストダンスは私に」Save the Last Dance for Me (The Drifters)
(テレビ)民放初の連続ドラマ NET「水道完備ガス見込」(野々浩介、関千恵子、八木啓子)NTV「琴姫七変化」(松山容子)NET「ボナンザ」NET「白馬童子」(山城新伍)NET「アラーの使者」(千葉真一)NET「ナショナルキッド」(小嶋一郎)
NHK「ブーフーウー」(大山のぶ代、三輪勝恵、黒柳徹子)フジ「日日の背信」(池内淳子、原保美)フジ「トップ屋」(丹波哲郎、水の也清美、梅津栄)フジ「少年探偵団」(富岡浩太郎、清水了太)フジ「怪獣マリンコング」(太田博之)NTV「怪傑ハリマオ」(勝木敏之)フジ「天馬天平」(富士八郎)NET「笛吹童子」(北大路欣也、山手宏太郎)NET「ララミー牧場」NTV「透明人間」NET「早射ちマック」
(スポーツ)オリンピック・ローマ大会
(流行語)家つきカーつきハバぬき。私はウソは申しません。全学連。所得倍増(池田勇人)
(社会)01/19日米新安保条約、ワシントンで調印。02/23浩宮さまご誕生。05/20新安保条約強行採決。06/30アフリカ諸国独立、コンゴ動乱。10/12日本社会党、浅沼委員長刺殺事件。11/08ケネディ、米大統領に。
(物故)クラーク・ゲーブル(59歳)
(物価)お米5キロ98円。映画館119円。うどん一杯29円。公務員初任給11800円。一般労働者平均給与18400円。
(その他)浜田光夫、日活「ガラスの中の少女」でデビュー。松方弘樹、東映「十七歳の逆襲・暴力をぶっ潰せ」でデビュー。石原裕次郎、北原三枝と結婚。浜美枝、東宝「若い素肌」でデビュー。岩下志麻、松竹「乾いた湖」でデビュー。坂本九「悲しき60才/恋のホームタウン」でデビュー。山崎努、東宝「大学の山賊たち」でデビュー。緒形拳、東宝「遠い一つの道」でデビュー。加賀まりこ、フジ「東京タワーは知っている」でデビュー。引田天功、「東京魔術団」を結成。
クレジットカード誕生(富士銀行と三越が提携)ダッコちゃん(木のぼりウィンキー 180円)大流行。トルコ風呂乱立。初のロングサイズ・フィルター付きたばこ「ハイライト」(20本入 70円)発売(日本専売公社)カラーテレビ本放送開始。主婦の友社から「青汁の効用」が発行され、ジューサーが注目を集める。バンドエイド。ワンタッチカレー(江崎グリコ)インスタントコーヒー(森永)パンピー・ジュース(明治)のりたま(丸美屋)若者にジーパンが流行。
少年探偵団の歌 (上高田少年合唱団)
少年探偵団
小林少年は、ある事件で両親を亡くし、私立探偵・明智小五郎にひきとられた。
小学生ながら、明智探偵の助手として活動している。
そんなある日、大事件が発生! 犯人はいま世間を騒がしている怪盗・怪人二十面相。
羽柴家から、ロマノフ王朝のダイヤが盗まれ、息子の荘二君まで誘拐されたという。
当主の羽柴壮太郎は、明智探偵に捜査を依頼するが、あいにく明智は海外出張中。
助手である小林少年が、ひとり事件の捜査に乗り出すことに…。
1936年「少年倶楽部」に連載された江戸川乱歩の推理小説「怪人二十面相」のドラマ化。
私立探偵・明智小五郎には、小林少年という助手がいて、彼を慕う少年たちが集まって
「少年探偵団」を結成することから物語ははじまる。
江戸川乱歩の原作に登場する名探偵といえば明智小五郎だが、本作では、彼はむしろ
脇役に徹しているようだ。
明智探偵の知恵を借りながら、少年探偵団のメンバーたちが主役となって大活躍する
という本作のストーリーは、企画としては大成功の結果をおさめた。
番組は、1960年から1963年まで3年間、全152話が放映され、その間、全国各地に私設の
少年探偵団が結成されるなど、大きな社会的反響を呼んだ。
「ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団」ではじまる主題歌「少年探偵団の歌」も大流行した。
