6月5日   タイムカプセル(3)昭和32年(1957年) タイム・カプセル
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この年、後楽園で、日本初の世界タイトルマッチ(力道山 VS ルー・テーズ)が行われた。
両者は60分フルに戦い、引き分けに終わったが、3万の大観衆は、惜しみない拍手を送った。

(映画)第30回アカデミー「戦場にかける橋」
翼よ!あれが巴里の灯だ」「ノートルダムのせむし男」「戦争と平和」「OK牧場の決闘」「昼下りの情事」「八十日間世界一周」(デヴィッド・ニーヴン、カンティンフラス)

松竹「東京暮色」(原節子有馬稲子笠智衆杉村春子山田五十鈴)松竹「喜びも悲しみも幾歳月」(佐田啓二高峰秀子桂木洋子)松竹「浪人街」(近衛十四郎藤田進、河津清三郎、高峰三枝子)松竹「挽歌」(久我美子森雅之高峰三枝子斎藤達雄

松竹「集金旅行」(佐田啓二岡田茉莉子)松竹「まだら頭巾 剣を抜けば 乱れ白菊」(近衛十四郎月形龍之介)東映「鳳城の花嫁」(大友柳太朗薄田研二長谷川裕見子、中原ひとみ)東映「大菩薩峠」(片岡千恵蔵中村錦之助大河内伝次郎長谷川裕見子丘さとみ

東映「水戸黄門」(月形龍之介、東千代之介、大川橋蔵)東映「佐々木小次郎」(東千代之介大川恵子、片岡千恵蔵)東映「忍術御前試合」(伏見扇太郎、桜町弘子大河内伝次郎月形龍之介

日活「嵐を呼ぶ男」(石原裕次郎北原三枝芦川いづみ)日活「幕末太陽伝」(フランキー堺南田洋子左幸子)大映「朱雀門」(若尾文子市川雷蔵山本富士子)大映「くちづけ」(川口浩、小沢栄太郎、三益愛子、野添ひとみ)大映「暖流」(根上淳、左幸子、野添ひとみ)大映「銭形平次捕物控 まだら蛇」(長谷川一夫、堺駿二、美空ひばり山本富士子木暮実千代

東宝「大当り三色娘」(美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ) 東宝「蜘蛛巣城」(三船敏郎、山田五十鈴)東宝「新しい背広」(小林桂樹八千草薫夏川静江)東宝「下町」(山田五十鈴三船敏郎淡路恵子)東宝「どん底」(三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村鴈治郎)東宝「大番」(加東大介淡島千景原節子仲代達矢東野英治郎小林桂樹)東宝「美貌の都」(司葉子宝田明、木村功、小林桂樹淡路恵子)東宝「サラリーマン出世太閤記」(小林桂樹宝田明加東大介、団令子)新東宝「明治天皇と日露大戦争」(嵐寛寿郎、藤田進)


(音楽)
有楽町で逢いましょう、夜霧の第二国道(フランク永井)チャンチキおけさ(三波春夫)船方さんよ(三波春夫)俺は待ってるぜ(石原裕次郎)東京だよおっ母さん(島倉千代子)バナナ ボート(浜田美智子)錆びたナイフ(石原裕次郎)港町十三番地(美空ひばり)喜びも悲しみも幾歳月(若山彰)東京のバスガール(コロンビア・ローズ)Love Letters In The Sand (Pat Boone) April Love (Pat Boone) Jailhouse Rock (Elvis Presley)

(テレビ)NHK「テレビ体操」NHK「アイ・ラブ・ルーシー」(ルシル・ボール)NTV「ヒッチコック劇場」(熊倉一雄)1957年(昭和32年)NTV「眠狂四郎無頼控」(江見俊太郎)NTV「ルー・テーズVS力道山 NWA世界ヘビー選手権中継」(後楽園球場)NTV「宮本武蔵」(安井昌二、木村功、夏川大二郎)NTV「ダイヤル110番」(玉川伊佐男、松村達雄)KRT「赤胴鈴之助」(尾上緑也、尾上松助、吉永小百合)KRT「水戸黄門漫遊記」(十朱久雄、柳沢真一、里井茂)KRT「時事放談」(細川隆元、小汀利得、藤原弘達)KRT「名犬ラッシー」KRT「アニーよ銃をとれ」(ゲイル・デーヴィス)