文明堂豆劇場
「♪ カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」
1960年にはじまった人形が踊る、和菓子の老舗・文明堂のCM。
印象的な歌詞が耳に残っている人も多いのではないだろうか。
動物たちの人形が踊るという単純なアニメーションなのだが、
大袈裟に言えば、知らない人はいない知名度の高いCMだ。
もちろん、人形や背景が雰囲気にぴったり合っていたこともあるが、
なんといっても覚えやすく、親しみやすいコマソンのおかげだろう。
「悪名市場」1963年 大映
パチンコ台
当時のパチンコ台は、右手親指でハンドルをはじいて玉を打つ手打ち式だった。
左手に一握りの打ち玉を持ち、親指で一玉ずつ投入口に入れながら打つのである。
そのため、パチンコをすることを「親指体操」などと呼ばれた。
1960年には「チューリップ」と呼ばれる台が登場し、一躍ギャンブル性が高くなった。
チューリップに玉が入れば開き、もう一回入れば閉まる。
開いてるときに2個同時に入れば、一旦閉まってもう一回開くから、
大量出玉獲得のチャンスとなる。
玉は1個2円。台に100円を入れると50個の玉がでてくる。300円もあれば一日遊べた。
手打ち式は、手の力加減により狙いを定め、自分のペースでゆっくりと打つことができ、
玉の動きに一喜一憂するというパチンコ本来の面白さがあった。
高度成長期に入る前の、戦後復興期の日本の夜明け前。
国民はみな等しく貧乏で、生活は不便だった。
当時パチンコは、庶民の数少ない娯楽のひとつであった。
手首が腱鞘炎になるほど夢中になって遊んだ。
パソコンもスマホも車もなかった。だが貧しくとも希望があった。
この時代こそ、日本が本当に豊かな時代だったのかもしれない。
アラーの使者
カバヤン王国のココナツ殿下とその妹マミイは、隠された王国の秘宝を探していた。
財宝の隠し場所は4枚の地図に記されている。
だがその途中、財宝を狙う紅とかげ団に襲われ、二人は絶体絶命の危機に!
そのとき、白ターバンに白覆面の正義の味方「アラーの使者」が現れた。
「七色仮面」に続く、川内康範原作、千葉真一主演のヒーロー物。
「怪傑ハリマオ」がアジアなら、こちらは中近東の話(ただし、中近東ロケは行ってない)
舞台となる「カバヤン王国」という国名は、番組スポンサーのカバヤ食品に由来する。
また「ココナツ殿下」「マミイ」のネーミングは、その当時の主力商品だった
「カバヤココナツキャラメル」「マミービスケット」から取ったものである。
ナショナルキッド
ナショナルキッドは、地球防衛の任を受け、三万光年のかなたにあるアンドロメダから
やって来たスーパーヒーローだ。
普段は地球の科学者・旗竜作として活動しているが、少年探偵グループに手渡した
「マジックラジオ」の通信を聞くと、どこからともなく空を飛びながらやってきて、
地球を攻撃する異星人や地底帝国を相手に戦う。
「ナショナル」こと松下電器が番組スポンサーだったため、スポンサー名がそのまま名前になっている。
またドラマの中で、ナショナルキッドが使っている光線銃が、ナショナルの懐中電灯と同じ形をしている
など、かなり露骨な広告戦略がとられている。
しかし、特撮番組としての完成度は高く、円盤、宇宙船、科学兵器などが惜しげもなく登場している。
怪傑ハリマオ
太平洋戦争直前、東南アジアは欧米諸国の植民地となっていた。
某国の軍事機関「ジャワ統治庁」は、秘密裏に東南アジア全土の征服を企てていた。
それは民衆を弾圧して反乱を誘発、鎮圧を名目に軍を出動させる恐るべき計画だった。
民衆が虐げられるその時、何処からともなく馬の蹄の音が聞こえてくる。
その馬に乗ってやって来るは、ターバンにサングラスの正義の戦士、ハリマオである。
民衆を苦しめる悪党に向かい、今こそ正義の銃が火を吹くのだった!