                           



(流行語)有楽町で逢いましょう、グラマー、よろめき、ストレス、ファニーフェイス、孤独の人、パートタイマー、教養が邪魔をして

(社会)01/12プロ野球初の300勝投手スタンヒル選手が都内で自動車事故により死去。01/13美空ひばりが浅草国際劇場で公演中、ファンから塩酸をかけられ火傷を負った。04/01売春防止法施行。06/01スカイライン発売。93万円(富士精密/ニッサン)07/01コロナ発売。64万円(トヨタ)10/01、5000円札発行。10/04ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功。12/11、100円硬貨発行。

(物故)ハンフリー・ボガート(57歳)、ヴィクトル・スタルヒン(40歳)

(物価)お米5キロ98円。映画館100円。公務員初任給9200円。

(その他)吉永小百合(11)TVドラマ「赤銅鈴之助」でデビュー。田宮二郎、大映「九時間の恐怖」でデビュー。田中邦衛、東映「純愛物語」でデビュー。桜町弘子、東映「ふり袖捕物帖 ちりめん駕籠」でデビュー。大川恵子、東映「とんちんかん八百八町」でデビュー。杉浦直樹、日活「俺は待ってるぜ」でデビュー。

コカコーラ販売開始。たばこ自動販売機1号(丸ビル)。有楽町にそごう百貨店開店。熱海にモーテル第1号登場。初のフィルター付きたばこ「ホープ」発売(専売公社)ロカビリーブームで、新宿、銀座のジャズ喫茶がロカビリー喫茶に衣替え相次ぐ。チャタレイ裁判。東京都の人口、世界一に(8,518,622人)ミゼット(ダイハツ)。桑田次郎の「まぼろし探偵」(少年探偵王)が少年画報に連載開始。「赤胴鈴之助」人気で連載誌の少年画報の発行部数増加。カリプソブーム。クシャミ3回ルル3錠(三共製薬)東京都、バキュームカーを導入。昭和基地建設で南極ブーム。



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                        有楽町で逢いましょう









ブリキ屋


ブリキ屋は、ブリキ(すずメッキを施した薄い金属板)を扱う商売である。

ブリキの鉄板をはさみで切り、叩いたり曲げたり、ハンダ付けを施したりして、
鍋、やかん、バケツの修理、衣類の缶造りなどが主な仕事だった。

鋳掛屋との違いは、ジョウロや米びつ、ブリキの玩具などなんでも作っていた。




ブリキのおもちゃは、当時の子供たちの宝物だった。

ブリキのロボットや自動車、鉄道模型、ママゴト道具もみなブリキだった。


戦前から戦後にかけて、町や村のあちこちにブリキ屋が開業していた。

昔は何でも大事に使っていた。直せるものは出来るだけ自分で直し、どうしても
直せない物については、近くのブリキ屋さんに持って行って直してもらった。



だが、昭和30年代になると、日用品やおもちゃは、プラスチックなど、
主に石油を原料としたものに取って代わられてしまった。


だが、ブリキ屋さんは廃業したわけではなく「板金屋」と呼ばれるようになり、
現在は工務店の下で、屋根や雨樋の工事をする専門の業者として活躍している。












バキュームカー (Cesspool Emptier)


バキュームカーは、糞尿の吸引・運搬を担う特殊車両である。

バキュームカーが開発される以前、糞尿の汲み取り作業は肥桶と
天秤棒を使って手作業で行われていた。


戦後、GHQから糞尿の汲み取りの機械化が勧告され、1954年(昭和29年)に
バキュームカーが開発、翌年から動力による収集運搬が進められた。

これ以降、家庭のトイレに大小便がたまると、バキュームカーが
やってきて、スボズボとくみ取ってもらえるようになった。




当時のトイレの大半は、汲み取り式のいわゆるボットン便所であり、
下水施設が貧弱な時代は、それが当然のことであった。


このボットン便所で大便をするには、少々コツが必要で、
分身が落下すると、勢いよくオツリが跳ね返ってくる。

そこで発射直後に尻をずらしたり、浮かせたりしなければならなかった。

またトイレット・ペーパーなど存在しなかった時代であり、トイレの片隅には、
大量の落とし紙(新聞紙)が積み上げられていた。












肥溜め (こえだめ)


農家には、当時必ず肥溜めというものがあった。

いわゆるボットン便所時代、各家庭の糞尿は、農家が回収して
畑の肥料として再利用していた。


農村では田んぼのあちこちに肥溜めと呼ばれる溜池を備え、
その中で人糞を発酵させることで、堆肥を作っていたのだ。





肥溜めは、当時の子供たちにとっては興味と恐れの対象だった。

その肥溜めに、子供がはまってしまったという話もよくあった。

夏休みも終わるころ、肥溜めの周りには、夏草が背高く生い茂り、
遊びに夢中の子供たちにとって肥溜めは、常に死角となっていた。


ちなみに民話では、旅人が旅館に案内されたと思ったら、実は狸や狐が
人間に化けて、温泉と偽って肥溜めに突き落とすという言い伝えがある。















ハエ取り紙


当時は「ハエ取り紙」というものが各家庭にぶら下がっていた

天井から頭の上まで、茶色い油紙がびろ〜んと吊り下げられていたのである。


名前の通り、ハエを捕獲するためのもので、ハエの好む成分が含まれているため、
臭いに釣られてやって来たハエが、その粘着性でくっついてしまうのだ。

いわゆるゴキブリホイホイのハエ版だったわけだ。

頭上にハエがぶら下がっている下で、家族が卓袱台を囲んで食事をするのは、不衛生の
極みのように思えるが、当時の人々は鈍感というか、どうということはなかったのだ。


一般の家庭では見られなくなったが、日本のハエ取り紙は世界的に人気があるため、
現在も製造されており、東南アジアやオーストラリアなどに輸出されている。












   



ダイヤル110番


刑事ドラマの草分けとなったドキュメンタリータッチの本格的捜査もの。


オープニングは、警視庁の係員が受話器を取って「はい、こちら110番」と応じる場面、
そして「このドラマは、事実に基づいて制作されています」のナレーションから始まる。


警察当局の協力を得て、サイレンを鳴らした本物のパトカーが走り、刑事が犯人を追い詰めていく。

ドラマの内容は、当時の新聞紙面をにぎわした事件ばかりだった。


刑事役は、松村達雄、神山繁、中谷一郎、加藤武など、当時は無名の俳優を起用。
後に、いずれもが達者な芸で、ドラマの脇を固めることになる。


当時は、電話が一般に普及し始めた時期で、この番組は、緊急時の警察への電話番号である
110番(ひゃくとおばん)を世間に定着させることとなった。












     



アイ・ラブ・ルーシー


ニューヨークに住む陽気な専業主婦ルーシー。

ショービズ界に憧れる彼女は、バンド・リーダーである夫リッキーのショーに

潜り込んでは、調子はずれな演奏でかき乱したり、勘違いや嫉妬心から夫に

ワナを仕掛けたりと、親友夫婦も巻き込んで大騒動を巻き起こしてしまう。




1950年代の放映時、アメリカ国内最高の視聴率を記録したホームコメディの傑作。


ちゃっかり屋であわて者のルーシーと、二流楽団を率いてうだつの挙がらない夫・リッキー

の夫婦を中心に巻き起こる事件を笑いと共に描く。


ルーシーのコミカルでバイタリティー溢れるキャラクターが、実生活でも夫婦だった二人の

息の合った演技に支えられて、視聴者の爆笑を誘い、人気シリーズとなった。


また本作は、番組を公開収録し、観客の本物の笑い声を入れたことも人気の一因となったが、

このことは、国産のコメディ番組への道を切り開く刺激剤ともなった。











     