1956年「日本経済新聞」に連載された山田克郎の海洋小説「魔の城」のドラマ化。
物語は、戦争直前の東南アジアを舞台に、日本人「ハリマオ」が、アジアを支配する某国の
軍事機関や、彼らと結託する武器商人を相手に、激闘を繰り広げる冒険活劇となっている。
ハリマオは、抑圧されている民衆を救うために、仲間と共にどこからともなく颯爽と現れるが
ターバンとサングラスで素顔を隠しているため、その正体は誰も知らない。
だが、主人公であるハリマオは、かつてマレー半島において大日本帝国陸軍に協力し、
「マレーの虎」の異名を持つ谷豊という実在の人物をモデルにしているという。
本作は、テレビドラマとしては初の海外ロケ(カンボジアのアンコールワット)を行ったり、
最初の5話を試験的にカラー(日本初)で制作したりと、何かと話題の多かった作品である。
また、三橋美智也が歌う演歌調の主題歌も印象的だった。
天馬天平
時は幕末。天馬天平(富士八郎)は、剣の道場に通う正義感の強い少年剣士だ。
その頃、馬にまたがり金銀を強奪していく怪盗・流騎隊が江戸中を荒らし回っていた。
彼らの隠れ家を突きとめた天平は、中に忍び込んだが、敵の落とし穴に落ちてしまう。
そして、上から弓で狙われ絶体絶命に!
その時、救いに駆けつけたのが虚無僧姿の兄の五郎太(秋葉浩介)。
五郎太に助けられた天平は、兄と力を合わせて、流騎隊に戦いを挑むのだった。
悪を懲らしめ弱い善民を助ける正義の少年剣士の痛快活劇。
原作は、1957年「少年画報」に連載された堀江卓の同名少年漫画。折からの赤胴鈴之助ブームで
1960年にドラマ化されると、平均視聴率35%という高視聴率を記録し、人気番組となった。
また本作に、松竹の若手女優・松山容子が新選組と戦う勤皇の姫君・千也姫役として登場すると
一躍、茶の間の人気者となり脚光を浴びた。
松竹では役に恵まれなかった松山だが、本作で演じたお姫様ぶりが、番組のスポンサーである
大塚食品社長の目にとまり、主役に抜擢されたのが「琴姫七変化」である。
この番組も大ヒットとなり、その後二年間に渡り放映された。
大塚食品「ボンカレー」の初代パッケージに彼女が起用されているのはこのためである。
トップ屋
トップ屋木村(丹波哲郎)は「週刊世相」のデスク釜谷(野々村潔)から仕事を依頼される。
投身自殺したバーホステス、六条伊都子について取材してくれ、というものだった。
監察医病院に電話したところ、死体は大学病院で解剖されているという。
これは自殺ではない、と木村は思った。
死体を解剖するのは、他殺もしくは他殺の疑いがある時だけだ。
さらに伊都子の遺品は、彼女の死が自殺でないことを裏書きしていた。(第一回 偽装殺人)
トップ屋とは、週刊誌にトップの特集記事を売り込むライターたちのことである。
彼らは事件を追って危険を冒し、時には非合法スレスレの線で行動することもある。
それはサスペンス・タッチのアクションドラマの主人公にはうってつけといえる。
本作は、こうしたトップ屋に焦点を合わせ、その生態とトップ屋を通じて、社会の
数々の矛盾やゆがみを浮き彫りにしようと試みている。
主演の丹波哲郎は、新東宝の大部屋俳優だったが、態度がデカかったため、1959年に
会社をクビになり、この当時はフリーだったらしい。
そんな彼を主人公に抜擢したのが、フジテレビのディレクター・五社英雄だった。
ソフト帽をあみだにかぶり、コートを無造作にひっかけた丹波のヤクザっぽい姿が
しがないトップ屋にぴったりで、彼はたちまち人気を得た。
ちなみに、主題歌「トップ屋」や挿入歌「俺がやらなきゃ」も丹波が歌っている。
日日の背信
土居広之(原保美)は、国内でも著名な大手出版会社の社長である。
彼には病気がちの妻がいたが、生活には、何不自由なく暮らしていた。
あるとき土居は、山の温泉宿で行きずりに幾子という女(池内淳子)に出会う。
彼女は、銀座で宝石商を営む六角庫吉(若宮忠三郎)のめかけであった。