名犬ラッシー


イギリス、ヨークシャーの小さな炭鉱街。

両親と暮らす9歳の少年ティミーには、誰よりも強い絆で結ばれた「親友」がいた。

それは美しい毛並みのコリー犬「ラッシー」だった。


ある日、ティミーとラッシーは、釣りを楽しんでいた。

すると突然、役場の職員ジェイクを乗せた気球が降りて来た。


嵐が来るので、彼はここで気球を降り、町まで工具を取りに戻るという。

そこでティミーの父親ポールが、彼を町まで送って行くことに。


だがその間、気球をつないでいたロープが弛み出してしまった。

ロープを止めようとしたティミーとラッシーだったが、二人を乗せたまま

気球が飛び立ってしまい、カナダの森まで運ばれてしまう。




本作は、コリー犬ラッシーと飼い主一家との心温まる愛情物語。

ホームドラマ風の描写で、ほのぼのとした牧歌的雰囲気があふれていた。


また、コリー犬ブームに一役買い、ラッシーという名前の犬が増えた。












       



ヒッチコック劇場


ミステリーの巨匠・ヒッチコック監督がプロデュースしたテレビシリーズ。


毎回、ヒッチコック自身が、一話完結のストーリー・テラーとして登場。


彼ならではの卓越した視点で、日常生活の中に生まれる恐怖とサスペンスを紹介、

熊倉一雄の絶妙な吹き替えを得て、高い視聴率を誇る人気番組となった。


ゲストとして、スティーブ・マックィーンなど多くの映画スターが出演した。














時事放談 (じじほうだん)


この年、日曜朝8時半から政治討論番組「時事放談」の放映が始まった。


細川隆元という辛口頑固ジイさんが好き勝手なことをしゃべる番組で、
まさにじじい放談、言いたい放題だった。


なんでもこの細川ジイさん、肥後細川家の末裔とかで、世が世なら
沢山の家臣や家来に「殿!」なんて呼ばれる身分なんだとか。

そのせいか上から目線の過激発言がウリで、討論相手でやはり毒舌で知られた
小汀利得(おばまりとく)や藤原弘達などとともに根強い人気があった。




ビートルズが来日した1966年(昭和41年)細川氏らは数回にわたってビートルズを批判。

「あんな連中に外貨を与えるな」「公演は武道館ではなく夢の島でやれ」と罵倒した。

このため、全国のビートルズファンの抗議の電話や手紙が番組に殺到するという事件に発展。


番組主催のTBSは急遽、ファンと細川氏らが討論する番組をもうけて収拾を図ろうとしたが、
討論は平行線をたどったままに終わりを告げた。


これらの番組で、細川氏らからビートルズに向けられた言葉は、現在ではまちがいなく放送事故
となるような言葉ばかりであった。







       昼下りの情事(LOVE IN THE AFTERNOON)1957年(米)

アリアーヌ(ヘプバーン)は、ちょっと大人の恋に憧れる背伸びした19歳の音大生。
私立探偵の父親は、億万長者のフラナガン氏(クーパー)の素行調査を行っている。
彼女は、名うてのプレイボーイというフラナガン氏の存在が気になってしょうがない。

駅での別れのラストシーン。お互いに離れがたい二人。
別に付き合っている男がいっぱいいるので大丈夫という精一杯の嘘を言う。
ヘプバーンの涙を浮かべながら強がる仕草がいじらしい。

(監督)ビリー・ワイルダー(BILLY WILDER)
(出演)オードリー・ヘプバーン(AUDREY HEPBURN)
ゲイリー・クーパー(GARY COOPER)モーリス・シュヴァリエ(MAURICE CHEVALIER)
(主題歌)魅惑のワルツ(Fascination)
       
                   魅惑のワルツ(Fascination)