六角は横暴だったが、不幸な境遇から彼に救われた幾子は忍従の生活を送るばかり。
幾子は六角からタバコ屋をまかされていた。
土居はそんな女の姿に心をひかれ、その店に足繁く通った。
やがて、お互いに逢瀬を重ねるようになり、ある夜二人は結ばれる。
だが、土居の楽しい毎日は、妻への背信に悩む日々でもあった。
1956年毎日新聞に連載された丹羽文雄の同名小説のドラマ化。
病身の妻を抱える壮年実業家と、宝石商の愛人との不倫を描く。
本作は、主婦を対象とした、いわゆる「昼メロ」の最初の作品とされ、
昼間の番組にもかかわらず、驚異的な最高視聴率26.2%を記録。
刺激的な愛欲シーンは賛否両論を巻き起こし、以後、不倫や浮気を
モチーフにしたドラマは「よろめきドラマ」と呼ばれた。
昼メロ人気には、当時の家電製品の普及で、主婦にゆとりが
出来たことも関係しているようだ。
「よろめきドラマ」は、そんな昼下がりのひと時をもてあます
彼女たちの気持ちを、上手く汲み上げたとも言える。
この番組のヒットをきっかけに、昼メロが各局で次々とスタート。
1965年「愛染かつら」の長内美那子、1969年「女の絶唱」の
三ツ矢歌子ら、昼メロから数多くのヒロインが生まれた。
ララミ−牧場 (LALAMIE)
ワイオミング州ララミ−近くにある、男ばかりの牧場一家の物語。
ならず者に殺された父親が残した牧場を守りながら、駅馬車の中継所を営む
スリムとアンディの兄弟。
そこに流れ着いた一匹狼の早撃ちガンマン、ジェスも仲間に加わる。
アクションよりもむしろ牧場の生活を描くことにウエイトをおいたホームドラマ西部劇。
早撃ちのジェスに扮したのが、甘い二枚目のロバート・フラー。
「ラスベガスで逢いましょう」(1956年)に端役で出ていた彼は、本作品で一躍人気急上昇。
母性本能をくすぐるあの甘いマスクで、いままで西部劇には見向きもしなかった女性たちを、
テレビの前に座らせてしまった。
番組宣伝のため、ロバート・フラーは、1961年二度来日しているが、どこへ行っても女学生の
大群に囲まれ、ご本人も目を丸くするほどのモテようだった。
「爺や」こと、父親の親友役にホーギー・カーマイケルが毎回特別出演したのも話題になった。
かの名曲「スターダスト」(Stardust)を作曲したあのカーマイケルである。
番組のはじめには、映画評論家の淀川長冶が現れて、開拓時代の西部について「豆知識」紹介があった。
番組の終わりにも登場して、サヨナラの挨拶と一緒に、招き猫みたいにグーしてみせたが、
これが大受けで、後に「日曜洋画劇場」の解説者に抜擢された。
ボナンザ (Bonanza)
ネバダ州ポンデローサは、かつてゴールドラッシュで名を馳せた土地である。
カートライト家の父親と3人の兄弟は、この地で大牧場を経営している。
ある日、次男と三男のホスとジョーは、テキサスに飼育用の家畜を買いつけに行った。
ところが町に入ったとたん、二人は保安官に逮捕され留置所にぶち込まれてしまう。
どうやら最近この町を荒らし回っているならず者と勘違いされたようだ。
NBC による一時間番組で、1959年から1973年まで13年間続いた長寿番組。
南北戦争時代のネバダ州の田舎町を舞台に、富裕な牧場主の男と三人の息子たちが繰り広げる西部劇。
通常の西部劇とちがい、暴力(撃ち合い)よりも登場人物の性格描写や人間関係のほうに力点があり、
とくに 1964年から1967年まで視聴率トップの人気を誇った。
物語は、家族の絆や団結、そして正義と勇気、等々が主要テーマとなっており、こうした古き良き時代の
アメリカ人家族の理想像が、人々の心をつかんだのだと言える。
ちなみに三男のジョーに扮したマイケル・ランドンは、後にNBC「大草原の小さな家」で、同じく
古き良き時代のアメリカの父親を演じている。
琴姫七変化
第11代将軍・徳川家斉の末娘・琴姫は、男も舌を巻く剣術の強さを持つ。
あるとき縁談が持ち上がるが、琴姫は自分を負かした相手としか結婚しないと言い張る。
そこで御前試合が行われるが、姫は花婿候補の男たちを次々と打ち負かしてしまった。
呆れ顔の家斉を後目に、姫は修行の旅に出ると告げ、そのまま城を飛び出してしまう。
琴姫七変化は、江戸城を飛び出した琴姫(松山容子)が、旅の先々で事件に巻き込まれ、
華麗な七変化で悪を懲らしめる波瀾万丈の姫君行状記である。
女らしいカンザシや三味線の立回りもあって、時代劇にお色気が加わった。
主演の松山容子は、その芸名が示すように愛媛県松山生まれ。
高校在学中「アサヒグラフ」の表紙モデルを務めたのがきっかけで、松竹にスカウトされた。
松竹では役に恵まれなかったが、たまたま出演したテレビ番組「天馬天平」のお姫様ぶりが
番組のスポンサーである大塚食品社長の目にとまり「琴姫七変化」の主役に抜擢された。
番組は大ヒットとなり、その後2年間に渡り放送された。
大塚食品「ボンカレー」の初代パッケージに彼女が起用されているのはこのためである。
白馬童子
白装束、白覆面に白いタテガミをつけた白馬童子が、愛馬流れ星に乗って颯爽と現れ、
電光二刀流の宝刀・日輪丸を振って悪を斬る。
本作は、全国的に高視聴率を獲得、前番組「風小僧」から続けて主演を務めた山城新伍は、
一躍子供たちのヒーロー、アイドルとなった。
本作は再編集され、映画館で公開、まだ家庭でテレビが見られない子供たちも映画館で
見ることができ、作品人気の拡大によって、テレビの普及に一役買った。
水道完備ガス見込
舞台は、都内の新興住宅地。
上下水道の整備は進んだが、都市ガスは「開通見込み」という状況の中、住宅地の住民が
都市ガスをめぐって悪戦苦闘する姿がコメディタッチで描かれる。
この頃のテレビでは、アメリカのホームドラマや西部劇が頻繁に放映されていた。
ドラマでは、大きな冷蔵庫や台所用品、テーブルの上の豪華な肉料理が映し出される。
庶民はそれを食い入って見ていた。
都市ガスは、そのような豊かで快適な暮らしを実現する不可欠のインフラだったのだ。
当時の日本は、ようやく戦後復興から成長期に入るところで、一般企業も生産部門の
近代化が進み始めた段階だった。
庶民の住宅事情はまだまだ劣悪で、水道は引かれたが都市ガスは引かれていない
ところも沢山あった。本作はそんな時代背景を反映したドラマである。
放送時間は、月曜から土曜までの昼の15分という、いわゆる帯ドラマだった。
午後のひとときを楽しませてくれる番組として、昼食のかたづけを終えた主婦たちの好評を博した。
太陽がいっぱい(Plein Soleil)1960年(仏/伊) 貧乏な青年トム(ドロン)は、金持ちの放蕩息子フィリップ(ロネ)を連れ戻して欲しいと、彼の父親に頼まれ、 ナポリにやって来る。だが、フィリップとヨット遊びをするうち、次第に憎悪を抱き始め、遂にフィリップを 殺害してしまう。トムは身分証明書を偽造して彼に成りすまし、金と女を手に入れるのだが…。 貧しい若者が富豪のドラ息子を殺し、彼に成りすまして金も恋人もモノにするという完全犯罪サスペンスの傑作。 主人公は犯罪者なのだが、それを若き美貌のアラン・ドロンが演じているため、観客はみな肩入れしてしまうのだ。 だが映画の結末は、彼にとって悲劇の幕切れとなる。完全犯罪がほんのつまらぬミスで発見されるのは定石だが、 ドロンに感情移入していた観客は皆、あのエンディングを観て、彼のドジに心底ほぞを噛む思いをしたのである。 (監督)ルネ・クレマン(Rene Clement)(出演)アラン・ドロン(Alain Delon) モーリス・ロネ(Maurice Ronet)マリー・ラフォレ(Marie Laforet) |
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(Plein Soleil) | |||